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CAPRIE impact of smoking
結論 動脈硬化性疾患患者において,喫煙はclopidogrel群,aspirin群のいずれでも虚血イベントリスクを上昇させた。二次予防のためclopidogrelを投与された現喫煙者では,aspirinにくらべリスクが抑制されたが,前喫煙/喫煙未経験者ではベネフィットはみられなかった。
コメント クロピドグレルの認可承認試験CAPRIEの最初の論文の公開が1997年であるため,2013年のサブ解析の発表は驚きである。喫煙が抗血小板薬におよぼす交互作用というのは視点としては面白い。喫煙者のほうが短期の観察期間内の心血管イベントリスクが高いので,クロピドグレルの効果が明確になったというわけでもない。P2Y12阻害は喫煙者に特別な効果があるかもしれないという臨床的仮説を示す研究である。(後藤信哉

目的 先行研究より,喫煙はclopidogrelの抗血小板作用を強化する可能性が指摘されているが,この「喫煙パラドックス」は抗血小板薬併用療法を必要とする患者にて評価されたのみで,抗血小板薬単剤を必要とする患者に対しては不明である。本解析は,clopidogrelをaspirinと比較した唯一の大規模試験であるCAPRIEのpost hoc解析として,(1)喫煙と臨床転帰との関連,(2)喫煙による両剤の差動効果を検討した。有効性の主要評価項目:脳梗塞+心筋梗塞+血管死の複合。
デザイン CAPRIEは無作為割付,intention-to-treat解析。
セッティング 多施設,複数国。
期間 CAPRIEの追跡期間は1.91年。
対象患者 19,184例。動脈硬化性疾患患者(最近の脳梗塞,心筋梗塞,症候性末梢動脈疾患[PAD])。
【除外基準】-
【患者背景】現喫煙者におけるaspirin群2,860例,clopidogrel群2,808例の平均年齢は58.6歳,63.2歳。男性76.0%,76.4%。試験参加の当該イベント:脳梗塞25.1%,25.2%,心筋梗塞43.2%,43.9%,PAD 31.7%,30.9%。
前喫煙/喫煙未経験者におけるaspirin群6,726例,clopidogrel群6,726例の平均年齢は64.2歳,64.1歳。男性70.3%,70.8%。試験参加の当該イベント:脳梗塞36.9%,37.2%,心筋梗塞29.6%,29.3%,PAD 33.5%,33.5%。
治療法 CAPRIEはclopidogrel群(9,534例。75mg/日),aspirin群(9,586例。325mg/日)に無作為割付。
喫煙の状態は登録時の確認を用い,現喫煙5,668例(29.5%),前喫煙9,381例(48.9%),喫煙未経験4,135例(21.6%)とした。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
[喫煙状態別の検討]
補正後,現喫煙者では虚血イベントリスクが高かった(p<0.001)。
喫煙未経験者に対しHR 1.24,95%CI 1.08-1.42。
喫煙経験者に対しHR 1.32;1.18-1.47。
[治療と喫煙の検討]
治療と喫煙状態の間に交互作用が認められた(交互作用p=0.01)。現喫煙者では,clopidogrelはaspirinにくらべ虚血イベントを抑制したが(8.3% vs. 10.8%,HR 0.76;0.64-0.90),過去喫煙者/喫煙未経験者複合では,clopidogrelのaspirinに比較してのベネフィットはみられなかった(10.4% vs. 10.6%,HR 0.99;0.89-1.10)。この傾向は試験参加の当該イベントの全サブグループにおいて認められた。
現喫煙者では,clopidogrelはaspirinにくらべ脳梗塞以外のイベントが抑制された。
心筋梗塞:HR 0.71;0.52-0.95。
血管死:HR 0.53;0.39-0.72。
全死亡:HR 0.75;0.61-0.94。
脳梗塞:HR 0.98;0.76-1.26。
出血イベントは,喫煙の状態と治療の間に交互作用はみられなかった。

●有害事象

文献: Ferreiro JL, et al. Impact of Smoking on Long-Term Outcomes in Patients with Atherosclerotic Vascular Disease Treated with Aspirin or Clopidogrel: Insights from the Clopidogrel versus Aspirin in Patients at Risk of Ischemic Events (CAPRIE) Trial. J Am Coll Cardiol 2013; 63: 769-77. pubmed
関連トライアル 3T/2R, CAPRIE 1996, CAPRIE 1999, CAPRIE 2000, CHARISMA bleeding complications, CHARISMA smoking status, CHARISMA subgroup analysis, CREDO, MATCH, PCI-CURE, PRoFESS acute ischemic stroke, TRITON-TIMI 38 diabetes, Varenhorst C et al, 急性脳梗塞/TIA患者への抗血小板療法:2剤併用療法と単剤療法の比較, 抗血小板薬の有効性における喫煙の影響
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