抗血栓トライアルデータベース
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TRILOGY ACS elderly patients
結論 薬物療法で管理されている急性冠症候群(ACS)患者において,高齢患者では長期心血管リスクおよび出血リスクの上昇がみられた。高齢患者における虚血・出血の転帰について,低用量prasugrelとclopidogrelの間に差異は認められなかった。低用量prasugrelとclopidogrelについて,体重,薬力学反応,出血リスクの相互作用は認められなかった。
コメント TRILOGY ACS自体が解釈の難しい試験である。高齢者では血栓リスク,出血リスクとも高く,プラスグレル群であってもクロピドグレル群であっても差異を認めなかった。もともと解釈困難な試験なので,サブ解析の解釈も困難である。(後藤信哉

目的 TRILOGY ACSでは,標準用量のprasugrel(10mg/日)による出血リスクを軽減するため,75歳以上または低体重(60kg未満)患者に対しては低用量(5mg/日)が用いられた。本論文は同試験のサブ解析として,高齢患者におけるprasugrelの有効性を検討した。有効性の一次エンドポイント:30ヵ月後の心血管死+心筋梗塞(MI)+脳卒中の複合。安全性のエンドポイント:大出血TIMI出血基準),CABGに関連しない,重篤または生命に関わる出血(GUSTO出血基準)。
デザイン TRILOGY ACSは無作為割付,二重盲検。intention-to-treat解析。NCT00699998。
セッティング 多施設,52ヵ国。
期間 TRILOGY ACSの登録期間は2008年6月~2011年9月。追跡期間中央値は75歳以上450日,75歳未満532日。
対象患者 9,326例(75歳未満7,243例+75歳以上2,083例)。当該イベント発症後10日以内に,薬物療法を最終的なストラテジーとして選択された不安定狭心症または非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)患者で,60歳以上,糖尿病,MI既往,血行再建術(PCI/CABG)歴のうち少なくとも1つを有し,大出血リスク上昇のない症例。
【除外基準】―
【75歳以上の患者背景】年齢中央値はprasugrel群80歳,clopidogrel群79歳。各群の女性49.9%,51.1%。体重<60kg 22.4%,22.1%。ACSの分類:不安定狭心症20.5%,22.7%,NSTEMI 79.5%,77.3%。病歴:高血圧87.5%,87.4%,脂質異常症61.9%,57.9%,糖尿病34.9%,35.1%,喫煙7.4%,8.2%,MI既往41.4%,38.3%。
治療法 以下の2群に無作為割付。
prasugrel群:75歳以上1,043例。10mg(75歳以上もしくは体重60kg未満では5mg)/日投与。
clopidogrel群:75歳以上1,040例。75mg/日投与。
両群にaspirinを併用し,用量は100mg/日が推奨された。試験薬は年齢にかかわらず最短6ヵ月,最長30ヵ月投与された。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
[年齢別の比較]
有効性の一次エンドポイントおよびTIMI大出血は年齢とともに累増し,75歳以上では75歳未満の2倍以上であった。
有効性の一次エンドポイント:75歳以上35.7% vs. 75歳未満14.9%,HR 2.65,95%CI 2.37-2.97,p<0.01。
TIMI大出血:3.7% vs. 1.8%,HR 2.15;1.44-3.20,p<0.01。
[75歳以上における試験薬の比較]
有効性の一次エンドポイント:prasugrel群35.6% vs. clopidogrel群35.8%,HR 1.03;0.86-1.22,p=0.73。
TIMI大出血:4.1% vs. 3.4%,HR 1.09,95%CI 0.57-2.08,p=0.79。
75歳以上の患者において,両群とも,TIMI大/小出血の有無による体重の差異はみられなかった。

●有害事象

文献: Roe MT, et al. Elderly Patients With Acute Coronary Syndromes Managed Without Revascularization: Insights Into the Safety of Long-Term Dual Antiplatelet Therapy With Reduced-Dose Prasugrel Versus Standard-Dose Clopidogrel. Circulation 2013; 128: 823-33. pubmed
関連トライアル ACCOAST, CABG施行までのclopidogrel継続投与の安全性, clopidogrel追加による死亡率抑制効果, DES LATE, EXPRESS risk of bleeding, FASTER, MINAP-GPRD, PLATO renal function, PLATO total events, PRINCIPLE-TIMI 44, PRODIGY in-stent restenosis, Sarafoff N et al, SPS3 post hoc analysis, TRILOGY ACS, TRILOGY ACS secondary analysis , TRITON-TIMI 38, TRITON-TIMI 38 bleeding, TRITON-TIMI 38 CABG cohort, TRITON-TIMI 38 diabetes, TRITON-TIMI 38 discharge aspirin dose, TRITON-TIMI 38 early and late benefits, TRITON-TIMI 38 PCI, 血管疾患患者に対する抗血小板療法, 抗血小板薬の有効性における喫煙の影響
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