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BRUISE CONTROL Investigators in the Bridge or Continue Coumadin for Device Surgery Randomized Controlled Trial
結論 warfarinを継続してのペースメーカーまたは植込み型除細動器(ICD)手術施行は,heparinによるブリッジングにくらべ,臨床的に問題となるポケット部血腫を顕著に抑制した。
コメント 今後,ペースメーカーやICD植込み時,warfarinを継続して行うことが勧められるようになるだろう。著者らは論文のディスカッションの中で,ヘパリンブリッジよりwarfarin継続で血腫が少なかった理由として「anticoagulant stress test」という言葉を用いて説明している。すなわち,warfarinが効いている状態で手術をすれば出血しうる部位を適切に止血することが術中に可能であること,一方,ヘパリンブリッジでは術中の止血操作は簡単であるが,ヘパリン再開により不顕性の出血が手術部位に生じる可能性がある。(是恒之宏

目的 ペースメーカー/ICD植込み手術施行患者の14~35%が長期抗凝固療法を必要としており,ガイドラインは,血栓塞栓イベントリスクが高い患者に対してはheparinによるブリッジングを推奨している。症例報告では,warfarinを中断しなくても安全に手術施行可能と示唆されているものの,臨床試験のデータはほとんどない。本試験は,年間の血栓塞栓イベントリスクが5%以上の患者において,warfarin継続はheparinによるブリッジングにくらべ,臨床的に問題となるポケット部血腫を抑制するか検討した。主要評価項目:臨床的に問題となるポケット部血腫。
デザイン 無作為割付,単盲検。NCT00800137。
セッティング 多施設(18施設),2ヵ国(カナダ,ブラジル)。
期間 登録期間は2009年10月~2013年2月。
対象患者 681例。年間の血栓塞栓イベントリスクが5%以上のwarfarin服用中の患者で,待機的ペースメーカー/ICD植込み手術施行例。
【除外基準】―
【患者背景】平均年齢はwarfarin群71.8歳,heparin群71.4歳。各群の女性72.3%,73.1%。BMI 28.3kg/m2,28.4 kg/m2。病歴:塞栓性一過性脳虚血発作18.1%,18.6%,塞栓性脳卒中19.0%,17.8%,全身性塞栓症2.3%,3.8%,高血圧72.0%,70.1%,糖尿病38.8%,39.3%,心筋症67.9%,64.2%,CABG 28.0%,25.7%。抗凝固療法の適応:機械弁27.7%,32.0%,僧帽弁置換14.0%,16.6%,二葉弁14.9%,16.6%,心房細動/粗動88.9%,88.2%。平均CHADS2スコア3.4,3.4。手術日のPT-INR中央値2.3,1.2(p<0.001)。
治療法 以下の2群に無作為割付。
warfarin群:343例。手術日の目標PT-INRは3.0以下(機械弁患者では3.5以下)。
heparin群:338例。手術の5日前にwarfarinを中止し,3日前に治療用量の低分子量heparin(LMWH;enoxaparin,dalteparin,tinzaparin)または未分画heparin(UFH)の投与を開始。LMWH投与例では手術前日の朝(手術の>24時間前)に最終投与を行い,UFH投与例では手術の4時間以上前に静注を中止した。術後は24時間後に再開し,PT-INRが治療域になるまで継続した。
clopidogrelは,ベアメタルステント(BMS)留置を1年以上前に受けた患者では手術前の5日間中止したが,それより最近のBMS留置または薬剤溶出性ステント留置例では継続した。clopidogrelの再開時期は担当医の裁量とした。aspirinは全例で継続した。
追跡完了率 追跡完了はwarfarin群334/343例,heparin群325/338例。
結果

●評価項目
2013年2月27日,2度目の中間解析後にデータ安全性監視委員会は試験の中止を推奨した。
臨床的に問題となるポケット部血腫はwarfarin群12/343例(3.5%)で,heparin群54/338例(16.0%)にくらべ抑制した(RR 0.19,95%CI 0.10-0.36,p<0.001)。入院期間を長引かせる血腫は1.2% vs. 4.7%(p=0.006),抗凝固療法の中止を必要とする血腫は3.2% vs. 14.2%(p<0.001),吸引を要する血腫は0.6% vs. 2.7%(p=0.03)。
全死亡は4例(1.2%)vs. 0例で,有意差は認めなかった(p=0.12)。
主要な外科的/血栓塞栓合併症発症率は低く(heparin群で心タンポナーデ,心筋梗塞各1例,warfarin群で脳卒中,一過性脳虚血発作各1例),両群で同程度であった。

●有害事象

文献: Birnie DH, et al.; BRUISE CONTROL Investigators. Pacemaker or defibrillator surgery without interruption of anticoagulation. N Engl J Med 2013; 368: 2084-93. pubmed
関連トライアル ACE , FCSA, Garcia DA et al, Jaffer AK et al, RE-LY periprocedural bleeding, RE-LY quality of INR control, ROCKET AF post hoc analysis, Tompkins C et al, Yokoshiki H et al, 長期VKA療法患者における周術期橋渡し療法
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