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Murthy SB et al Thrombolysis for Acute Ischemic Stroke in Patients with Cancer: a Population Study
結論 がん関連脳卒中患者に対する血栓溶解療法は脳内出血発症率,院内死亡率を上昇させず,安全性が示唆された。ただし,血栓溶解療法に対する反応について,がんのサブタイプにより不均一性がみられた。
コメント がん死亡率が高い現状において,がん関連脳卒中患者の分析として注目される。本対象例では,入院時の脳卒中重症度や90日後の転帰が不明である。今後,前向き研究によりがんのステージごとの実施率や血栓溶解療法非実施例との転帰の比較検討が望まれる。(岡田靖

目的 虚血性脳卒中患者に対する臨床試験の多くはがん合併患者を除外しており,そのような患者に対する血栓溶解療法の安全性は明確になっていない。本研究では,がん関連脳卒中患者に対する血栓溶解療法後の転帰を検討した。主要評価項目:自宅への退院,院内死亡率。
デザイン 集団ベース研究。
セッティング 多施設,米国。
期間 登録期間は2009~2010年。
対象患者 32,576例。Nationwide Inpatient Sample databaseより同定された,血栓溶解療法を受けたがん関連脳卒中患者807例+非がん関連脳卒中患者31,769例。
【除外基準】―
【患者背景】年齢(p<0.001)19~59歳はがん関連脳卒中患者14.6%,非がん関連脳卒中患者27.4%,60~79歳59.0%,44.7%,>80歳26.4%,27.9%。各群の男性52.7%,50.5%。脂質異常症42.2%,41.3%(p<0.001)。糖尿病23.0%,24.0%。高血圧69.3%,78.6%(p<0.001)。心房細動22.8%,24.0%。うっ血性心不全13.3%,13.3%。心臓弁膜症9.3%,8.2%。血液凝固障害5.0%,3.0%(p=0.003)。慢性腎臓病5.0%,6.9%(p=0.033)。
治療法 血栓溶解療法を施行。
追跡完了率
結果

●評価項目
血栓溶解療法施行率は,がん関連脳卒中患者では807/50,437例(1.6%),非がん関連脳卒中患者では31,769/1,085,137例(2.9%)であった。血栓溶解療法単独はがん関連脳卒中患者76.1% vs. 非がん関連脳卒中患者79.3%,血管内治療は23.9% vs. 20.7%。
がん関連脳卒中患者は非がん関連脳卒中患者にくらべ,全体的に合併疾患罹患率が高かったが,血管リスク因子の割合が低かった。
自宅への退院,院内死,脳内出血は同程度であったが,静脈血栓塞栓症はがん関連脳卒中患者のほうが多かった。
自宅への退院:がん関連脳卒中患者19.4% vs. 非がん関連脳卒中患者29.7%,補正後OR 1.15,95%CI 0.95-1.39,p=0.166。
院内死:12.1% vs. 10.2%,補正後OR 0.84;0.68-1.05,p=0.132。
脳内出血:6.3% vs. 6.4%,補正後OR 0.74;0.56-1.12,p=0.071。
静脈血栓塞栓症:5.8% vs. 2.2%,補正後OR 1.73;1.26-2.37,p=0.001。
サブグループ解析では,固形がん患者,転移性がん患者は液性がん患者にくらべ,自宅への退院率が不良で,院内死亡率が高かった。転移性がん患者は転帰がもっとも不良であったが,脳内出血は同程度であった。
[自宅への退院]
固形がん:OR 0.18;0.11-0.29,p<0.001。
転移性がん:OR 0.12;0.06-0.22,p<0.001。
[院内死]
固形がん:OR 3.02;1.37-6.65,p=0.006。
転移性がん:OR 10.41;4.53-23.92,p<0.001。
[脳内出血]
固形がん:OR 0.77;0.36-1.65,p=0.501。
転移性がん:OR 1.39;0.59-3.25,p=0.452。

●有害事象

文献: Murthy SB, et al. Thrombolysis for Acute Ischemic Stroke in Patients With Cancer: A Population Study. Stroke 2013; 44: 3573-6. pubmed
関連トライアル Alshekhlee A et al, Bray BD et al, CASES elderly patients, ECASS III, ICARO, ICARO-2, Madrid Stroke Network, Power A et al, SAINT postthrombolysis ICH, SAMURAI rt-PA Registry early neurological deterioration, SAMURAI rtPA Registry SITS-MOST criteria, Sarikaya H et al (obese), Seet RC et al, Singer OC et al, SITS-ISTR antiplatelet therapy, SITS-ISTR sex differences, SITS-ISTR within-day and weekly variations, SITS-ISTR young patients, SITS-MOST multivariable analysis, TASCC, Tutuncu S et al, 血栓溶解療法後の頭蓋内出血, 前方循環閉塞に対する血栓溶解療法, 内頸動脈閉塞に続発する脳梗塞に対するtPA静注および動脈内血管内療法
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