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Strbian D et al ODT and DNT Relationship Between Onset-to-Door Time and Door-to-Thrombolysis Time: a Pooled Analysis of 10 Dedicated Stroke Centers
結論 脳卒中専門センターにおいて,来院から治療までの時間(DNT)は経年的に急激な短縮がみられた。しかし,発症から治療までの時間枠(3時間,4.5時間)の最後では,DNTに変動がみられた。
コメント 大規模データを用いた血栓溶解療法に関する発症-来院時間(ODT),来院-治療時間(DNT)に関しての実践的かつ詳細な分析である。ODTとDNTが逆相関し,4.5時間への時間枠延長もDNTに影響したことを社会学的法則(仕事の量は完成のために与えられた時間を満たすまで膨張する)を引用し,考察した点が興味深い。わが国のrt-PA静注療法適正使用指針第2版では,患者来院後,少しでも早く(遅くとも1時間以内)治療を始めることが望ましいと強く推奨している。(岡田靖

目的 虚血性脳卒中患者に対する血栓溶解療法は,早期に開始するほど転帰が良好となる。しかしながら,発症から来院までの時間(ODT)とDNTの間には逆相関が報告されている。本解析は,脳卒中専門センターにおいてこの逆相関関係を解析し,DNTの他の決定因子についても検討を行った。
デザイン 観察研究。
セッティング 多施設(10施設),欧州。
期間
対象患者 6,348例。血栓溶解療法静注を受けた虚血性脳卒中患者。
【除外基準】症状発現から5時間以上後に血栓溶解療法を実施,治療開始時間不明,院内発症脳卒中。なお,本データベースには血栓溶解療法動注,ブリッジング療法実施例は含まれていない。
【患者背景】年齢中央値は72歳。女性46%。登録時のNational Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア中央値10(6~15)。発症から治療まで135(101~173)分。発症から来院まで80(59~116)分。来院から治療まで42(26~65)分。発症から3時間以内に治療81.9%。ECASS-III *論文発表前に治療48.4%。病歴:糖尿病19.6%,脳卒中既往15.0%,冠動脈疾患19.6%,心房細動29.7%,高血圧69.4%,脂質異常症40.1%。疫学:大血管疾患16.5%,心原性44.5%,小血管疾患6.5%,不明/複数の要因28.9%。
()内はIQRを示す。
*:本結果を受け,血栓溶解療法の開始時間が発症後3時間以内から4.5時間以内に延長された。
治療法 alteplase静注。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
来院から治療までの時間(DNT)は42分(IQR 26~65)で,経年的に急激に減少していた(p<0.001)。
発症から来院までの時間(ODT)別にDNTを解析したところ,ODTが30分以内の患者ではDNTは55分(IQR 35~75)ともっとも長く,ODTが30~150分の患者では40~45分とほぼ一定であった。ODTが3時間の時間枠の最後の30分間(151~180分)の患者ではDNTは短縮したが,時間枠延長の最初の30分間では延長し,4.5時間の時間枠の最後の30分間の患者ではふたたび短縮がみられた。
ODTが151~180分の患者のDNT:33分(IQR 20~58)。
ODTが181~210分の患者のDNT:42分(IQR 28~60)。
ODTが211~240分の患者のDNT:32分(IQR 21~45)。
ODTが241~270分の患者のDNT:20分(IQR 14~28)。
全体として,ODTとDNTの間には弱い逆相関が認められた(R2=-0.12,p<0.001)。3時間以内に治療された患者でも同様であったが(R2=-0.19,p<0.001),3~4.5時間後に治療された患者では強く認められた(R2=-0.75,p<0.001)。回帰分析では,ODTはDNTと独立して逆相関が認められた(p<0.001)。
80歳超(1,387例)のDNTは45分で,80歳以下(4,961例)の41分にくらべ延長していた(p<0.001)。
女性のDNTは概して男性より延長しており,ODT 121~150分の患者では42分と,男性の36分にくらべ延長していた(p<0.01)。

●有害事象

文献: Strbian D, et al. Relationship Between Onset-to-Door Time and Door-to-Thrombolysis Time: A Pooled Analysis of 10 Dedicated Stroke Centers. Stroke 2013; 44: 2808-13. pubmed
関連トライアル Masjuan J et al, Power A et al, Schellinger PD et al, SITS-ISTR 2010, Strbian D et al Ultra-Early Thrombolysis
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