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RE-MEDY & RE-SONATE
結論 dabigatranは静脈血栓塞栓症(VTE)の治療延長において有効であり,重大な出血,または臨床的に問題となる出血のリスクは,warfarinより低かったが,プラセボよりは高かった。
コメント RE-MEDY研究では,静脈血栓塞栓症に対する長期再発予防薬として,ワルファリンに比較したダビガトランの同等の有効性と優れた安全性が示された。理由は不明であるが,心房細動の際と同様,冠動脈イベントが増加した点は気がかりである。また,プラセボ比較のRE-SONATE研究では明らかにダビガトランの再発抑制効果はあるものの,出血は増加させた。最近,プラセボ比較で,アスピリンが出血を増加させることなく,静脈血栓塞栓症の再発抑制に効果的であることが示唆されており,年齢や腎機能などを考慮したうえで,静脈血栓塞栓症の長期再発予防に新規抗凝固薬とワルファリン,アスピリンをどのように使い分けるのか,エビデンスに基づいた指針が望まれる。(山田典一

目的 3ヵ月以上の治療を終えたVTE患者の再発予防について,dabigatran 150mg 1日2回投与をwarfarin(RE-MEDY/実薬対照試験)またはプラセボ(RE-SONATE/プラセボ対照試験)と比較した。有効性の主要評価項目:客観的に確認された症候性VTE再発またはVTE関連死(RE-SONATEでは原因不明の死亡も含む)。安全性の主要評価項目:大出血+大出血ではないが臨床的に問題となる出血。
デザイン [RE-MEDY]無作為割付,二重盲検,非劣性試験。NCT00329238。
[RE-SONATE]無作為割付,二重盲検,プラセボ対照。NCT00558259。
両試験ともmodified intention-to-treat解析。
セッティング [RE-MEDY]多施設(265施設),33ヵ国。
[RE-SONATE]多施設(147施設),21ヵ国。
期間 [RE-MEDY]登録期間は2006年7月~2010年7月。
[RE-SONATE]登録期間は2007年11月~2010年9月。
対象患者 [RE-MEDY]2,866例。[RE-SONATE]1,353例。
18歳以上,客観的に確認された症候性近位部深部静脈血栓症(DVT)または肺塞栓症(PE)患者で,すでに抗凝固療法を受けているか,もしくはVTE治療の短期試験(RE-COVER, RE-COVER II)でdabigatranを投与された症例。登録前の初期療期間は3~12ヵ月(RE-MEDY),6~18ヵ月(RE-SONATE)。
【除外基準】―
【患者背景】[RE-MEDY]平均年齢はdabigatran群55.4歳,warfarin群53.9歳。各群の女性39.1%,38.9%。白人90.1%,90.0%。平均体重86.1kg,86.0kg。推定クレアチニンクリアランス(CCr)104.2mL/分,106.6mL/分。当該イベント:DVT 65.6%,64.7%,PE 22.7%,23.5%,DVT+PE 11.7%,11.8%。一時的な可動制限6.4%, 6.5%,既知の血栓形成素因18.3%,18.4%。冠動脈疾患8.4%,6.1%(p=0.02),糖尿病10.5%,7.6%(p=0.007),高血圧40.7%,36.5%(p=0.02),RE-COVER登録患者:dabigatran群16.5%,17.8%,warfarin群19.8%,17.0%,RE-COVER II登録患者:4.9%,3.9%。
[RE-SONATE]平均年齢はdabigatran群56.1歳,プラセボ群55.5歳。各群の女性44.1%,45.0%。白人89.6%,88.4%。平均体重83.7kg,84.0kg。推定CCr 99.6mL/分,101.2mL/分。当該イベント:DVT 63.3%,66.6%,PE 両群とも26.9%,DVT+PE 6.9%,5.3%,一時的な可動制限7.2%,5.4%,既知の血栓形成素因12.8%,10.3%,冠動脈疾患6.3%,5.7%,糖尿病8.4%,7.6%,高血圧41.3%,36.3%,RE-COVER登録患者:dabigatran群1.0%,1.2%,warfarin群1.2%,0.6%,RE-COVER II登録患者:該当なし。
治療法 [RE-MEDY]dabigatran群:1,430例。
warfarin群:1,426例。目標PT-INR 2~3。
[RE-SONATE]dabigatran群:681例。
プラセボ群:662例。
両試験ともdabigatranは150mg,1日2回投与。試験薬は抗凝固薬前治療を中止し,PT-INR≦2.3となってから開始した。
RE-MEDYの治療期間は当初18ヵ月の予定であったが,イベント発症率の低さから症例数の増加および治療期間を36ヵ月まで延長。RE-SONATEは最初の患者を登録してから6ヵ月後に,長期再発リスクを評価するため12ヵ月後までの延長を決定した。
追跡完了率 試験薬の早期中止は,RE-MEDY:dabigatran群19.3%,warfarin群19.7%,RE-SONATE:dabigatran群10.4%,プラセボ群15.0%。
結果

●評価項目
[RE-MEDY]
warfarin群のtime in therapeutic range(TTR)は65.3%。
VTE再発はdabigatran群26/1,430例(1.8%),warfarin群18/1,426例(1.3%)で,非劣性を示した(HR 1.44,95%CI 0.78-2.64,非劣性p=0.01)。
大出血はdabigatran群13例(0.9%),warfarin群25例(1.8%)で,同程度であった(HR 0.52;0.27-1.02,p=0.06)。大出血または臨床的に問題となる出血はdabigatran群で抑制された(5.6% vs. 10.2%,HR 0.54;0.41-0.71,p<0.001)。
急性冠症候群(ACS)はdabigatran群13例(0.9%)で,warfarin群3例(0.2%)にくらべ多かった(p=0.02)。
[RE-SONATE]
VTE再発はdabigatran群3/681例(0.4%)で,プラセボ群37/662 例(5.6%)にくらべ抑制された(HR 0.08;0.02-0.25,p<0.001)。
大出血はdabigatran群2 例(0.3%),プラセボ群0例(p=1.0)。大出血または臨床的に問題となる出血はdabigatran群36例(5.3%)で,プラセボ群12例(1.8%) にくらべ多かった(HR 2.92;1.52-5.60,p=0.001)。
ACSは両群各1例であった。

●有害事象

文献: Schulman S, et al.; RE-MEDY Trial Investigators. RE-SONATE Trial Investigators. Extended use of dabigatran, warfarin, or placebo in venous thromboembolism. N Engl J Med 2013; 368: 709-18. pubmed
関連トライアル AMPLIFY, AMPLIFY-EXT, ARISTOTLE, ASPIRE, CASSIOPEA, Crowther MA et al, dabigatranの急性冠イベントリスク, EINSTEIN-DVT and EINSTEIN-Extension, ELATE, Hokusai-VTE, Kaseno K et al, Lakkireddy D et al, Larsen TB et al, Majeed A et al, PREVENT 2003, RE-ALIGN, RE-COVER, RE-COVER II , RE-LY, RE-LY Asian subgroup, RE-LY cardioversion, RE-LY concomitant use of antiplatelet, RE-LY intracranial hemorrhage, RE-LY Japanese population, RE-LY periprocedural bleeding, RE-LY previous TIA or stroke, RE-LY quality of INR control, RE-LY risk of bleeding, RE-NOVATE, RELY-ABLE, ROCKET AF, THRIVE, THRIVE III, VTE二次予防の抗血栓療法の有効性および安全性, WARFASA
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