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Hokusai-VTE
結論 重篤な肺塞栓症(PE)を含むさまざまな静脈血栓塞栓症(VTE)患者において,heparin投与後のedoxaban 1日1回投与は,クオリティの高い標準治療に対し非劣性を示し,出血を抑制した。
コメント 本試験により,エドキサバンの静脈血栓塞栓症の急性期治療における有効性,安全性が示された。これまでに報告されたアピキサバンのAMPLIFY試験, リバーロキサバンのEINSTEIN試験では,初期へパリン治療が任意であり,新規経口抗凝固薬の投薬量が初期には高用量,その後に減量というプロトコールであったのに対して,今回の研究では初期に5~12日間のヘパリン治療が必須であるものの,エドキサバンは試験期間中通して一定量である点が異なっている。また,今回の試験結果では,右心負荷所見を有する重症度の高い肺血栓塞栓症症例で,エドキサバン群が従来治療群より再発抑制効果における優位性が示された点も興味深い。その原因に関してはいまだ明らかではなく,更なる解析を待たねばならない。(山田典一

目的 DVT(深部静脈血栓症),PE,またはその両方を合併している患者において,heparin(enoxaparinまたは未分画heparin[UFH])投与後のedoxaban投与は,heparin投与後のwarfarin投与に対し非劣性を示すという仮説を検証した(非劣性マージン:HR信頼区間の上限<1.5)。有効性の主要評価項目:症候性VTE再発(DVTまたは非致死的/致死的PE)。安全性の主要評価項目:大出血および大出血ではないが臨床的に問題となる出血の複合。
デザイン 無作為割付,二重盲検,非劣性試験,event-driven試験。modified intention-to-treat解析。NCT00986154。
セッティング 多施設(439施設),37ヵ国。
期間 登録期間は2010年1月~2012年10月。
対象患者 8,292例。18歳以上,客観的に診断された急性症候性DVT(膝窩,大腿,腸骨静脈)または急性症候性PE(DVT合併の有無を問わない)患者。
【除外基準】heparin/warfarin禁忌,治療用量のheparinを48時間以上投与,ビタミンK拮抗薬を1用量以上投与,低分子量heparinの長期投与が予測される癌,他のwarfarinの適応病態を有する,100mg/日以上のaspirinまたは抗血小板薬2剤併用を継続,クレアチニンクリアランス(CCr)<30mL/分など。
【患者背景】平均年齢はedoxaban群55.7歳,warfarin群55.9歳。各群の男性57.3%,57.2%。体重≦60kg:12.7%,12.6%,>100kg:14.8%,15.9%。CCr 30~50mL/分6.5%,6.6%。無作為割付時edoxaban 30mg投与17.8%,17.4%。VTEの原因:特発性65.9%,65.4%,一時的なリスク因子27.5%,27.7%,癌9.2%,9.5%,VTE既往19.0%,17.9%。
治療法 以下の2群に無作為割付。全例に初期治療としてenoxaparinまたはUFHを5日以上投与した。試験薬は全例に最短3ヵ月,最長12ヵ月(担当医の裁量による)継続した。
edoxaban群:4,118例(DVT 2,468例+PE 1,650例)。初期治療のheparinを中止後,60mgを1日1回経口投与(CCr 30~50mL/分,体重<60kg,強力なp糖蛋白拮抗薬併用投与患者では30mg投与)。
warfarin群:4,122例(2,453例+1,669例)。初期治療のheparinと同時に,PT-INRが2.0~3.0となるよう用量調整投与を開始。
追跡完了率 追跡不能はedoxaban群7例,warfarin群4例。
結果

●評価項目
warfarin群のTTRは63.5%であった。
有効性の主要評価項目はedoxaban群130例(3.2%),warfarin群146例(3.5%)で,非劣性基準に合致した(HR 0.89,95%CI 0.70-1.13,非劣性p<0.001)。内訳は,致死的PEは両群0.1%,PEが除外できない死亡は両群0.5%,非致死的PE(DVTの有無は問わない)は1.2% vs. 1.4%,DVT単独は1.4% vs. 1.5%。edoxaban 30mgが投与された患者では3.0% vs. 4.2%(HR 0.73;0.42-1.26)。
右室機能不全(NT-proBNP≧500pg/mL)を有するPE患者938例におけるVTE再発はedoxaban群3.3%で,warfarin群6.2%に対し抑制された(HR 0.52;0.28-0.98)。
安全性の主要評価項目はedoxaban群349例(8.5%),warfarin群423例(10.3%)(HR 0.81;0.71-0.94,p=0.004),edoxaban 30mgが投与された患者では7.9% vs. 12.8%(HR 0.62;0.44-0.86)で,いずれも抑制された。
全例における大出血は1.4% vs. 1.6%(HR 0.84;0.59-1.21,p=0.35),edoxaban 30mgが投与された患者では1.5% vs. 3.1%(HR 0.50;0.24-1.03)で,いずれも同程度であった。

●有害事象

文献: The Hokusai-VTE Investigators. Edoxaban versus Warfarin for the Treatment of Symptomatic Venous Thromboembolism. N Engl J Med 2013; 369: 1406-15. pubmed
関連トライアル ADOPT, ADVANCE, ADVANCE-2, AMPLIFY, AMPLIFY-EXT, APROPOS, ARISTOTLE, CASSIOPEA, EINSTEIN-DVT and EINSTEIN-Extension, EINSTEIN-PE, ELATE, ENGAGE AF-TIMI 48, EXULT A, FIDO, LIFENOX, MAGELLAN, ODIXa-KNEE, PREVAIL, PREVENT 2003, PROTECT, RE-COVER, RE-COVER II , RE-LY, RE-MEDY & RE-SONATE, RE-NOVATE, RECORD1, RECORD2, RECORD3, ROCKET AF, SAVE-KNEE, SAVE-HIP1, SAVE-HIP2, SAVE-ONCO, THRIVE, van Gogh Studies, van Gogh Studies prophylaxis, WARFASA
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