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PC Trial Percutaneous Closure of Patent Foramen Ovale Using the Amplatzer PFO Occluder with Medical Treatment in Patients with Cryptogenic Embolism
結論 原因不明の血栓塞栓症の二次予防としての卵円孔開存閉鎖術は,抗血栓療法にくらべ,血栓塞栓イベント再発および死亡のリスクを抑制しなかった。
コメント Amplazerを用いたカテーテル治療による卵円孔開存閉鎖術が原因不明の脳梗塞患者の虚血性脳卒中再発予防に有効か否かを薬物療法と比較した臨床研究である。RESPECTに比較して登録症例数が各群約200例と少なく,薬物治療群のイベント発生率も当初の予測より低く(1.3%/年,予測値3%/年),タイプIIエラーの可能性が考慮されている。脳卒中の臨床現場で奇異性塞栓の再発率は低い。本デバイスは卵円孔閉鎖の成功率および6ヵ月後の有効率が高いことを示した。(岡田靖

目的 卵円孔開存患者における原因不明の血栓塞栓症に対する二次予防として,経皮的卵円孔開存閉鎖術は薬物療法にくらべて有効であるか検討した。主要評価項目:全死亡,非致死性脳卒中,一過性脳虚血発作(TIA),末梢動脈血栓塞栓症の複合。
デザイン PROBE(prospective,randomized,open,blinded endpoints), intention-to-treat 解析。NCT00166257。
セッティング 多施設(29施設),複数国(欧州,カナダ,ブラジル,オーストラリア)。
期間 登録期間は2000年2月24日~2009年2月19日。平均追跡期間は閉鎖群4.1 年,抗血栓療法群4.0年。
対象患者 414例。60歳未満,経食道心エコー検査で卵円孔開存を確認し,それ以外の原因が認められない虚血性脳卒中(臨床的および神経放射線学的に確認),TIA(神経学的に確認された虚血性脳病変を有する),頭蓋外末梢血栓塞栓イベント(臨床的およびX線で確認)患者。
【除外基準】―
【患者背景】平均年齢は閉鎖群44.3歳,薬物療法群44.6歳。各群の男性45.1%,54.3%,BMI 26.6 kg/m2,26.3 kg/m2,脳血管イベントの家族歴26.0%,19.0%,現喫煙25.5%,22.4%。病歴:動脈性高血圧24.0%,27.6%,糖尿病2.5%,2.9%,高コレステロール血症24.5%,29.5%,心臓弁膜症3.9%,2.4%,冠動脈疾患2.0%,1.9%,当該の脳血管イベント:末梢動脈血栓塞栓症2.9%,2.4%,TIA 16.2%,20.0%,脳卒中80.9%,77.6%。複数回の脳血管イベント歴37.3%,37.6%,イベント発症から割付までの経過(中央値)4.3ヵ月,4.5ヵ月,心房中隔瘤23.0%,24.3%。
治療法 以下の2群に無作為割付。
閉鎖群:204例。Amplatzer PFO Occluderを用いて,経皮的カテーテル卵円孔開存閉鎖術を実施。推奨の抗血栓療法は,aspirin 100~325mg/日を5~6ヵ月間,およびticlopidine 250~500mg/日またはclopidogrel 75~150 mg/日を1~6ヵ月間投与。aspirin不耐容の場合にはticlopidineまたはclopidogrel単独を推奨。
薬物療法群:210例。抗血栓療法は,医師の裁量で決定。
追跡完了率 脱落は閉鎖群7例,薬物療法群11例,追跡不能は24例,31例。
結果

●評価項目
閉鎖群のデバイス留置成功は95.9%,経食道心エコー検査施行148例における6ヵ月後の卵円孔開存有効閉鎖率は95.9%。
主要評価項目は閉鎖群7例(3.4%),薬物療法群11例(5.2%)と,同程度であった(HR 0.63,95%CI 0.24-1.62,p=0.34)。
全死亡:閉鎖群1.0% vs. 薬物療法群0%,HR 5.20,95%CI 0.25-10.7.61,p=0.24(閉鎖群の死亡はすべて非心血管死)。
非致死性脳卒中:0.5%vs. 2.4%,HR 0.20,95%CI 0.02-1.72,p=0.14。
TIA:2.5% vs. 3.3%,HR 0.71,95%CI 0.23-2.24,p=0.56。
末梢動脈血栓塞栓症:0% vs. 0%。
脳卒中,TIA,末梢動脈血栓塞栓症の複合:2.5% vs. 5.2%,HR 0.45,95%CI 0.16-1.29,p=0.14。

●有害事象
有害事象は,閉鎖群71例(34.8%),薬物療法群62例(29.5%)に発生し,このうち重篤な事象は60件(43例,21.1%),56件(37例,17.6%)であった。

文献: Meier B, et al.; PC Trial Investigators. Percutaneous closure of patent foramen ovale in cryptogenic embolism. N Engl J Med 2013; 368: 1083-91. pubmed
関連トライアル CLOSURE I, CODICIA, FORI, German Stroke Study Collaboration, RESPECT, 薬物療法中の卵円孔開存患者における脳梗塞再発
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