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MUCH-Italy Multicenter Study on Cerebral Hemorrhage in Italy
結論 脳内出血患者において,経口抗凝固薬は抗血小板薬とは対照的に,用量依存的に脳葉内出血を生じやすい傾向がみられた。
コメント 抗血栓療法の中で,経口抗凝固薬ワルファリンの治療強度が脳内出血,とりわけ脳葉内出血の発症に関与することを示した論文である。脳内出血の部位を分けて検討し,脳葉内出血では抗凝固療法の強さに関連して出血頻度が増加することを報告した点で新規性がある。
過剰な抗凝固療法は高血圧性の小血管病変よりアミロイド血管病変でより作用しやすいことを考察しているが,この点については,今後NOACも含めて更なる検証が必要であろう。(岡田靖

目的 脳内出血患者において,抗血栓療法の影響は脳内出血の部位により異なるという仮説を検証した。また,経口抗凝固薬の強度と出血部位の関連についても検討を行った。
デザイン 観察研究。
セッティング 多施設(4施設),イタリア。
期間 対象入院期間は2002年1月~2011年7月。
対象患者 870例。急性脳内出血のため入院した患者(CT/MRIにより確定された症例)。
【除外基準】外傷,脳腫瘍,脳梗塞の出血性変化,血管奇形,その他二次性脳内出血の原因を有する症例,脳葉内/脳深部領域に同時に発症した出血。
【患者背景】脳卒中発症時の抗血栓療法別の平均年齢は抗血小板薬群77.2歳,経口抗凝固薬群78.1歳,抗血栓薬なし群69.8歳(p=0.002)。各群の女性49.8%,45.5%,41.9%。冠動脈疾患31.1%,20.8%,8.5%(p<0.001)。脳虚血19.8%,22.1%,3.5%(p<0.001)。心房細動21.6%,66.7%,3.5%(p<0.001)。出血部位:脳深部62.3%,53.2%,66.1%,脳葉内37.7%,46.8%,33.9%。
治療法 脳卒中発症時の抗血栓療法は,抗血小板薬223例(25.6%;aspirin 90.8%ticlopidine 7.5%),経口抗凝固薬77例(8.8%;抗血小板薬+経口抗凝固薬併用は経口抗凝固薬群とした)。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
脳葉内出血は313例(36%),脳深部出血は557例(64%)。
[抗血小板薬関連脳内出血(抗血栓薬なしとの比較)]
脳内出血リスクは,加齢(OR 1.05,95%CI 1.03-1.07),高血圧(OR 1.86,95%CI 1.22-2.85)により上昇したが,部位との関連はみられなかった。
[経口抗凝固薬関連脳内関連出血(抗血栓薬なしとの比較)]
脳内出血リスクは,加齢(OR 1.06,95%CI 1.03-1.09),部位(脳葉内;OR 1.70,95%CI 1.03-2.81)により上昇した。高血圧との関連はみられなかった。
経口抗凝固薬関連脳内出血患者のサブグループにおいて,脳葉内出血患者は脳深部出血患者にくらべ,PT-INR値が高かった(2.8±1.1 vs 2.2±0.8,p=0.011)。脳葉内出血の割合は経口抗凝固療法の強度が上昇するにしたがい高くなり, PT-INR>3.0では2倍以上であった(OR 2.17,p=0.03)。

●有害事象

文献: Pezzini A, et al., On behalf of the Multicenter Study on Cerebral Hemorrhage in Italy (MUCH-Italy) Investigators. Antithrombotic medications and the etiology of intracerebral hemorrhage: MUCH-Italy. Neurology 2014; 82: 529-35. pubmed
関連トライアル BAT, BAT retrospective study, CHANT antiplatelet use, Garcia-Rodriguez LA et al, Kellert L et al, PITCH, SITS-ISTR antiplatelet therapy, 抗血栓薬使用,脳内微小出血および脳内出血
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