抗血栓トライアルデータベース
home
テキストサイズ
OPTIMIZE Optimized Duration of Clopidogrel Therapy Following Treatment with the Zotarolimus-Eluting Stent in Real-World Clinical Practice
結論 安定冠動脈疾患または低リスクの急性冠症候群(ACS)患者において,3ヵ月間の抗血小板薬併用療法(DAPT)は12ヵ月間のそれに対し非劣性を示し,ステント血栓症の増加はみられなかった。
コメント 冠動脈ステント留置後の抗血小板療法については議論が多い。筆者は薬剤溶出性ステントによりステント血栓症の発症時期が遷延するのが心配であれば,薬剤溶出性ステントを使用しないのが最善の選択と理解していたが,「薬剤溶出性ステントを使用したうえで,アスピリン/クロピドグレルの抗血小板薬併用療法をいつまで継続するか?」という科学的な意味のない疑問が臨床的に重要な疑問として,多くの学会にて議論されてきた。欧米諸国では75mgのクロピドグレルの継続/中止しか選択がないが,日本には25mgのクロピドグレルの錠剤がある。出血が心配なら75mgから50mgへ,50mgから25mgへなどの漸減という選択肢もある。
本試験では,3,119例の比較的リスクの低い症例を対象として,zotarolimus溶出ステント留置後の抗血小板薬併用療法について,3ヵ月継続群と12ヵ月継続群の比較試験をオープンラベルにて施行した。12ヵ月までの血栓性イベントの発現率には差がなく,大出血にも差がなかった。ステント血栓症にも差がなく,どちらでもいいという結果であった。
臨床家の判断にはすべてランダム化比較試験のエビデンスが必要な訳ではない。世の中にはランダム化比較試験による仮説の検証が有用な薬剤もあれば,医師の直感がランダム化比較試験に勝る場合もある。「薬剤溶出性ステントを使用したうえで,アスピリン/クロピドグレルの抗血小板薬併用療法をいつまで継続するか?」は単純な仮説検証ではない。長期に抗血小板薬併用療法を施行すればステント血栓症,場合によっては脳梗塞など心臓以外の臓器の血栓症も予防できるかもしれない。しかし,抗血小板効果が増強するので,出血合併症は増加する。薬剤コストも明らかに増加する。長期に抗血小板薬併用療法を継続した方が得の大きい症例もあれば,早く止めたほうが得の症例もある。残念ながら今の医学のevidence based medicineの仮説検証法は「個別最適化」にむかない。何でもランダム化比較試験をすればよいというものではない。本試験はMedtronic社のスポンサーによる試験であると明記されてJAMAに掲載され,また同誌のサイトで著者のインタビューまで掲載して世の中に広く伝えたい情報は「Medtronic社のステンドであれば抗血小板薬併用療法を短くできますよ」なのかもしれない。(後藤信哉

目的 薬剤溶出性ステント(DES)留置後の患者に対しては12ヵ月間以上のDAPTが推奨されているが,特定のDESに対する至適DAPT施行期間は明確ではない。本試験では,zotarolimus溶出性ステント留置を受けた安定CADまたはACS既往患者において,3ヵ月間のDAPTが標準期間(12ヵ月間)のそれに対し非劣性を示すかどうか検討した。主要評価項目:正味の有害事象(全死亡+心筋梗塞+脳卒中+大出血:NACCE)。
デザイン 無作為割付,オープン,非劣性試験(非劣性マージン2.7%)。intention-to-treat解析。NCT01113372。
セッティング 多施設(33施設),ブラジル。
期間 登録期間は2010年4月~2012年3月。
対象患者 3,119例。安定狭心症の症状,無症候性虚血,低リスクのACS(不安定狭心症または最近の心筋梗塞)患者で,直径2.5mm以上の固有血管に50%を超える病変を有する症例(多枝病変は可)。当該手技実施時にバイオマーカー値が上昇していた患者は登録を推奨しなかった。
【除外基準】初回/rescue PCI施行時にST上昇型心筋梗塞を呈している,当該手技施行前6ヵ月以内に非標的病変にベアメタルステントを留置,DES留置済み,当該手技後12ヵ月以内に待機的手術の予定,aspirin/clopidogrelに対する禁忌/不忍容/過敏性,伏在静脈グラフト病変,DESのステント内再狭窄,
【患者背景】平均年齢は3ヵ月群61.3歳,12ヵ月群61.9歳。各群の女性36.5%,36.9%。リスク因子:糖尿病35.4%,35.3%,高血圧86.4%,88.2%,脂質異常症63.2%,63.7%,現喫煙18.6%,17.3%。心筋梗塞既往34.6%,34.8%。PCI施行歴20.9%,19.1%。臨床症状:無症候性虚血8.6%,9.2%,安定狭心症59.8%,58.6%,最近のACS 31.6%,32.3%。病変:左前下行枝47.9%,46.6%,左回旋枝23.4%,24.3%,右冠動脈27.6%,27.7%,左主幹部1.2%,1.5%。
治療法 DAPT実施期間別に,3ヵ月群(1,563例),12ヵ月群(1,556例)に無作為割付。
aspirinは,PCI前に長期(>7日)に服用していた患者には100~200mg/日を推奨し,そうでなければ手技の24時間以上前に負荷用量(300~500mg)を投与した。手技後は100~200mg/日を無期限投与。clopidogrelは,すでに75mg/日を服用していない場合は負荷用量300mgを手技の24時間以上前に投与し,手技までの時間が24時間に満たない場合は,最低2時間前に600mgを投与。手技後は75mgを3ヵ月または12ヵ月投与。
追跡完了率 追跡拒否または脱落は76例。
結果

●評価項目
1年後のNACCEは3ヵ月群93例,12ヵ月群90例で,非劣性基準に合致した(6.0% vs. 5.8%,HR 1.03,95%CI 0.77~1.38,リスク差 0.17,95%CI -1.52~1.86,非劣性p=0.002)。全死亡は2.8% vs. 2.9%(p=0.82),心筋梗塞は3.2% vs. 2.7%(p=0.47),脳卒中は0.3% vs. 0.3%(p=0.99),大出血は0.6% vs. 0.9%(p=0.41)。
1年後のKaplan-Meier推定主要有害心事象(MACE)発症率は3ヵ月群8.3%,12ヵ月群7.4%(HR 1.12,95%CI 0.87~1.45)。
91~360日の間,NACCE,MACE,ステント血栓症について有意な関連はみられなかった。
NACCE:3ヵ月間群39例(2.6%)vs. 12ヵ月群38例(2.6%),HR 1.03;0.66~1.60。
MACE:78例(5.3%)vs. 64例(4.3%),HR 1.22;0.88~1.70。
ステント血栓症:4例(0.3%)vs. 1例(0.1%),HR 3.97;0.44~35.49。

●有害事象

文献: Feres F, et al.; OPTIMIZE Trial Investigators. Three vs twelve months of dual antiplatelet therapy after zotarolimus-eluting stents: the OPTIMIZE randomized trial. JAMA 2013; 310: 2510-22. pubmed
関連トライアル ADAPT-DES, CREDO, D.E.S. Cover Registry, DECLARE-DIABETES, DECLARE-LONG II, EXCELLENT, MULTISTRATEGY, PARIS, PRODIGY, PRODIGY type of stent, REAL-LATE / ZEST-LATE, RESET, SPIRIT III, TRITON-TIMI 38, TRITON-TIMI 38 PCI
関連記事