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CHAMPION PHOENIX Cangrelor Versus Standard Therapy to Achieve Optimal Management of Platelet Inhibition
結論 PCI施行例において,cangrelorは大出血リスクを上昇させずに周術期のステント血栓症を含む虚血性イベントを抑制した。
コメント 本試験はACS後7日間という超急性期の予後改善を示したインパクトの大きな試験である。日本には静注利用できる抗血小板薬がない。本試験に日本は入っていないが,インターベンション中に血栓イベントを起こして困る症例は少数ながら存在する。GP IIb/IIIa阻害薬が承認されていない日本において,カングレローのような薬剤は,少数だが困っている症例に対して有用性が高いと期待される。(後藤信哉

目的 緊急・待機的PCIを施行する患者において,cangrelor前投与(静注)が虚血性合併症を抑制するか検討した。有効性主要評価項目:48時間後の全死亡,心筋梗塞(MI),虚血による血行再建術,ステント血栓症の複合。安全性主要評価項目:48時間後のGUSTO出血基準のCABGに関連しない大出血。
デザイン 無作為割付,二重盲検, modified intention-to-treat解析。NCT01156571。
セッティング 多施設(153施設)。
期間 無作為割付期間は2010年9月30日~2012年10月3日。
対象患者 10,942例。18歳以上,安定狭心症,非ST上昇型急性冠症候群(NSTE-ACS),ST上昇型MI(STEMI)に対するPCIを必要とするアテローム性冠動脈疾患患者で,抗血小板薬前投与を受けていない症例。
【除外基準】無作為割付前の7日間にP2Y12阻害薬またはabciximab,12時間以内にeptifibatide,tirofiban,血栓溶解療法を受けた症例。
【患者背景】年齢中央値はcangrelor群64歳,clopidogrel群64歳。各群の女性28.5%,27.3%。診断:安定狭心症57.0%,55.2%,NSTE-ACS 25.4%,26.0%,STEMI 17.6%,18.8%。病歴:糖尿病27.8%,28.1%,現喫煙28.2%,29.0%,高血圧80.1%,79.4%,高コレステロール血症69.3%,69.0%,脳卒中/一過性脳虚血発作既往5.0%,4.5%,MI 20.1%,21.6%,うっ血性心不全10.1%,10.7%,末梢血管疾患8.3%,7.1%。薬剤溶出性ステント55.9%,55.2%。
治療法 cangrelor群(5,472例):30μg/kgをボーラス静注後,4μg/kg/分を,2時間またはPCIの終了まで(時間が長いほう)静注。静注後,clopidogrel 600mgを投与。
clopidogrel群(5,470例):600mgまたは300mgを投与。投与量は担当医の裁量とした。
全例にaspirin 75~325mgを投与。
PCI後最初の48時間はclopidogrel 75mgを投与し,その後は担当医の判断によりその地域のガイドラインにもとづいてclopidogrelもしくはその他のP2Y12阻害薬の投与を可とした。周術期の抗凝固薬投与も担当医の判断とし,GP IIb/IIIa受容体拮抗薬は手技中のrescueの場合のみ投与可とした。
追跡完了率
結果

●評価項目
有効性主要評価項目(48時間後)はcangrelor群257例(4.7%)で,clopidogrel群322例(5.9%)にくらべ抑制された(調整OR 0.78;95%CI 0.66~0.93,p=0.005)。
48時間後のステント血栓症(definite):0.8% vs 1.4%:0.62;0.43~0.90, p=0.01。
30日後もcangrelorの有効性は持続していた。
有効性主要評価項目:6.0% vs. 7.0%,OR 0.85;0.73~0.99,p=0.03。
ステント血栓症:1.3% vs. 1.9%,OR 0.68;0.50~0.92,p=0.01。
cangrelorのベネフィットはサブグループ解析においても一貫していた。

安全性主要評価項目はcangrelor群9例(0.16%),clopidogrel群6例(0.11%)で,同程度であった(OR 1.50;0.53~4.22,p=0.44)。

ネットクリニカルイベント(有効性主要評価項目+安全性主要評価項目)は,cangrelor群264/5,470例(4.8%)で,clopidogrel群327/5,469例(6.0%)にくらべ抑制された(OR 0.80;0.68~0.94,p=0.008)。

●有害事象
試験薬に関連する有害事象発症率は両群とも低かったが,一過性呼吸困難はcangrelor群のほうが多かった(1.2% vs. 0.3%,p<0.001)。

文献: Bhatt DL, et al.; CHAMPION PHOENIX Investigators. Effect of platelet inhibition with cangrelor during PCI on ischemic events. N Engl J Med 2013; 368: 1303-13. pubmed
関連トライアル BRAVE-3, CASPAR , CHAMPION PCI, CHAMPION PLATFORM, CHAMPION pooled analysis, CHARISMA, CLARITY-TIMI 28, CLASSICS, COGENT, COMPASS, CREDO, EPIC 1994, ISAR-REACT 3, ISAR-SWEET, PCI-CLARITY, PCI施行患者に対するcangrelor, PLATO, PLATO total events, PRODIGY, REAL-LATE / ZEST-LATE, RESTORE, Sibbing D et al (2009, JACC), STARS, TARGET, TRILOGY ACS, TRITON-TIMI 38, TRITON-TIMI 38 early and late benefits, TRITON-TIMI 38 PCI
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