抗血栓トライアルデータベース
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メタ解析
固形癌患者に対する初発血栓塞栓症予防
Primary Venous Thromboembolism Prophylaxis in Patients with Solid Tumors: a Meta-Analysis
結論 外来化学療法を受けている固形癌患者における静脈血栓塞栓症(VTE)予防について,warfarinもしくはheparinによる抗血栓療法はプラセボにくらべ44%,heparinによる抗血栓療法では47%抑制したが,出血イベントリスクが60%上昇した。

目的 VTEは,外来化学療法を受けている患者における主な死因であり,先行研究では死因の9.2%がVTE関連とされている。しかし,VTE予防のための抗凝固療法のガイダンスは十分ではない。本メタ解析では,外来化学療法を受けている固形癌患者において,VTE予防の有効性および安全性を検討した。有効性の主要評価項目:初発VTE。安全性の主要評価項目:大出血(輸血を要する出血,>2gのヘモグロビンの低下をともなう出血,重要臓器の出血)。
方法 Ovid MEDLINE(1946年~),EMBASE(1947年~),Cochrane database of systematic reviews(2005年~),ACP journal club(1991年~),database of abstracts of reviews of effectsにて検索(期限はすべて2012年12月31日まで)。また,2010~2012年の米国内および国際的な血栓関連学会の発表についてもハンドサーチを行った。言語の制限は設けなかった。
対象:外来診療所にて外来化学療法を受けている固形癌患者に対する初発血栓症予防のための抗血栓療法を含む文献。抗血栓療法は未分画heparin,超低分子量heparin,第Xa因子阻害薬,トロンビン阻害薬も対象とした。また,ランダム化/非ランダム化比較試験,前向き/後ろ向きのいずれも対象とした。
除外:血液悪性腫瘍(白血病,リンパ腫,多発性骨髄腫)を含む文献。
対象 11試験(warfarin:2試験,dalteparin:3試験,nadroparin:3試験,semuloparin:1試験,certoparin:2試験[すべてランダム化比較試験])。
7,805例。
主な結果 ・VTE予防(11試験,7,805例)
VTE発症は抗血栓療法群で抑制された(OR 0.56,95%CI 0.45-0.71,I2=18.3%,不均一性p=0.27)。出版バイアスは認めなかった。
[warfarinを除外,heparinによる予防のみ(9試験,6,748例)]全体と同様の結果であった(OR 0.53,95%CI 0.41-0.70,I2=12.3%,不均一性p=0.33)。
[癌の種類別]
膵臓癌(3試験,430例),肺癌(3試験,1,926例)では抗血栓療法による予防効果が大きかった。
膵臓癌:OR 0.33,95% CI 0.16-0.67,I2=8.3%,不均一性p=0.34。
肺癌:OR 0.46,95%CI 0.29-0.74,I2=0%,不均一性p=0.60。

・大出血(11試験,7,805例)
大出血は抗血栓療法群のほうが多かった(OR 1.65,95%CI 1.12-2.44,I2=0%)。
[warfarinを除外,heparinによる予防のみ(9試験,6,748例)]全体と同様の結果であった(OR 1.57,95%CI 1.04-2.37,I2=0%,不均一性p=0.64)。

・全死亡(8試験,6,374例)
抗血栓療法による抑制効果は認められなかった(OR 0.97,95%CI 0.87-1.08,I2=17.8%)。なお,6ヵ月以上後の死亡率を報告しているのは4試験のみであった。
文献: Phan M, et al. Primary venous thromboembolism prophylaxis in patients with solid tumors: a meta-analysis. J Thromb Thrombolysis 2014; 38: 241-9. pubmed
関連トライアル SAVE-ONCO, 急性出血性脳卒中患者におけるVTE予防のための抗凝固療法, 内科疾患患者に対するVTE予防薬延長投与, 予防療法を受けた関節置換術施行患者における症候性VTE発症率
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