抗血栓トライアルデータベース
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Dresden NOAC registry
結論 大部分の侵襲的手技施行患者において,新規経口抗凝固薬を継続もしくは短期間中断するストラテジーは安全であった。大きな手技を受ける心血管リスクの高い患者は,ヘパリンによるブリッジングのベネフィットが得られると考えられるが,出血リスクを考慮しなければならない。

目的 新規経口抗凝固薬服用中に侵襲的手技を受ける患者に対する周術期抗凝固療法についてのデータは乏しい。本研究は,大規模登録研究のデータを用い,周術期抗凝固療法の管理および安全性を検討した。有効性の主要評価項目:30±5日後の致死的/非致死的心血管事象(急性冠症候群,脳卒中/一過性脳虚血発作[TIA]/全身性塞栓症,深部静脈血栓症[DVT]/肺塞栓症[PE])。安全性の主要評価項目:ISTH出血基準
デザイン 前向き登録研究。NCT01588119。
セッティング 多施設,ドイツ。
期間 登録期間は2011年10月1日~2013年5月15日。
対象患者 595例。Dresden NOAC registry登録患者(心房細動患者の脳卒中予防[SPAF]もしくはDVT/PE/その他の適応病態に対し,3ヵ月以上の新規経口抗凝固薬投与を予定している>18歳の患者)のうち,手技施行例。
【除外基準】なし。
【患者背景】手技の規模別*の平均年齢は,最小手技群73歳,小手技群75歳,大手技群74歳。各群の男性60.0%,55.4%,48.3%。新規経口抗凝固薬の適応病態(SPAF/静脈血栓塞栓症):88.1/11.1%,80.2/18.1%,77.0/19.5%。冠動脈疾患9.6%,20.9%,32.2%(最小 vs. 大:p<0.001,小 vs. 大p=0.036)。脳卒中/全身性塞栓症既往13.3%,13.9%,13.8%。抗血小板薬併用2.2%,3.9%,10.3%(最小 vs. 大:p=0.026,小 vs. 大p=0.028)。
*最小:組織損傷がほとんどない手技(皮膚生検など),小:組織損傷はほとんどないが出血リスクをともなう手技(経管的心インターベンションなど),大:組織損傷および出血リスクをともなう手技(開腹手術など)。
治療法 新規経口抗凝固薬の内訳は,rivaroxaban 76%,dabigatran 23.5%,apixaban 0.5%。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
2,179例の登録患者のうち,595例(27.3%)が863件の手技を受けた(最小15.6%,小74.3%,大10.1%)。
手技の30 ± 5日後,主要心血管事象は9例(1.0%,95%CI 0.5-2.0)に発症した。内訳は,脳梗塞4例,TIA 1例,PE 2例,上肢DVT 1例(すべてSPAF症例),死因不明の突然死1例(VTE症例)。手技の規模別では大手技4例(4.6%)で,小手技5例(0.8%,p=0.030),最小手技0例(p=0.046)にくらべ多かった。
大出血は10例(1.2%,95%CI 0.6-2.1)に発症した。手技の規模別では大手技7例(8.0%)で,小手技3例(0.5%,p<0.001),最小手技0例(p=0.002)にくらべ多かった。
863件の手技のうち,187例(21.7%)は新規経口抗凝固薬を継続して行った。一時中断は,ヘパリンによるブリッジングなし419例(48.6%),ブリッジングありは予防用量63例(7.3%),治療用量194例(22.5%)。
ヘパリンによるブリッジングはブリッジングなし(新規経口抗凝固薬継続も含む)にくらべ心血管事象を抑制せず(0.8% vs. 1.6%,p=0.265),大出血リスクを上昇させた(2.7% vs. 0.5%,p=0.010)。
多変量解析によると,糖尿病(OR 13.2,95%CI 1.6-107.3,p=0.016),大手技(OR 7.3,95%CI 1.9-28.5,p=0.004)は心血管事象の独立予測因子であった。大手技(OR 16.8,95%CI 3.8-78.9,p<0.001),ヘパリンによるブリッジング(OR 5.0,95%CI 1.2-20.4,p=0.023)は大出血の独立予測因子であった。ただし,ヘパリンによるブリッジングは大手技でより多く用いられたため,大手技とそれ以外を分けて評価すると,統計学的有意性は消失した。

●有害事象

文献: Beyer-Westendorf J, et al. Peri-interventional management of novel oral anticoagulants in daily care: results from the prospective Dresden NOAC registry. Eur Heart J 2014; 35: 1888-96. pubmed
関連トライアル ACTION Registry-GWTG stratified analysis, AFCAS Registry, dabigatran,rivaroxaban,apixabanの間接比較, FCSA, Garcia DA et al, Jaffer AK et al, Lakkireddy D et al, OASIS-5 and 6, PROSPECT , RE-LY periprocedural bleeding, Tafur AJ et al, VTE治療における新規経口抗凝固薬, 心房細動患者における新規抗凝固薬の有効性および安全性, 長期VKA療法患者における周術期橋渡し療法
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