抗血栓トライアルデータベース
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FONDACAST
結論 長期固定化を必要とする,静脈血栓塞栓症(VTE)の追加的リスクを有する膝下外傷患者における血栓症予防について,fondaparinuxはnadroparinより有益な治療の選択肢である可能性が示唆された。

目的 膝下外傷患者におけるVTE予防のための抗凝固療法の有効性については,意見が分かれている。本試験では,21~45日間の固定化を必要とする,VTEの追加的リスク因子を有する患者のVTE予防について,fondaparinux がnadroparinより優れるか検証した。有効性の評価項目:固定化解除(+2日)までのVTEおよび死亡の複合。安全性の主要評価項目:固定化解除(+4日)までの大出血。
デザイン PROBE(prospective,randomised,open,blinded endpoints)。有効性:intention-to-treat解析,安全性:as-treated解析。
セッティング 多施設(93施設),6ヵ国。
期間 登録期間は2008年12月~2011年4月。
対象患者 1,349例。18歳以上,手術を行わない, 21~45日間の固定化(ギプス包帯または装具など)を必要とする片側性膝下外傷患者で,他の外傷がなく,VTEの追加的リスク因子*を有し,担当医が固定解除までの血栓症予防が必要と判断した患者。
*:膝下骨折またはアキレス腱断裂,40歳以上,BMI>30kg/m2,エストロゲン含有ホルモン補充療法または経口避妊薬,活動性がん,VTE既往,先天性/後天性凝固亢進状態。
【除外基準】無作為割付の3日以上前の傷害,無作為割付前に3日以上抗血栓療法を受けている(低用量抗凝固薬を含む),≧325mgのaspirinまたはNSAIDsの長期服用を必要とする,抗血小板療法中,抗凝固療法中またはその予定,臨床的に関連する出血(活動性または過去6ヵ月以内),先天性/後天性出血性疾患,治療中の消化性潰瘍疾患またはその既往,出血性脳卒中または脳/脊髄/眼科手術から12ヵ月以内,重篤な頭部外傷から3ヵ月以内,コントロール不良の高血圧,重度の肝障害,体重<50kg,クレアチニンクリアランス(CrCl)<30mL/分,血小板数<10万/μL,抗凝固薬禁忌,妊娠/授乳中など。
【患者背景】平均年齢はfondaparinux群46.1歳,nadroparin群46.5歳。各群の女性52.8%,54.0%。BMI 26.8kg/m2,26.3 kg/m2。内科疾患:慢性安定狭心症3.2%,1.6%,糖尿病6.3%,3.7%。重度の膝下外傷(骨折/脱臼)91.3%,91.2%。固定化の種類:ギプス85.3%,82.3%,装具5.8%,6.6%。固定化の平均期間33.5日,33.9日。
治療法 以下の2群に無作為割付し,21~45日間(固定化解除まで)投与。
fondaparinux群:675例。2.5mg(CrCl 30~50mL/分では1.5mg)1日1回皮下注。
nadroparin群:674例。2,850抗Xa因子国際単位1日1回皮下注。
必要であればacetaminophenの服用は自由とした。aspirinまたはNSAIDsの不連続使用は許可されたものの,服用しないように指導された。試験薬以外の抗凝固薬,dextran,血栓溶解薬,抗血小板薬2剤併用は禁止とした。
追跡完了率
結果

●評価項目
対象患者の外傷は,骨折88.7%,ギプス固定83.8%,平均固定化期間は34日であった。
有効性の主要評価項目発症はfondaparinux 群15/584例(2.6%)で,nadroparin群48/586例(8.2%)にくらべ抑制された(OR 0.30,95%CI 0.15-0.54,p<0.001)。
無症候性深部静脈血栓症(DVT)は1.9% vs. 7.2%(p<0.001)。
症候性DVTは0.3% vs. 1.1%(p=0.178)。
肺塞栓症は0.3% vs. 0%(p=0.249)。
死亡は0.2% vs. 0%(p=0.500)。
大出血はfondaparinux群1例(治療開始から35日後の腹壁血腫),nadroparin群0例で,同程度であった(p=1.0)。
全出血は11例(1.6%)vs. 6例(0.9%),OR 1.84;0.62-6.08,p=0.329。
これらの結果は追跡期間終了時まで維持された。

●有害事象
血小板減少症はfondaparinux群0例,nadroparin群1例。

文献: Samama C, et al., The FONDACAST Study Group
Comparison of fondaparinux with low-molecular-weight heparin for VTE prevention in patients requiring rigid or semi-rigid immobilization for isolated non-surgical below-knee injury. J Thromb Haemost2013; 11: 1833-43. pubmed
関連トライアル APOLLO, ARTEMIS, FONDAIR, fondaparinux によるVTE予防療法における大出血および死亡, Matisse Study, PREVAIL, PREVENT 2004, Rasmussen MS et al, RECORD3, SAVE-KNEE, SAVE-HIP1, SAVE-HIP2
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