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COAG Clarification of Optimal Anticoagulation Through Genetics
結論 遺伝子型にもとづくwarfarinの用量決定は,治療開始4週間における抗凝固コントロールを改善しなかった。
コメント EU-PACTと異なり,対照群を臨床的変数を用いて調整していること,warfarin開始4週までのデータ解析であることに留意したい。この試験では,2群間の差は認められなかった。また,PT-INR≧4となる割合も,EU-PACTのような差は認められていない。今後,日本のような漸増法でどのような結果がもたらされるか注目したい。(是恒之宏

目的 遺伝子型にもとづくwarfarinの用量調整の臨床的有用性は,これまでのところ小規模臨床試験または観察研究のみで検討されており,はっきりした結果も得られていない。本研究では,warfarin療法を開始する患者において,遺伝子型にもとづいてwarfarinの用量を調整した場合の抗凝固コントロールへの影響を検証した。主要評価項目:治療開始後4日または5日目から28日目のPT-INR治療域内時間(TTR)。
デザイン 無作為割付,二重盲検試験。有効性:modified intention-to-treat解析(PT-INRデータが得られた患者のみ),安全性:intention-to-treat解析。NCT00839657。
セッティング 多施設(18施設),米国。
期間 登録期間は2009年9月~2013年4月。追跡期間は6ヵ月(本論文での解析結果は4週)。
対象患者 1,015例。warfarin療法(PT-INR 2~3)を開始する18歳以上の患者。
【除外基準】肝疾患などにより登録時のPT-INR値が異常値を示している患者,輸血を必要とする>1,000mLの失血から48時間以内など。
【患者背景】年齢中央値は遺伝子型群59歳,臨床的変数群57歳。各群の男性53%,49%。黒人27%,27%。現喫煙15%,14%。入院中にwarfarin開始68%,66%。warfarinの適応:深部静脈血栓症(DVT)/肺塞栓症(PE)のみ56%,60%,心房細動/粗動のみ23%,21%。warfarin療法予想期間:<1ヵ月6%,7%;1~3ヵ月7%,6%;>3ヵ月87%,87%。warfarin療法歴7%,10%,amiodarone投与下3%,2%。病歴:うっ血性心不全12%,13%,DVT 29%,29%,糖尿病23%,24%,高血圧54%,52%,心筋梗塞9%,10%,PE 21%,21%,脳卒中7%,6%。遺伝子多型:CYP2C9*2:なし81%,84%,ヘテロ変異型18%,14%,CYP2C9*3:なし92%,90%,ヘテロ変異型7%,10%,VKORC1(VKORC1 3673G→A):なし(GG)49%,47%,ヘテロ変異型(AG/GA)39%,40%,同型(AA)11%,12%,遺伝子多型の数:0個 40%,38%,1個 35%,37%,>1個25%,25%。
治療法 施設および人種(黒人/非黒人)により層別化後,以下の2群に無作為割付。
遺伝子型群:514例。治療開始から5日間のwarfarin用量を,臨床的変数(年齢,人種,喫煙,体表面積,amiodarone使用の有無など)と遺伝型データ(CYP2C9*2,CYP2C9*3,VKORC1)の両方を用いた投与アルゴリズムにもとづいて決定。
臨床的変数群:501例。治療開始から5日間のwarfarin用量を,臨床的変数のみを用いた投与アルゴリズムにもとづいて決定。
両群ともに,最初の3日間は開始用量調整アルゴリズム,4,5日目は用量修正アルゴリズムを用いた。最初の4週間は,患者,医師双方にwarfarinの実際の用量を知らせなかった。医師が知らされたのはPT-INR測定時の相対的な用量増減のみであったが,監視者に対しその増減を取りやめさせるリクエストを出すことは許可された。
追跡完了率 治療完了前の脱落は60例(各群30例)。
結果

●評価項目
4週後の平均TTRは遺伝子型群45.2%,臨床的変数群45.4%で,有意差を認めなかった(補正後群間差[遺伝子型群-臨床的変数群]-0.2%,95%CI-3.4~3.1,p=0.91)。
用量の差が2つの投与アルゴリズム間で1mg/日以上と予測された患者においても,有意差を認めなかった(45.1% vs. 46.5%,p=0.67)。
黒人患者では,平均TTRは遺伝子型群のほうが臨床的変数群より低く(35.2% vs. 43.5%,p=0.01),用量決定法と人種との交互作用が認められた(交互作用p=0.003)。
4週後のPT-INR ≧4,大出血,血栓塞栓症の複合は,両群間で有意差を認めなかった(20% vs. 21%,HR 1.01,95%CI 0.77-1.33,p=0.93)。

●有害事象

文献: Kimmel SE, et al.; COAG Investigators. A pharmacogenetic versus a clinical algorithm for warfarin dosing. N Engl J Med 2013; 369: 2283-93. pubmed
関連トライアル Couma-Gen, Crowther MA et al, ELATE, EU-PACT, PREVENT 2003, RE-LY quality of INR control, Takeuchi F et al
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