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メタ解析
VTE二次予防の抗血栓療法の有効性および安全性
Efficacy and Safety Outcomes of Oral Anticoagulants and Antiplatelet Drugs in the Secondary Prevention of Venous Thromboembolism: Systematic Review and Network Meta-Analysis
結論 本解析で評価したすべての抗凝固薬および抗血小板薬は,プラセボまたは経過観察にくらべ,静脈血栓塞栓症(VTE)再発リスクを抑制した。aspirinはリスク抑制がもっとも小さかった。標準的な用量調整ビタミンK拮抗薬はVTE再発抑制効果がもっとも大きかったが,大出血リスクももっとも大きかった。
コメント 静脈血栓塞栓症の二次予防における,各種経口抗凝固薬と抗血小板薬の有効性と安全性に関するネットワークメタ解析の結果である。組み入れられた前向きランダム化比較試験により,フォロー期間や患者背景が大きく異なるため,薬剤間の比較の解釈には注意が必要である。しかし,今回取り上げられた抗血栓薬の中では,出血性合併症の発生頻度が最も高いものの,二次予防効果はワルファリンが最も高く,反して抗血小板薬が最も低いようである。今後は新規経口抗凝固薬も含めて,患者の有する血栓リスクや出血リスク,必要となる継続期間にしたがった静脈血栓塞栓症の二次予防における各種抗血栓薬の使い分けを確立するためには,さらに検討が必要である。(山田典一

目的 VTEの二次予防について,経口抗凝固薬(dabigatran,rivaroxaban,apixaban,ビタミンK拮抗薬)および抗血小板薬(aspirin)の有効性および安全性をネットワークメタ解析の手法を用い比較した。主要評価項目:VTE再発,ISTH出血基準大出血。
方法 Medline(1950年~現在),Embase(1980年~現在),the Cochrane Register of Controlled Trialsにて検索。言語,出版年,出版形態の制限は設けなかった。検索論文の文献のハンドサーチも行った。
対象:(1)症候性DVTまたはPEが客観的に確認された患者を連続的に前向き登録し,抗凝固療法を3ヵ月以上行った試験,(2)VTE二次予防のため抗血小板薬(aspirin),経口抗凝固薬(dabigatran,rivaroxaban,apixaban,ximelagatran,ビタミンK拮抗薬),プラセボ/経過観察に無作為割付した試験,(3)主要および副次評価項目を報告している試験。
除外:初期抗凝固療法終了時にリスク層別化を行っている試験,無症候性VTE患者を含む試験。
対象 13試験(2試験は結果が1本の論文にまとめられたため,12論文)。
有効性の解析対象:11,999例,安全性の解析対象:12,167例。
標準用量ビタミンK拮抗薬:4試験,低強度ビタミンK拮抗薬:2試験,トロンビン阻害薬:3試験,第Xa因子阻害薬:2試験,低用量aspirin:2試験。
主な結果 (表記は逆数)
・VTE再発
すべての治療はプラセボ/経過観察にくらべリスクを抑制した。ビタミンK拮抗薬は有効性が大きく,aspirinはもっとも小さかった。
ビタミンK拮抗薬(標的PT-INR 2.0~3.0):OR 0.07,95%CI 0.03-0.15。
aspirin 100mg/日:OR 0.65;0.39-1.03。
dabigatran 150mg 1日2回:OR 0.09;0.04-0.21。
apixaban 5mg 1日2回:OR 0.18;0.08-0.38。
apixaban 2.5mg 1日2回:OR 0.17;0.08-0.36。
rivaroxaban 20mg/日:OR 0.17;0.06-0.41。
低強度ビタミンK拮抗薬:OR 0.28;0.13-0.57。

・大出血
ビタミンK拮抗薬の大出血リスクは,プラセボ/観察研究にくらべ高かった。
ビタミンK拮抗薬:OR 5.24;1.78-18.25。
aspirin 100mg/日:OR 1.29;0.4-4.08。
dabigatran 150mg 1日2回:OR 2.79;0.79-11.69。
apixaban 5mg 1日2回:OR 0.19;0.01-1.78。
apixaban 2.5mg 1日2回:OR 0.46;0.05-2.82。
rivaroxaban 20mg/日:OR 20.79;1.31-14,230(対象が1試験のみで,プラセボ群での大出血発症が0例であったため,不確実な評価である)。
低強度ビタミンK拮抗薬:OR 4.77;1.38-19.49。

・致死的VTE再発および致死的出血
致死的VTE再発は16例(0.13%)で,そのうち9例(56%)はプラセボ/経過観察の症例であった。
致死的出血は5例(0.04%)で,そのうち4例(80%)はプラセボ/経過観察の症例であった。
文献: Castellucci LA, et al. Efficacy and safety outcomes of oral anticoagulants and antiplatelet drugs in the secondary prevention of venous thromboembolism: systematic review and network meta-analysis. BMJ 2013; 347: f5133. pubmed
関連トライアル ASPIRE, dabigatran,rivaroxaban,apixabanによる関節置換術後の血栓予防, dabigatran,rivaroxaban,apixabanの間接比較, EINSTEIN-DVT and EINSTEIN-Extension, RE-MEDY & RE-SONATE, VTE治療における新規経口抗凝固薬, WARFASA, 急性VTE治療における新規経口抗凝固薬とビタミンK拮抗薬の比較, 心血管疾患リスクを有する患者におけるaspirin+OAC併用とOAC単独投与の比較, 非弁膜症性心房細動患者における抗血栓療法
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