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PROTECT Patient Related Outcomes with Endeavor vs. Cypher Stenting Trial
結論 薬剤溶出性ステント(DES)のタイプと抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)の間に強い交互作用が認められ,留置されたDESにより血管修復反応が異なるためと考えられた。本結果より,DESの試験におけるステント血栓症発症率はDESの使用と無関係に評価すべきでなく,またDAPTの至適期間はステントのタイプによることが示唆された。
コメント 薬剤溶出性ステント普及時には遅発性ステント血栓症のリスクが喧伝された。出血合併症の多い抗血小板薬併用療法の長期化が主張され,マッチポンプのようであった。本試験はオープンラベルのランダム化比較試験であった。ステント留置後3年間の観察期間内のステント血栓症の発症率は,サイファーステントであっても,エンデバーステントであっても,1.79%,1.42%と大きな差がなかった。対象とされた症例は,いずれも63歳程度と比較的若い。抗血小板薬併用療法の継続期間は医師が決めている。ステントを留置した部位に年間0.5%程度はステント血栓症が起こるというのが現在の薬剤溶出性ステントの特性なのであろう。冠動脈疾患を含む動脈硬化/血栓性疾患の血栓イベント発症率は年率4%程度,心血管死亡率は1.5%程度であるから容認範囲ともいえるし,コストの高い薬剤溶出ステントを用いても長期の予後は影響を受けないともいえる。ランダム化比較試験ではあるが,どちらのステントが優れているのかはわからない。(後藤信哉

目的 PROTECTにおいて,Endeavor zotarolimus-eluting stent(E-ZES)またはCypher sirolimus-eluting stent(C-SES)を留置された患者における3年後のステント血栓症発症率は,同程度であった(1.42% vs. 1.79%,p=0.22)。1~3年におけるDAPT実施率は低かったが,ステント血栓症発症率に有意差がみられた(0.32% vs. 1.07%,p<0.0001)。本解析では,DAPTの影響はDESのタイプにより異なるという仮説を検討した。主要評価項目:3年後のステント血栓症(definite/probable)。
デザイン PROTECTはPROBE(prospective,randomised,open,blinded endpoints)。NCT00476957。
セッティング PROTECTは多施設(196施設),36ヵ国。
期間 登録期間は2007年5月21日~2008年12月22日。
対象患者 8,709例。E-ZESまたはC-SESの留置をうける患者。
【除外基準】-
【患者背景】平均年齢はE-ZES群62.3歳,C-SES群62.1歳。各群の男性76.7%,76.0%。糖尿病26.9%,28.4%。高血圧64.6%,63.4%。脂質異常症61.8%,62.8%。喫煙歴57.7%,57.4%。心筋梗塞既往20.3%,20.8%。PCI歴12.3%,12.8%。
治療法 PROTECTはE-ZES群(4,357例)またはC-SES群(4,352例)に無作為割付。
aspirinは無期限に,clopidogrelまたはticlopidineは3ヵ月以上,最長12ヵ月間投与された。
追跡完了率 3年の追跡完了は95.8%。
結果

●評価項目
DAPTのアドヒアランスは両群で同程度であった(360日後:E-ZES群79.6 vs. C-SES群79.5%,p=0.89,720日後:32.8% vs. 32.7%,p=0.93,1,080日後:21.1% vs. 22.0%,p=0.29)。
ステント血栓症(definite/probable)について,DAPTが継続しなかった患者ではE-ZES群の発症率が低く,DAPT継続例では同程度であり,不均一性が認められた(不均一性p=0.0052)。
DAPTが継続しなかった症例におけるE-ZESとC-SESの比較:HR 0.38,95%CI 0.19-0.75,p=0.0056。
DAPT継続例におけるE-ZESとC-SESの比較:HR 1.18;0.79-1.77,p=0.43。
E-ZES群におけるDAPT:HR 0.86;0.39-1.87,p=0.70。
C-SES群におけるDAPT:HR 0.27;0.15-0.51,p<0.0001。

●有害事象

文献: Camenzind E, et al.; on behalf of the PROTECT Steering Committee and Investigators. Modifying effect of dual antiplatelet therapy on incidence of stent thrombosis according to implanted drug-eluting stent type. Eur Heart J 2014; 35: 1932-48. pubmed
関連トライアル DECLARE-DIABETES, DECLARE-LONG II, EXCELLENT, PARIS, PRODIGY, PRODIGY type of stent, RECLOSE antiplatelet nonresponsiveness, RESET, RESOLUTE post hoc analysis, Varenhorst C et al
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