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RESPECT Randomized Evaluation of Recurrent Stroke Comparing PFO Closure to Established Current Standard of Care Treatment
結論 原因不明の虚血性脳卒中既往成人患者における卵円孔開存閉鎖術のベネフィットは,intention-to-treat(ITT)解析では認められなかった。しかし,per-protocol解析およびas-treated解析では閉鎖術のベネフィットは薬物療法を上回り,デバイスおよび手技関連リスク発症率は低かった。
コメント Amplazerを用いたカテーテル治療による卵円孔開存閉鎖術の原因不明の脳梗塞患者に対する有効性を薬物療法と比較し,付加的解析(per-protocol,as-treated)ではあるが,初めて有効性を示した報告である。PC Trialにくらべ登録症例数が多く,小血管障害と思われる症例を除外した点などが結果に差異を生じさせているかもしれない。シャントサイズが大きい例,心房中隔瘤陽性例でより効果的であったとする結果は理にかなっている。これらは薬物治療群の脱落にも関係していると思われる。(岡田靖

目的 18~60歳の原因不明の虚血性脳卒中患者における再発または早期死亡予防について,卵円孔開存閉鎖術は薬物療法単独にくらべてすぐれるか検討した。有効性主要評価項目:非致死性/致死性虚血性脳卒中再発,早期死亡(閉鎖群ではデバイス留置から30日以内または無作為割付から45日以内の全死亡,薬物療法群では無作為割付から45日以内の全死亡)の複合。
デザイン PROBE(prospective,randomized,open,blinded endpoints),event-driven試験(主要評価項目の発症25件)。主要解析:ITT解析,事前設定解析:per-protocol解析,as-treated解析。NCT00465270。
セッティング 多施設(69施設),2ヵ国(米国,カナダ)。
期間 登録期間は2003年8月23日~2011年12月28日。追跡期間は平均2.6年。
対象患者 980例。18~60歳,原因不明の虚血性脳卒中を発症してから270日以内の経食道心エコー検査により卵円孔開存が確認された患者。
【除外基準】大血管疾患,心原性塞栓症,内因性小血管疾患によるラクナ梗塞,動脈内凝固亢進状態など,奇異性塞栓症以外の原因が同定された患者。
【患者背景】平均年齢は閉鎖群45.7歳,薬物療法群46.2歳。各群の男性53.7%,55.7%。病歴:糖尿病6.6%,8.3%,現喫煙15.0%,11.4%,全身性高血圧31.7%,31.2%,高コレステロール血症38.9%,40.1%,冠動脈疾患3.8%,1.9%,一過性脳虚血発作(TIA)既往11.6%,12.7%,脳卒中既往10.6%,10.6%,心房中隔瘤36.1%,35.1%。
治療法 施設,割付け前に推奨された薬物治療,心房中隔瘤の有無により層別化後,以下の2群に無作為割付。
閉鎖群:499例。割付後21日以内に,Amplatzer PFO Occluderを用いて卵円孔閉鎖術を施行。デバイス留置前は割付前の抗血栓治療を継続。デバイス留置後は,aspirin 81~325mg+clopidogrelを1ヵ月投与し,続いて5ヵ月aspirin単独投与。その後の抗血小板薬投与は医師の裁量にて決定。
薬物療法群:481例。試験期間中,4種類の薬物療法(aspirin単独46.5%,warfarin単独25.2%,clopidogrel単独14.0%,aspirin+徐放性dipyridamole 8.1%)のいずれかを実施。ガイドライン改正の2006年まではaspirin+clopidogrel併用(6.2%)も許可した。
追跡完了率 脱落率は閉鎖群9.2%,薬物療法群17.2%。
結果

●評価項目
治療曝露期間は閉鎖群1,375人・年,薬物療法群1,184人・年(p=0.009)。閉鎖群における手技成功は96.1%,6ヵ月後の卵円孔開存完全閉鎖率は72.7%。
ITT集団:発症した有効性主要評価項目はすべて非致死性虚血性脳卒中再発で,閉鎖群9例,薬物療法群16例と同程度であった(HR 0.49,95%CI 0.22-1.11,p=0.08)。
事前設定のper-protocol集団およびas-treated集団では,閉鎖群で薬物療法群にくらべてリスクの減少がみられた。
per-protocol集団(944例):閉鎖群6/471例 vs. 薬物療法群14/473例,HR 0.37,95%CI 0.14-0.96,p=0.03。
as-treated集団(958例):5/474例 vs. 16/484例,HR 0.27,95%CI 0.10-0.75,p=0.007。
ITTコホートにおける6ヵ月後の症候性非致死性虚血性脳卒中再発または心血管死リスクは,閉鎖群で薬物療法群にくらべ抑制傾向がみられたが(HR 0.17,95%CI 0.02-1.47,p=0.07),TIAリスクは同程度であった(HR 0.89,95%CI 0.31-2.54,p=0.83)。

●有害事象
重篤な有害事象は,閉鎖群23.0%,薬物療法群21.6%と同程度であった(p=0.65)。閉鎖群における手技またはデバイス関連の重篤な有害事象は21例(4.2%)にみられたが,心房細動,デバイス関連血栓は増加しなかった。

文献: Carroll JD, et al.; RESPECT Investigators. Closure of patent foramen ovale versus medical therapy after cryptogenic stroke. N Engl J Med 2013; 368: 1092-100. pubmed
関連トライアル CLOSURE I, CODICIA, Flynn RW et al, FORI, German Stroke Study Collaboration, PC Trial, PICSS aortic arch plaques, PROTECT AF
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