抗血栓トライアルデータベース
home
テキストサイズ
Fukuoka Stroke Registry
結論 心原性脳塞栓症後,脳卒中前のPT-INR≧2.0は転帰良好と関連していた。
コメント ワルファリン療法において,PT-INRを治療域で維持することに脳梗塞発症時の重症度を軽減する効果がある点を明確にした有意義な研究である。ワルファリン療法においては,大出血と関連するPT-INRの過延長のみならず,PT-INRが治療域未満であることを避けるきめ細かな治療が求められる。(矢坂正弘

目的 心原性脳塞栓症発症時の抗凝固療法の強度と臨床転帰の関連は明確になっていない。日本では,70歳以上におけるPT-INRの推奨値は1.6~2.6で,国際的に推奨されている値より低くなっている。本研究では,日本人の心原性脳塞栓症患者において,発症時のPT-INR値が神経学的重症度および機能転帰と関連しているか検討した。
デザイン 登録研究。
セッティング 多施設(7施設),日本。
期間 登録期間は1999年6月~2012年3月。
対象患者 602例。Fukuoka Stroke Registry登録患者10,394例のうち,発症から24時間以内に入院した心原性脳塞栓症患者で,発症時にwarfarinを服用しており,PT-INR値が得られた症例。
【除外基準】―
【患者背景】平均年齢は<1.50群76.7歳,1.50~1.99群75.5歳,≧2.00群72.7歳*。各群の男性54%,53%,64%。リスク因子:高血圧70%,83%*,62%,糖尿病26%,32%,16%,脂質異常症24%,40%*,24%,心房細動94%,86%*,98%。慢性腎臓病47%,49%,58%。平均eGFR(mL/1.73m2)61.9,61.1,53.2*。心臓弁膜症7%,19%*,20%*。脳梗塞既往40%,53%*,58%*。抗血小板療法26%,36%*,40%。入院前のmodified Rankin Score(mRS)中央値全群0(IQR 0~2)。
*:<1.50群に対しp<0.05。
治療法 入院時のPT-INR値別に,<1.50群(411例),1.50~1.99群(146例),≧2.00群(45例)の3群に分け,解析を行った。
追跡完了率
結果

●評価項目
入院時のPT-INR値が上昇するにしたがい,入院時の神経学的欠損は軽度となり,退院時の転帰(mRS 4~6)は良好になった。
重度の神経学的欠損は<1.50群222例(54%),1.50~1.99群59例(40%),≧2.00群14例(32%)で,多変量解析によると,入院時のPT-INR値と逆相関していた(PT-INR<1.50との比較:1.50~1.99群:OR 0.66,95%CI 0.43-1.00,p=0.049,≧2.00群:OR 0.41;0.20-0.83,p=0.01)。
転帰不良は<1.50群213例(52%),1.50~1.99群64例(44%),≧2.00群11例(24%)で,多変量解析によると,≧2.00群では<1.50群にくらべ転帰不良が少なかった(OR 0.20;0.06-0.55,p=0.002)。1.50~1.99群では有意差を認めなかった(OR 0.87;0.49-1.53,p=0.62)。
院内死は<1.50群42例(10%),1.50~1.99群9例(6%),≧2.00群0例。

●有害事象

文献: Nakamura A, et al.; on behalf of the Fukuoka Stroke Registry Investigators. Intensity of Anticoagulation and Clinical Outcomes in Acute Cardioembolic Stroke: The Fukuoka Stroke Registry. Stroke 2013; 44: 3239-42. pubmed
関連トライアル ACTION Registry-GWTG stratified analysis, Bichat Clinical Registry, GWTG-Stroke Registry risk of sICH, Hylek EM et al, J-RHYTHM Registry anticoagulation, J-RHYTHM Registry warfarin use, JNAF-ESP, Madrid Stroke Network, North Dublin Population Stroke Study, RE-LY quality of INR control, Ruecker M et al, SPORTIF INR control, WAPS
関連記事 [STROKE 2013]ワルファリン内服中の心原性脳塞栓症における抗凝固療法の強度と重症度 —Fukuoka Stroke Registry—(中村麻子氏)