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GWTG-Stroke time to treatment
結論 米国を代表する登録研究(Get With The Guidelines-Stroke:GWTG-Stroke)において,脳梗塞発症から治療までの経過時間(OTT)の短縮は院内死,症候性頭蓋内出血を減少させ,退院時の自立歩行,自宅への退院を増加させた。
コメント 脳梗塞発症からtPA静注療法までの時間を短縮することが転帰良好と強く関連していた。このことから,発症から病院到着までの時間を短くするための脳卒中発症時の対処に関する住民啓発,救急隊の脳卒中病院前救護プログラムの充実,病院到着後から治療までの時間を短縮するための院内体制の構築が一層重要になろう。(矢坂正弘

目的 脳梗塞患者に対する血栓溶解療法のベネフィットが時間依存的であることは明らかであるが,OTTが転帰に及ぼす影響の詳細は明確になっていない。本研究は,GWTG-Strokeのデータを用い,発症から4.5時間以内にtPA静注を受けた脳梗塞患者において,OTTが転帰(院内死,症候性頭蓋内出血,退院時の歩行状態,退院後の行き先)に及ぼす程度を検討した。
デザイン 登録研究。
セッティング 多施設(1,395施設),米国。
期間 治療期間は2003年4月1日~2012年3月31日。
対象患者 58,353例。当該期間中,発症から4.5時間以内にtPA静注を受けた脳梗塞患者。
【除外基準】25%以上の患者の病歴データが欠損している施設または患者数が30例未満の施設の患者,院内で発症した脳梗塞,動脈内再灌流療法実施例,実験的治療施行例,発症時間や機能転帰のデータが欠損している患者。
【患者背景】平均年齢は0~90分群69.2歳,91~180分群71.0歳,181~270分群68.1歳*。各群の女性47.1%,5.7%,50.2%(p=0.006)。人種:白人(非ヒスパニック系)71.9%,73.9%,70.9%*,黒人13.0%,13.3%,15.3%*,ヒスパニック系7.4%,6.3%,7.1%*,その他7.7%,6.5%,6.7%*。診療時間内(月~金曜の午前7時~午後5時)の来院52.7%,46.4%,43.0%*。救急医療による来院78.7%,81.3%,71.4%*。NIHSS中央値12,11,9*。病歴:心房細動/粗動21.6%,23.6%,18.2%*,頸動脈狭窄3.2%,3.1%,2.7%(p=0.04),冠動脈疾患/心筋梗塞既往25.9%,27.7%,24.2%*,糖尿病22.4%,25.5%,26.8%*,脳卒中/一過性脳虚血発作(TIA)既往20.7%,25.0%,24.6%*。(*p<0.001)
治療法 発症から4.5時間以内にtPA静注。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
全体のOTT中央値は144分(IQR 115~170),0~90分は5,404例(9.3%)で,91~180分は45,029例(77.2%),181~270分は7,920例(13.6%)であった。
治療前のNIHSSスコアは87.7%の患者で記録されており,中央値11(IQR 6~17)。院内死は5,142例(8.8%),頭蓋内出血は2,873例(4.9%),退院時の自立歩行は19,491例(33.4%),自宅への退院は22,541 例(38.6%)であった。
OTT短縮と強く関連していたのは以下の項目であった。
脳卒中の重症度(NIHSS 5点上昇ごと):OR 2.8,95%CI 2.5~3.1,p<0.001。
救急医療による来院:OR 5.9;4.5~7.3,p<0.001。
診療時間内の来院:OR 4.6;3.8~5.4,p<0.001。
脳卒中/TIA既往:OR -3.0;-2.1~-3.9,p<0.001。
tPAの年間治療症例数(5例増加ごと):OR 1.6;1.1~2.2,p<0.001。
脳梗塞の年間入院数(50例増加ごと):OR -1.2;-0.7~-1.7,p<0.001。
OTTの短縮(15分ごと)は院内死,症候性頭蓋内出血を減少させ,退院時の自立歩行,自宅への退院を増加させた。
院内死:OR 0.96;0.95~0.98,p<0.001。
症候性頭蓋内出血:OR 0.96;0.95~0.98,p<0.001。
退院時の自立歩行:OR 1.04;1.03~1.05,p<0.001。
自宅への退院:OR 1.03;1.02~1.04,p<0.001。

●有害事象

文献: Saver JL, et al. Time to treatment with intravenous tissue plasminogen activator and outcome from acute ischemic stroke. JAMA 2013; 309: 2480-8. pubmed
関連トライアル Bray BD et al, De Marchis GM et al, ECASS III, GWTG-Stroke Registry risk of sICH, Helsinki Stroke Thrombolysis Registry, ICARO-2, Machumpurath B et al, MERCI and Multi MERCI previous IV tPA, Pervez MA et al, Power A et al, PRACTISE gender difference, rtPA静注後の頭蓋内出血に関するリスク因子, SAINT postthrombolysis ICH, SAMURAI rt-PA Registry early neurological deterioration, Schellinger PD et al, SPOTRIAS, Strbian D et al Ultra-Early Thrombolysis, Toni D et al, 血栓溶解療法後の頭蓋内出血
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