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AMADEUS post hoc analysis
結論 抗凝固療法を受けている心房細動患者において,腎機能障害(クレアチニンクリアランス:CrCl<60mL/分)は脳卒中リスクを2倍,大出血を60%上昇させた。
コメント 抗凝固療法(イドラパリヌクスまたはワルファリン)を行っている心房細動患者の脳卒中,大出血リスクと腎機能の関係を検討した興味ある論文である。CrCl<60mL/分の患者では,脳卒中リスクは2倍,大出血は約60%上昇することが示された。今後,新規経口抗凝固薬を使用するにあたっても,腎機能別のリスク・ベネフィットを考慮し,必要に応じて使い分けることも大事なポイントの1つと考えられる。(是恒之宏

目的 先行研究より,重度の慢性腎臓病(CKD)を有する心房細動患者は,腎機能が正常な心房細動患者にくらべ血栓塞栓症リスクが高いと報告されている。本解析は,AMADEUSのデータを用い,抗凝固療法中の心房細動患者における腎機能の影響を評価し,塞栓症リスクスコアとして汎用されているCHA2DS2-VAScスコアCHADS2スコアの項目に中等度~重度のCKDを加えることの妥当性を評価した。AMADEUSの有効性の主要評価項目:全脳卒中(脳梗塞,出血性,病型不明)または全身性塞栓症。安全性の主要評価項目:大出血。
デザイン AMADEUSはPROBE(prospective,randomized,open,blinded-endpoint),非劣性試験。
セッティング 多施設。
期間 追跡期間は325±164日。
対象患者 4,576例。ECGによって確認された非弁膜症性AF患者で,リスク因子(脳梗塞/一過性脳虚血発作[TIA]/全身性塞栓症の既往,薬物療法を必要とする高血圧,左室機能障害,75歳以上,65~75歳で糖尿病または症候性冠動脈疾患を有する)のうち1つ以上を有するために長期抗凝固療法の適応のある者。
【除外基準】抗凝固療法の禁忌または他の適応,CrCl 10mL/分未満,コントロール不良の出血の可能性をともなう最近の侵襲的手技施行またはその予定など。
【患者背景】症例数はCrCl≧60mL/分群3,084例,同<60mL/分群1,470例。各群の平均年齢67.1歳,76.5歳(p<0.001)。女性25.1%,51.2%(p<0.001)。脳卒中/TIA既往21.3%,39.4%(p<0.001)。idraparinux群に割付49.7%,50.2%。CHA2DS2-VAScスコア(p<0.001)1:13%,8.9%,2:27.2%,9.7%,3:26.2%,22.2%,4:18.8%,27.1%,5:9.5%,19.6%,≧6:5.2%,21%。
治療法 AMADEUSはidraparinux群,ビタミンK拮抗薬群に無作為割付。本論文では両治療群を統合して解析を行った。
追跡完了率
結果

●評価項目
追跡期間中,脳卒中45例,大出血103例が発症した。
脳卒中/全身性塞栓症の年間発症率は,CrCl>90mL/分の患者では0.6%/年,CrCl 60~90 mL/分では0.8%/年,CrCl<60mL/分では2.2%/年と,腎機能が悪化するにつれ上昇した(線形連関p<0.001)。
脳卒中リスク因子で補正後,CrCl<60mL/分の患者はCrCl≧60mL/分にくらべ,脳卒中/全身性塞栓症リスク,大出血リスクともに高かった。
脳卒中/全身性塞栓症リスク:補正後HR 2.27,95%CI 1.14-4.52。
大出血リスク:補正後HR 1.58,95%CI 1.05-2.39。
CrCl<60 mL/分は臨床転帰不良と関連しており,特にCHA2DS2-VAScスコア1~2の患者で顕著であった(RR 8.26,95%CI 1.68-40.6,p<0.001)。
CrCl<60 mL/分を塞栓症リスクスコアの項目に加えても, c-indexは改善されなかったが(CHADS2スコア:p=0.054,CHA2DS2-VAScスコア:p=0.63),リスクスコア予測能の指標であるnet reclassification improvement(NRI)は有意に改善した(0.26,p=0.02)。

●有害事象

文献: Apostolakis S, et al. Renal function and outcomes in anticoagulated patients with non-valvular atrial fibrillation: the AMADEUS trial. Eur Heart J 2013; 34: 3572-9. pubmed
関連トライアル ACTIVE W paroxysmal vs sustained, AMADEUS, ARISTOTLE renal function, ARISTOTLE risk score, AVERROES bleeding, J-ROCKET AF, J-ROCKET AF renal impairment, PROTECT AF, ROCKET AF cardioversion/ablation, ROCKET AF post hoc analysis, ROCKET AF renal dysfunction, Roldan V et al, SPAF III 1996, Swedish Atrial Fibrillation cohort study
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