抗血栓トライアルデータベース
home
テキストサイズ
Garbe E et al Risk of Subarachnoid Hemorrhage and Early Case Fatality Associated with Outpatient Antithrombotic Drug Use
結論 外来での抗血栓薬使用はくも膜下出血リスクを上昇させたが,早期死亡との関連はみられなかった。
コメント 大規模データを用いたコホート内症例対照研究で,外来での抗血栓薬(抗凝固薬フェンプロクモン,抗血小板薬クロピドグレル,チクロピジン,アスピリン)服用がくも膜下出血リスクを上昇させる点を明らかにした。本研究では,抗血栓薬の用量や使用期間の分析はできていないが,外傷性くも膜下出血や画像診断未実施例は除外されており,喫煙を除くリスクについても詳しく分析されている点が注目される。ただし,加齢にともなって発生率が微増する点は他の疾病の罹患率増加や死因に占める割合が不明であり,その分析意義は少ないように思われる。(岡田靖

目的 くも膜下出血は全脳卒中の7%にすぎないが,治療に関連するコストや個人の負担は大きい。本研究では,抗血栓薬前投与がくも膜下出血リスクおよび30日後の死亡率に及ぼす影響について検討した。
デザイン コホート内症例対照研究。
セッティング 多施設,ドイツ。
期間 追跡期間中央値は883日。
対象患者 22,714例。ドイツの薬理疫学研究データベースに登録されている被保険者1,340万人から同定された,2004年7月~2006年11月にくも膜下出血のため入院した患者2,065例+健康保険,性別,年齢を合致させた対照群20,649例。
【除外基準】―
【患者背景】平均年齢はくも膜下出血群56.3歳,対照群56.3歳。各群の女性両群65.6%。抗血栓療法:aspirin 3.5%,2.4%,clopidogrel/ticlopidine 1.5%,0.9%,heparin 0.4%,0.2%,phenprocoumon 2.7%,1.6%。登録前の併発疾患:糖尿病8.3%,10.1%,高血圧34.4%,30.6%,虚血性心疾患10.6%,10.0%,虚血性脳卒中2.3%,1.8%,脳動脈瘤1.0%,<0.1%。
治療法
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
くも膜下出血の粗罹患率は7.1/100,000患者・年で,女性(8.39/100,000患者・年)のほうが男性(5.42/100,000患者・年)より高く,また加齢につれて上昇した。
<25歳:男性0.42/100,000患者・年,女性0.27/100,000患者・年。
25~<35歳:男性1.58/100,000患者・年,女性2.05/100,000患者・年。
35~<45歳:男性4.22/100,000患者・年,女性7.45/100,000患者・年。
45~<55歳:男性9.06/100,000患者・年,女性14.27/100,000患者・年。
55~<65歳:男性 11.12/100,000患者・年,女性13.03/100,000患者・年。
65~<75歳:男性8.90/100,000患者・年,女性13.02/100,000患者・年。
75~<85歳:男性11.53/100,000患者・年,女性16.46/100,000患者・年。
≧85歳:男性13.29/100,000患者・年,女性16.99/100,000患者・年。
直接法調整罹患率(2006年の欧州人口)は6.38/100,000患者・年であった。
くも膜下出血リスクはphenprocoumon,clopidogrel/ticlopidine,aspirinで上昇したが,外来でのheparin使用では関連がみられなかった。
phenprocoumon:補正後OR 1.7,95%CI 1.3-2.3,p<0.001。
clopidogrel/ticlopidine:補正後OR 1.6,95%CI 1.1-2.4,p=0.016。
aspirin:補正後OR 1.5,95%CI 1.2-2.0,p=0.001。
heparin:補正後OR 1.2,95%CI 0.6-2.8,p=0.604。
入院から30日後までに470例(22.8%)が死亡した。死亡リスクと関連がみられたのは年齢>70歳(OR 2.3,95%CI 1.8-3.1),高血圧(OR 1.3,95%CI 1.0-1.6)であった。抗血栓薬との関連はみられなかった。

●有害事象

文献: Garbe E, et al. Risk of subarachnoid hemorrhage and early case fatality associated with outpatient antithrombotic drug use. Stroke 2013; 44: 2422-6. pubmed
関連トライアル ACTION Registry-GWTG stratified analysis, Garcia-Rodriguez LA et al, Lamberts M et al, Risselada R et al, Schalekamp T et al
関連記事