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MAGELLAN Multicenter, Randomized, Parallel Group Efficacy and Safety Study for the Prevention of Venous Thromboembolism in Hospitalized Acutely Ill Medical Patients Comparing Rivaroxaban with Enoxaparin
結論 急性内科疾患患者における静脈血栓塞栓症(VTE)予防について,rivaroxabanは短期投与ではenoxaparinに対し非劣性を示し,長期投与ではenoxaparinに続くプラセボ投与に対し優越性を示した。一方,rivaroxabanの短期および長期投与は,出血リスクを有意に上昇させた。
コメント リスクを有する内科領域入院患者に対する静脈血栓塞栓症発症抑制において,新規経口第Xa因子阻害薬リバーロキサバンによる約35日間の薬物予防は,従来のエノキサパリンによる約10日間の薬物予防と比較して,有効性では10日目には非劣性が,35日目には優位性が示された。しかしながら,出血の頻度は10日目と35日目ともに増加させた。今後,本邦で内科領域の入院患者に対する薬物予防を行うにあたっては,その妥当性の検証ともに年齢や腎機能障害を含めた出血リスク評価法の確立が望まれる。(山田典一

目的 急性内科疾患による入院患者における適切なVTE予防期間は明確になっていない。本試験では,(1)rivaroxabanを用いた短期治療(10日間投与)は,標準療法のenoxaparinに比し非劣性かどうか,(2)さらにrivaroxabanによる継続的長期投与(35日間投与)は,enoxaparinに続くプラセボ投与と比べて優越性を示すかどうか,を検討。有効性主要評価項目:1~10日間,1~35日間に発現した無症候性近位部深部静脈血栓症(DVT),症候性近位部/遠位部DVT,症候性非致死性肺塞栓症(PE),VTE関連死の複合。安全性主要評価項目:二重盲検の試験薬最終投与から2日以内の重大な出血および重大ではないが臨床的に問題となる出血。
デザイン 無作為割付,二重盲検,非劣性試験(試験薬10日間投与,per-protocol population),優越性試験(35日間投与,modified intention-to-treat population)。安全性の解析対象:safety population。NCT00571649。
セッティング 多施設(556施設),52ヵ国。
期間 登録期間は2007年12月~2010年7月。
対象患者 8,101例。40歳以上,急性内科疾患(NYHA III/IVの心不全,活動性がん,脳梗塞,感染症または炎症性疾患,急性呼吸不全)により72時間以内に入院した患者。
【除外基準】enoxaparin禁忌,出血リスク上昇,併発疾患(重度の腎不全,試験薬の中止を要する肝機能障害,血圧コントロール不良,昇圧剤を要するショックなど)を有する,薬剤または手技(2日以上の抗凝固薬予防的使用,強力なcytochrome P450 3A4阻害剤の全身投与から4日以内または使用予定,血栓溶解薬の適応または抗凝固薬の14日以上の継続的使用の必要,VTEに対する機械的血栓予防)を要する。
【患者背景】年齢中央値はrivaroxaban群71.0歳,enoxaparin群71.0歳。各群の男性55.6%,52.7%。クレアチニンクリアランス30~<50mL/分19.5%,19.9%,50~≦80mL/分37.0%,38.2%,>80mL/分39.1%,37.9%。急性内科疾患:感染症45.8%,45.1%,心不全32.3%,32.4%,呼吸不全27.3%,28.7%,脳梗塞17.3%,17.3%,複数有する30.6%,31.4%。リスク因子:75歳以上38.3%,38.6%,DVTまたはPE既往5.0%,4.4%。
治療法 以下の2群に無作為割付。
rivaroxaban群:4,050例。rivaroxaban 10mg 1日1回,35±4日間経口投与+プラセボを10±4日間皮下注。
enoxaparin群:4,051例。enoxaparin 40mg 1日1回,10±4日間皮下注およびプラセボを35±4日間経口投与。
全例に対し10±4日目および35±4日目に超音波検査を施行。追跡期間中にDVTが疑われた場合は超音波検査など血管イメージングを実施し,PEが疑われた場合は胸部スパイラルCT,胸部X線および肺換気血流スキャン,肺血管造影を行った。
追跡完了率
結果

●評価項目
有効性主要評価項目について,10日間の解析ではrivaroxabanのenoxaparinに対する非劣性,35日間の解析では優越性が認められた。
10日間:rivaroxaban群78/2,938例(2.7%),enoxaparin群82/2,993例(2.7%),RR 0.97,95%CI 0.71-1.31,非劣性p=0.003。
無症候性近位部DVT:71例(2.4%)vs. 71例(2.4%)。
症候性近位部/遠位部DVT:7例(0.2%)vs. 6例(0.2%)。
症候性非致死性PE:6例(0.2%)vs. 2例(<0.1%)。
VTE関連死:3例(0.1%)vs. 6例(0.2%)。
35日間:131/2,967例(4.4%)vs. 175/3,057例(5.7%),RR 0.77;0.62-0.96,p=0.02。
無症候性近位部DVT:103例(3.5%)vs. 133例(4.4%)。
症候性近位部/遠位部DVT:13例(0.4%)vs. 15例(0.5%)。
症候性非致死的PE:10例(0.3%)vs. 14例(0.5%)。
VTE関連死:19例(0.6%)vs. 30例(1.0%)。

安全性主要評価項目は10日間,35日間ともrivaroxaban群で有意に多かった。
10日間:111/3,997例(2.8%)vs. 49/4,001例(1.2%),RR 2.3;1.63-3.17,p<0.001。
35日間:164/3,997例(4.1%)vs. 67/4,001例(1.7%),RR 2.5;1.85-3.25,p<0.001。

ネットクリニカルベネフィット(有効性主要評価項目または安全性主要評価項目)は以下の通りであった。
10日間:rivaroxaban群216/3,266例(6.6%),enoxaparin群151/3,291例(4.6%),RR 1.44;1.18-1.77,p<0.001。
35日間:286/3,042例(9.4%)vs. 240/3,082例(7.8%),RR 1.21;1.03-1.43,p=0.02。

●有害事象
ALTの正常値上限の3倍を超える上昇かつビリルビンの正常値上限の2倍を超える上昇は両群とも7例(0.2%)。

文献: Cohen AT, et al.; MAGELLAN Investigators. Rivaroxaban for thromboprophylaxis in acutely ill medical patients. N Engl J Med 2013; 368: 513-23. pubmed
関連トライアル ACE , ADOPT, ADVANCE, ADVANCE-2, ADVANCE-3 , AMPLIFY, APROPOS, ATLAS ACS 2-TIMI 51, ATLAS ACS-TIMI 46 , CASSIOPEA, dabigatran,rivaroxaban,apixabanによる関節置換術後の血栓予防, dabigatran,rivaroxaban,apixabanの間接比較, EINSTEIN-DVT and EINSTEIN-Extension, EINSTEIN-PE, Hokusai-VTE, J-ROCKET AF renal impairment, LIFENOX, ODIXa-HIP, ODIXa-KNEE, ODIXa-OD-HIP, ORTHO-TEP Registry, PREVENT 2004, RE-NOVATE, RECORD1, RECORD2, RECORD3, RECORD4, ROCKET AF, SAVE-ONCO, van Gogh Studies prophylaxis, WARFASA
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