抗血栓トライアルデータベース
home
テキストサイズ
Gensicke H et al IV Thrombolysis and Renal Function
結論 血栓溶解療法を受けた脳卒中患者において,腎機能は転帰および合併症発症率に影響をおよぼしていた。症候性頭蓋内出血リスクの予測因子として,GFR低値は年齢より適切と考えられた。死亡および症候性頭蓋内出血リスクについて,GFRの10mL/分/1.73m2の低下は,NIHSSスコア1点上昇と同程度の影響を有することが示唆された。
コメント 本研究は,血栓溶解療法実施例の大規模コホートを用い,腎機能障害と転帰との関連を検討している。GFRは,治療後頭蓋内出血を含む血管リスクを複合的に反映する指標として,年齢より適切な予後予測指標であることを明らかにした。高GFR群の意義解釈や血栓溶解療法未実施群との比較分析には,更なる検証が必要である。(岡田靖

目的 血栓溶解療法を受ける脳卒中患者において,腎機能障害が機能転帰および合併症におよぼす影響については,試験により結果が異なり,明確になっていない。本論文では,腎機能障害が3ヵ月後の機能転帰および症候性頭蓋内出血リスク上昇と独立して関連しているか,また腎不全と血栓溶解療法の交互作用についても検討した。主要評価項目:3ヵ月後の転帰不良(modified Rankin Score(mRS) 3~6),死亡,症候性頭蓋内出血(ECASS定義)
デザイン コホート研究。
セッティング 多施設(11施設),欧州。
期間 登録期間は2011年12月31日まで。
対象患者 4,780例。血栓溶解療法を受けた虚血性脳卒中患者。
【除外基準】最終的に虚血性脳卒中でない疾患と診断,血清クレアチニンまたは3ヵ月後の転帰に関するデータが入手できなかった症例。
【患者背景】低GFR(<60mL/分/1.73m2;1,217 例),正常(60~120mL/分/1.73m2;3,504例),高GFR(>120mL/分/1.73m2;59例)のサブグループ別の年齢中央値は78歳*,68歳,35歳*。男性42.5%*,60.1%,55.9%。National Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア中央値(IQR)12(8~18)*,11(6~16),10(7~17)。発症から治療までの経過時間中央値140分,140分,134分。心房細動39.7%*,23.9%,15.5%。高血圧81.0%*,62.2%,22.0%*。糖尿病24.8%**,16.8%,8.5%。脳卒中既往17.6%*,11.4%,5.1%。
*正常値群との比較においてp<0.001,**p=0.011。
治療法 血栓溶解療法は現行のガイドラインにしたがい実施。
解析はGFRの低値,正常値,高値別に行った。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
GFRの10mL/分/1.73m2低下ごとに,以下のリスクが上昇した。
転帰不良リスク:未補正OR 1.20;1.17-1.24,補正後OR 1.05,1.01-1.09,p=0.017。
死亡:未補正OR 1.33;1.28-1.38,補正後OR 1.18;1.11-1.24,p<0.001。
症候性頭蓋内出血:未補正OR 1.15;1.01-1.22,補正後OR 1.11;1.04-1.20,p=0.003。
GFR低値は正常値にくらべ,以下の項目と独立して関連していた。
3ヵ月後の転帰不良:補正後OR 1.32;1.10-1.58,p=0.003。
死亡:補正後OR 1.73;1.39-2.14,p<0.0001。
症候性頭蓋内出血:補正後OR 1.64;1.21-2.23,p=0.001。
症候性頭蓋内出血の独立予測因子はGFR低値および脳卒中重症度(補正後OR 1.05;1.03-1.07,p<0.001)であった。

症状発現後6時間以内に来院した,血栓溶解療法を受けなかった虚血性脳卒中患者1,427例(非治療群;平均年齢72歳,NIHSS中央値4)との比較も行った。血栓溶解療法を受けたGFR低値の患者では,非治療群にくらべ,以下のリスクが上昇した。
3ヵ月後の転帰不良:補正後OR 1.79;1.41-2.25,p<0.001。
死亡:補正後OR 1.51;1.15-1.98,p=0.003。
症候性頭蓋内出血:補正後OR 21.25;4.85-99.03,p<0.001。

●有害事象

文献: Gensicke H, et al. IV thrombolysis and renal function. Neurology 2013; 81: 1780-8. pubmed
関連トライアル Bravo Y et al, Engelter ST et al, Gensicke H et al, Gensicke H et al, GWTG-Stroke Registry risk of sICH, Kellert L et al, Madrid Stroke Network, Mattle HP et al, Power A et al, SAMURAI rt-PA Registry early neurological deterioration, Sarikaya H et al, Schellinger PD et al, Singer OC et al, SITS-ISTR importance of recanalization, SITS-ISTR young patients, SITS-MOST multivariable analysis, Toni D et al, Tutuncu S et al, 血栓溶解療法後の頭蓋内出血
関連記事