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Zinkstok SM et al Safety of Thrombolysis in Stroke Mimics: Results from a Multicenter Cohort Study
結論 経験の豊富な脳卒中センターで血栓溶解療法を受けた患者において,最終診断が脳卒中でなかった症例は少数で,合併症発症率は低かった。
コメント 5,000例を超える大規模コホートでの解析であり,実地臨床上,重要な研究報告である。Stroke mimics群にstroke/TIAの既往が多い点は留意すべきであり,症候性てんかん,心因性の新たな神経症候などが鑑別困難であることを示している。(岡田靖

目的 stroke mimicsに対する血栓溶解療法について,重篤な合併症はこれまで報告されていないものの,報告の多くは小規模研究にすぎない。本研究は,大規模コホートにおいて血栓溶解療法を受けたstroke mimicsの頻度および臨床的特徴を調査し,その安全性を検討した。
デザイン 観察的コホート研究。
セッティング 多施設(12施設),欧州。
期間 治療期間は2011年12月31日まで。
対象患者 5,518例。2011年12月31日までに血栓溶解療法を受けた患者。
【除外基準】―
【患者背景】平均年齢はstroke mimics群56歳,脳卒中群70歳(p<0.0001)。各群の女性55.0%,43.3%(p=0.02)。高血圧36.1%,66.4%(p<0.0001),糖尿病16.5%,18.7%,心房細動5.2%,27.8%(p<0.0001),高コレステロール血症27.1%,37.9%(p=0.03),冠動脈疾患9.3%,17.4%(p=0.035),虚血性脳卒中/TIA既往20.6%,13.0%(p=0.028),現喫煙28.9%,21.8%。National Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア中央値6(IQR 5~9),11(7~17)(p<0.0001)。発症から治療までの経過時間中央値168(IQR 125~197)分,145(105~180)分(p=0.001)。
治療法 現行のガイドラインにしたがい,発症から4.5時間以内にalteplase 0.9mg/kg(最大90mg)を静注。
追跡完了率 3ヵ月の追跡完了は98.3%。
結果

●評価項目
stroke mimics は100例(1.8%,95%CI 1.5-2.2)で,最終診断はてんかん発作41%,心因性疾患28%,片頭痛12%,脱髄5%,脳炎3%,脳腫瘍2%であった。stroke mimicsは若齢で,女性が多く,喫煙,脳卒中/TIA既往以外のリスク因子が少なかった(患者背景の項参照)。
stroke mimics群の症候性頭蓋内出血(ECASS定義)は1例(1.0%;0.0-5.0)で,虚血性脳卒中群275例(5.5%;4.9-6.1)にくらべ少なかった(p=0.049)。
その他の転帰は以下の通りであった。
症候性頭蓋内出血(NINDS定義):2.0% vs. 7.9%(p=0.030)。
致死的頭蓋内出血:0% vs. 2.7%(p=0.115)。
死亡:2.1% vs. 14.4%(p<0.0001)。
転帰優良(modified Rankin Score:mRS 0~1):75.0% vs. 39.5%(p<0.0001)。
転帰良好(mRS 0~2):87.5% vs. 55.5%(p<0.0001)。

[メタ解析]
対象とした3試験(stroke mimics 28例,脳卒中1,695例)はすべて,stroke mimicsに対する血栓溶解療法は安全とし,症候性頭蓋内出血は0例であった。

●有害事象

文献: Zinkstok SM, et al. Safety of thrombolysis in stroke mimics: results from a multicenter cohort study. Stroke 2013; 44: 1080-4. pubmed
関連トライアル Bravo Y et al, Cronin CA et al, ECASS, ECASS III, Guillan M et al, ICARO, ICARO-2, J-MARS, Power A et al, Sarikaya H et al (obese), Sarikaya H et al (posterior circulation stroke), Schellinger PD et al, Singer OC et al, SITS-ISTR 2010, SITS-ISTR antiplatelet therapy, SITS-ISTR young patients, SITS-MOST, SITS-MOST multivariable analysis, TASCC, Toni D et al, Tsivgoulis G et al, 血栓溶解療法後の頭蓋内出血, 前方循環閉塞に対する血栓溶解療法
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