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メタ解析
血管疾患患者に対する抗血小板療法
Antiplatelet Treatment for Prevention of Cerebrovascular Events in Patients with Vascular Diseases: a Systematic Review and Meta-Analysis
結論 循環器疾患患者において,clopidogrel+aspirin併用はaspirin単独にくらべ,頭蓋内出血リスクを上昇させずに全脳卒中および虚血性脳卒中のリスクを抑制した。二次予防コホートにおいても,同様に全脳卒中再発リスクを抑制した。本メタ解析より,低用量aspirin(75~100mg)+clopidogrel 75mg 併用について,脳卒中再発抑制のストラテジーとして,更なる検討が必要と考えられた。
コメント クロピドグレルおよび新規ADP受容体拮抗薬のアスピリンへの上乗せについて,全脳卒中を主要評価項目とした新たなメタ解析である。MATCH以後の抗血小板薬2剤併用の臨床試験を加えて分析すると,アスピリン単独療法と比較して,アスピリン+クロピドグレル併用療法で有意な脳卒中再発予防効果が確認される。net clinical benefitの観点から,投与までの期間,併用期間について,更なる検討が必要であろう。(岡田靖

目的 これまで,clopidogrelまたは新規ADP受容体拮抗薬のaspirinへの上乗せについて,虚血性脳卒中の予防もしくは頭蓋内出血の要因としての体系的な考察はなされていない。本解析では,高リスクの循環器疾患患者(全体コホート:脳血管イベント既往の有無は問わない)および一過性脳虚血発作(TIA)/脳卒中既往患者(二次予防コホート)において,ADP受容体阻害薬による有効性(脳卒中予防)および安全性(頭蓋内出血)をaspirinと比較した。主要評価項目:全脳卒中(TIA,致死的/非致死的脳卒中,頭蓋内出血)。
方法 CENTRAL(2011年第3四半期まで),MEDLINE(2011年9月20日まで),Web of Science(現在まで)を検索。文献リストのハンドサーチも行った。言語の制限は設けなかった。
対象:脳血管転帰について,(1)aspirin単独とclopidogrel単独,(2)clopidogrel単独とaspirin+clopidogrel併用,(3)aspirin単独とaspirin+clopidogrel併用,(4)aspirin+clopidogrel併用とaspirin+新規ADP受容体拮抗薬(prasugrel,ticagrelor)と比較した無作為割付試験(aspirinの用量は75~100mg)。
対象 22試験,173,371例(CAPRIEWATCHACTIVECARESS,CASCADE,CHANCECHARISMACLARITYCOMMITCREDOCUREFASTERMATCHREAL-LATE/ZEST-LATESPS3PRODIGYEXCELLENTPLATO,DISPRERSE,TRITON-TIMI 38,JUMBO-TIMI 26,TRILOGY ACS)。
主な結果 [aspirin単独 vs. clopidogrel単独]
・全体コホート(2試験,20,232例,追跡期間中央値22ヵ月)
clopidogrel群の全脳卒中発症率はaspirin群と同程度であった(5.5% vs. 6.0%,RR 0.91,95%CI 0.82-1.02,p=0.11,I2=0%)。
虚血性脳卒中:RR 0.93;0.83-1.05,p=0.24,I2=0%。
頭蓋内出血:RR 0.70;0.46-1.08,p=0.11,I2=0%。
・二次予防コホート(CAPRIEのみ,19,185例,追跡期間中央値22.9ヵ月)
clopidogrel群の全脳卒中発症率はaspirin群と同程度であった(9.6% vs. 10.5%,RR 0.92;0.80-1.07,p=0.27)。

[aspirin+clopidogrel併用 vs. aspirin単独]
・全体コホート(10試験,93,405例)
aspirin+clopidogrel併用群はaspirin単独群にくらべ,全脳卒中が抑制された(1.8% vs. 2.2%,RR 0.80;0.73-0.88,p<0.0001,I2=28%)。
虚血性脳卒中/TIA:RR 0.77;0.69-0.85,p<0.0001,I2=18%,治療必要数(NNT)231。
頭蓋内出血:RR 1.05;0.82-1.34,p=0.72,I2=0%,有害必要数(NNH)7,606。
・二次予防コホート(7試験,13,237例,追跡期間中央値12ヵ月)*
aspirin+clopidogrel併用群はaspirin単独群にくらべ,全脳卒中が抑制された(7.0% vs. 9.2%,RR 0.76;0.68-0.86,p<0.0001,I2=0%)。
MATCH(aspirin+clopidogrel併用 vs. clopidogrel単独,7,599例)では同程度であった(RR 0.98;0.85-1.13,p=0.76)。
*:CHANCEの併用群はclopidogrelを第1日に初期用量300mg,第2~90日に75 mg/日投与+aspirinを第2~21日に 75 mg/日併用など,併用のプロトコールは試験により異なる。

[aspirin+clopidogrel併用 vs. aspirin+新規抗血小板薬併用]
・全体コホート(5試験,43,446例,追跡期間中央値9.2ヵ月)
aspirin+新規抗血小板薬(prasugrelまたはticagrelor)併用群の全脳卒中発症率はaspirin+clopidogrel併用群と同程度であった(1.3% vs. 1.3%,RR 1.04,95%CI 0.88-1.22,p=0.67,I2=0%)。
虚血性脳卒中:RR 0.99;0.82-1.20,p=0.94,I2=0%。
頭蓋内出血:RR 1.13;0.70-1.84,p=0.61,I2=36%。
・二次予防コホート(2試験,1,670例,追跡期間中央値5.6ヵ月)
aspirin+新規抗血小板薬(prasugrelまたはticagrelor)併用群の全脳卒中発症率はaspirin+clopidogrel併用群と同程度であったが,不均一性が認められた(5.1% vs. 2.4%,RR 3.19,95%CI 0.40-25.59,p=0.27,I2=86%)。
文献: Gouya G, et al. Antiplatelet treatment for prevention of cerebrovascular events in patients with vascular diseases: a systematic review and meta-analysis. Stroke 2014; 45: 492-503. pubmed
関連トライアル CARESS, CHARISMA, CHARISMA bleeding complications, CHARISMA subgroup analysis, Lee WH et al, MATCH, PLATO history of stroke, PRoFESS, SPS3, TRITON-TIMI 38 discharge aspirin dose, 急性脳梗塞/TIA患者への抗血小板療法:2剤併用療法と単剤療法の比較, 急性脳梗塞/TIA患者への抗血小板療法:2剤併用療法と単剤療法の比較(2013), 抗血小板薬の有効性における喫煙の影響
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