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IMS III Interventional Management of Stroke III
結論 血管内治療およびtPA静注の併用は,tPA静注単独と同様の安全性を示し,機能転帰について有意差を示さなかった。
コメント 本研究で血管内治療追加の有効性が示せなかった理由の分析として,血管内治療+rt-PA治療群の治療開始時間が遅れ,主要血管の有効な再開通の割合も低いことがあげられ,閉塞血管の確認なしに割り付ける臨床試験の限界が示された。本研究は血管内治療の適応を再考させる重要な臨床研究となった。時間との闘いの中での血管内治療の追加は,今一度,厳格に限定された患者を対象とした臨床試験で見直しがなされるべきである。(岡田靖

目的 中等度から重度の虚血性脳卒中患者における血管内治療の使用は増加しているが,tPA静注との併用がtPA静注単独より有効かどうかは不明である。本試験では,発症から3時間以内にtPA静注を行った虚血性脳卒中患者において,tPA静注への血管内治療追加がtPA静注単独よりすぐれるか検討した。主要評価項目:90日後の転帰良好(modified Rankin Score[mRS]0~2)。
デザイン PROBE(prospective,randomised,open,blinded endpoints), NCT00359424。
セッティング 多施設(58施設),複数国(北米,オーストラリア,欧州)。
期間 登録期間は2006年8月25日~2012年4月17日。追跡期間は90日。
対象患者 656例。18~82歳,発症から3時間以内にtPAを静注した中等度から重度の虚血性脳卒中患者。
【除外基準】―
【患者背景】年齢中央値は血管内治療群69歳,tPA静注単独群68歳。各群の男性50.2%,55.0%。National Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコアスコア中央値17(範囲7~40),16(8~30)。心房細動35.3%,31.5%,高血圧既往73.5%,77.0%。糖尿病既往21.7%,24.3%。発症からtPA静注開始までの経過時間122.4±33.7分,121.2±33.8分。
治療法 全例にtPA標準用量(0.9mg/kg,最大90mg)の10%をボーラス静注,残りを1時間以上かけて静注。治療開始から40分以内に,以下の2群に2:1の割合で無作為割付。
血管内治療群:434例。可及的すみやかに血管内造影を行い,治療可能な閉塞が認められた場合は血管内治療(Merci retriever,Penumbra,Solitaire FR,Microsonic SV,マイクロカテーテル)を施行。血管造影手技は発症から5時間以内に開始し,7時間以内に終了した。血管内治療中,heparinは2000Uをボーラス静注後,450U/時を静注し,手技終了時に中止した。
tPA静注群:222例。
追跡完了率
結果

●評価項目
本試験は2012年4月,無益とされ早期に中止された。
90日後の転帰良好は両群で同程度であった(血管内治療併用群40.8% vs. tPA静注単独群38.7%,補正後絶対差1.5%,95%CI -6.1~9.1)。
NIHSS≧20:6.8%,95%CI -4.4~18.1。
NIHSS 8~19:-1.0%,95%CI -10.8~8.8。
血管内治療群における再灌流率(TICI 2b~3)は以下の通り;内頸動脈(65例)38%,M1(135例)44%,M2(病変が単数,61例)44%,M2(病変が複数,22例)23%。
90日後の死亡率,30時間後までの症候性頭蓋内出血は同程度であった。
死亡率:83例(19.1%)vs. 48例(21.6%),p=0.52。
症候性頭蓋内出血:27例(6.2%)vs. 13例(5.9%),p=0.83。
無症候性頭蓋内出血は血管内治療群のほうが多かった;27.4% vs. 18.9%,p=0.01。

●有害事象

文献: Broderick JP, et al.; Interventional Management of Stroke (IMS) III Investigators. Endovascular therapy after intravenous t-PA versus t-PA alone for stroke. N Engl J Med 2013; 368: 893-903. pubmed
関連トライアル Austrian Stroke Unit Registry, Bhatia R et al, CLOTBUST , ECASS, ECASS III, ICARO, ICARO-2, IST-3, MR RESCUE, NINDS rt-PA Stroke Study 1995, Power A et al, PRACTISE gender difference, SAINT postthrombolysis ICH, SAMURAI rt-PA Registry early neurological deterioration, Saqqur M et al, SITS-ISTR importance of recanalization, SITS-ISTR sex differences, SITS-MOST multivariable analysis, SYNTHESIS Expansion, Toni D et al, 血栓溶解療法後の頭蓋内出血, 前方循環閉塞に対する血栓溶解療法, 内頸動脈閉塞に続発する脳梗塞に対するtPA静注および動脈内血管内療法
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