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SITS-EAST
結論 脳卒中前の重症度は血栓溶解療法後の症候性頭蓋内出血リスクを独立して増加させないようであった。死亡率が高かったにもかかわらず,脳卒中による後遺障害のある患者の3例に1例は,血栓溶解療法後,脳卒中前のmRSに戻っていた。したがって,このような患者を血栓溶解療法実施から一律に除外するべきではない。

目的 脳卒中の後遺障害のある患者に対する血栓溶解療法の影響については,よくわかっていない。本研究では,脳卒中前の障害度が血栓溶解療法施行後の転帰におよぼす影響を検討した。主要評価項目:症候性頭蓋内出血,7日後の神経学的改善(National Institute of Health stroke scale[NIHSS]スコアの4点以上または0点への改善),7日後の神経学的悪化(NIHSSの4点以上の悪化または死亡),3カ月後の転帰良好(modified Rankin Score[mRS] 0~2または脳卒中前のスコアへの回復)。
デザイン 観察研究。
セッティング 多施設(144施設),10ヵ国(東欧,ロシア)。
期間 登録期間は2003年10月~2011年12月。
対象患者 7,250例。2003年10月~2011年12月に血栓溶解療法静注を受けた,SITS-EAST登録の脳卒中患者全例。
【除外基準】脳卒中発症前のmRSが4~5の患者が10%以上の施設の患者全例,血栓溶解療法から3ヵ月後のmRSが脳卒中発症前より2点以上改善している症例。
【患者背景】年齢中央値はmRS 1群67歳,mRS 2群72歳*,mRS 3群75歳*, #,mRS 4群75歳*。各群の女性41.4%,46.1%*,49.8%*,58.5%*。高血圧72.0%,83.6%*,81.6%*,84.6%*。心房細動24.3%,36.4%*,46.5%*, #,41.1%*。脳卒中既往8.6%,39.2%*,40.5%*,41.3%*。入院時のNIHSS中央値11.0,13.0*,13.5*,14.0*。治療までの時間中央値150分,150分,152分,150分。
*:0群に対しp<0.05,#:1群に対しp<0.05)
治療法 脳卒中前の後遺障害度により,以下の4群に分けて解析を行った。
mRS 0群(mRS 0):5,995例(82%),mRS 1群(同1):791例(11%),mRS 2群(同2):293例(4%),mRS 3群(同≧3)171例(2%;3:125例,4:42例,5:4例)。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
mRS 0群にくらべ,他のすべての群は高齢で,合併症が多く,入院時の神経学的重症度が高かった。
脳卒中前の障害と症候性頭蓋内出血(ECASS定義)との間には,明確な関連は認められなかった(ORはすべてmRS 0に対する数値を示す)。
mRS 1:OR 1.36,95%CI 0.99-1.86,p=0.055。
mRS 2:OR 1.12;0.67-1.88,p=0.674。
mRS≧3:OR 1.18;0.58-2.43,p=0.640。
脳卒中前のmRS 1,2,≧3は3ヵ月後の死亡リスクが高かった。
mRS 1:OR 1.30,95%CI 1.01-1.66,p=0.039。
mRS 2:OR 1.98;1.37-2.86,p<0.001。
mRS≧3:OR 2.59;1.53-4.39,p<0.001。
脳卒中前のmRS 1,2,≧3は,3カ月後の転帰良好の可能性は低かった。
mRS 1:OR 0.80,95%CI 0.65-1.00,p=0.047。
mRS 2:OR 0.41;0.28-0.60,p<0.001。
mRS≧3:OR 0.59;0.34-1.01,p=0.055。
7日後の神経学的改善,悪化は以下の通り。
[改善]mRS 1:OR 1.00,95%CI 0.85-1.18,p=0.986。
mRS 2:OR 0.64;0.49-0.85,p=0.002。
mRS≧3:OR 0.59;0.38-0.90,p=0.013。
[悪化]mRS 1:OR 1.11,95%CI 0.86-1.42,p=0.423。
mRS 2:OR 1.88;1.34-2.63,p<0.001。
mRS≧3:OR 1.28;0.76-2.16,p=0.353。
mRS≧3および2は,死亡率が高かったにもかかわらず(48% vs. 39%),転帰良好は同様であった(34% vs. 29%)。

●有害事象

文献: Karlinski M, et al.; Safe Implementation of Treatments in Stroke–Eastern Europe (SITS-EAST) Investigators. Countries participating in SITS-EAST with national coordinators and number of cases contributed:. Role of preexisting disability in patients treated with intravenous thrombolysis for ischemic stroke. Stroke 2014; 45: 770-5. pubmed
関連トライアル Austrian Stroke Unit Registry, Bichat Clinical Registry, De Marchis GM et al, ECASS III, Guillan M et al, ICARO-2, J-MARS, Madrid Stroke Network, Manawadu D et al, Mattle HP et al, Power A et al, SAMURAI rt-PA Registry early neurological deterioration, Saposnik G et al, Sarikaya H et al, Sarikaya H et al, Sarikaya H et al (obese), Sarikaya H et al (posterior circulation stroke), SITS-ISTR blood pressure, SITS-ISTR sex differences, SITS-ISTR within-day and weekly variations, SITS-ISTR young patients, SITS-MOST multivariable analysis, Strbian D et al Ultra-Early Thrombolysis, Toni D et al, 血栓溶解療法後の頭蓋内出血
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