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メタ解析
自然発生的心筋梗塞予防におけるPCIと至適薬物療法の比較
Percutaneous Coronary Intervention Versus Optimal Medical Therapy for Prevention of Spontaneous Myocardial Infarction in Subjects with Stable Ischemic Heart Disease
結論 PCIは至適薬物療法にくらべ,自然発生的心筋梗塞は抑制したが,手技関連心筋梗塞リスクは上昇し,結果として全心筋梗塞は抑制しなかった。因果関係の究明のためにはさらなる研究が必要である。
コメント 心筋梗塞を心筋の壊死と定義すれば,冠動脈インターベンション後には一部の心筋が壊死する。しかし,自然発症の心筋梗塞に比較すれば,冠動脈インターベンション後の心筋梗塞の生命予後におよぼすインパクトは小さいと理解されている。論文以外も含む広範囲のランダム化比較試験のメタ解析において,内科的治療群に比較して冠動脈インターベンション治療群では自然発症の心筋梗塞の発症が少ないとされたが,心筋梗塞全体としてみると差がない。出版バイアスはないとされているが,このような重要な仮説の検証にメタ解析が向いているか否かは議論が残る。死亡率においてはインターベンション群と内科治療群では差がないとされた。論文の結論がFurther studies are needed to determine whether these association are causalとなっているように,本論文の結論は記述的意義を超えるものではない。(後藤信哉

目的 手技に関連しない自然発生的心筋梗塞はその後の死亡率と関連しているが,PCIがそのような心筋梗塞を抑制するかは明確になっていない。本メタ解析では,さまざまなタイプの心筋梗塞(手技に関連しない自然発生的心筋梗塞,手技関連心筋梗塞,全心筋梗塞)について,PCIと至適薬物療法の比較を行った。
方法 PubMed,EMBASE,CENTRALにて,2012年10月第2週までに出版されたRCTの論文について,検索語(coronary artery disease,ischemic heart disease,angina,percutaneous coronary intervention,percutaneous transluminal coronary angioplasty,revascularization)を用い検索。検索した論文の文献リストのマニュアルサーチも行った。言語の制限は設けなかった。
対象 12試験(8,070例,37,548患者・年)。
対象:安定冠動脈疾患患者においてPCIと至適薬物療法(抗血小板薬,抗狭心症薬,脂質低下薬)を比較した,心筋梗塞のアウトカムを報告している試験。
除外:急性冠症候群発症の1週間以内に患者を登録した試験,血行再建のためCABGも行っている試験。
主な結果 ・心筋梗塞
PCIは至適薬物療法にくらべ,自然発生的心筋梗塞の罹患率比(IRR)を抑制した。出版バイアスはみられなかった(Egger’s p=0.49,Begg’s p=0.75)。ステント使用の有無により別々に解析したところ,交互作用は認められなかった(交互作用p=0.53)。
自然発生的心筋梗塞:PCI群13.68/1000患者・年 vs. 至適薬物療法群17.30/1000患者・年,IRR 0.76,95%CI 0.58-0.99,I2=31.6%。
手技関連心筋梗塞は増加し,全心筋梗塞は抑制しなかった。
手技関連心筋梗塞:4.60/1000患者・年 vs. 1.01/1000患者・年,IRR 4.17,95%CI 2.53-6.88,I2=0%,Egger’s p=0.49,Begg’s p=0.26。
全心筋梗塞:18.28/1000患者・年 vs. 18.31/1000患者・年,IRR 0.96,95%CI 0.74-1.21,I2=50%,Egger’s p=0.57,Begg’s p=0.63。

・死亡
全死亡,心血管死とも,PCIと至適薬物療法の間に有意差は認められなかった。
全死亡:PCI群16.20/1000患者・年 vs. 至適薬物療法群18.47/1000患者・年,IRR 0.88,95%CI 0.75-1.03。
心血管死:6.47/1000患者・年 vs. 8.01/1000患者・年,IRR 0.70,95%CI 0.44-1.09。
文献: Bangalore S, et al. Percutaneous coronary intervention versus optimal medical therapy for prevention of spontaneous myocardial infarction in subjects with stable ischemic heart disease. Circulation 2013; 127: 769-81. pubmed
関連トライアル COURAGE, CREDO, PCI-CLARITY, Sachdeva A et al, SWISSI II
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