抗血栓トライアルデータベース
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ICARO-2
結論 脳梗塞患者に対する血栓溶解療法について,頭蓋外内頸動脈(eICA)閉塞と有害転帰の間に関連がみられた。
コメント 内頸動脈閉塞症例へのrt-PA血栓溶解療法の転帰が内頸動脈非閉塞例と比較して悪いことが,あらためて示された形だ。内頸動脈閉塞症例へのrt-PA血栓溶解療法に限界があることから,血管内治療を追加することや,rt-PA投与前から血管内治療を行うことの可否が今後ますます論じられよう。(矢坂正弘

目的 先行研究では,eICA閉塞患者に対する血栓溶解療法は死亡率を上昇させると報告されている。本研究では,eICA閉塞患者に対する血栓溶解療法の有効性,安全性を非eICA閉塞患者と比較した。有効性主要評価項目:90日後の転帰良好[modified Rankin Score(mRS)0~2]。安全性主要評価項目:90日後の全死亡,全頭蓋内出血,症候性出血。
デザイン コホート研究。
セッティング 多施設(20施設),イタリア。
期間
対象患者 1,898例(eICA閉塞137例+非eICA閉塞1,761例)。当該施設で発症から4.5時間以内に血栓溶解療法を行った脳梗塞患者(SITS-ISTR登録例)。
【除外基準】本解析からは,動脈内レスキュー血栓溶解療法実施例は除外。
【患者背景】平均年齢はeICA閉塞群64.0歳,非eICA閉塞群67.2歳(p=0.005)。各群の男性70.1%,63.3%(p=0.005)。発症から治療までの経過時間167.3±127.9分,161.4±427.0分。National Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア14.9±5.6,12.0±6.5(p=0.0001)。大血管疾患55.5%,10.0%(p=0.0001)。心房細動/粗動10.9%,21.5%(p=0.002)。糖尿病10.2%,16.5%。高血圧55.5%,64.7%。脂質異常症25.5%,35.3%(p=0.048)。抗血小板薬前投与22.6%,37.8%(p=0.0001)。脳卒中既往6.6%,10.9%。
治療法 欧州の認可基準および現地の規制要件にしたがいtPA静注を実施。
追跡完了率 3ヵ月後の追跡不能は42例(うちeICA閉塞群3例)。
結果

●評価項目
死亡はeICA閉塞群30例(22.4%)で,非eICA閉塞群175例(10.2%)より多かった(p<0.0001)。
3ヵ月後の転帰不良(mRS 3~6)はeICA閉塞群91例(67.9%)で,非eICA閉塞群654 例(37.9%)より多かった(p<0.0001)。
3ヵ月後の転帰改善はeICA閉塞群のほうが少なかった。
mRS 0~1:eICA閉塞群 25例(18.7%) vs. 非eICA閉塞群829例(48.2%),(p<0.0001)。
mRS 0~2:43例(32.1%)vs. 1,068例(62.1%)(p=0.0001)。
血栓溶解療法後,CT/MRIで検出された頭蓋内出血はeICA閉塞群16例(11.7%)で,非eICA閉塞群314例(17.8%)と同程度であった(p=0.09)。
症候性頭蓋内出血(NINDS定義)も同程度であった;eICA閉塞群5.8%,非eICA閉塞群8.0%(p=0.16)。
ロジスティック回帰分析によると,eICA閉塞は90日後の死亡リスク(OR 5.7,95%CI 2.9-11.1),90日後の転帰不良リスク(OR 5.0;2.9-8.7)を上昇させた。
eICA閉塞患者において,以下の項目が死亡,90日後の転帰不良リスクと関連していた。
[死亡]
入院時の血糖値(1mg/dL上昇ごと):OR 1.03;1.00-1.05。
ベースライン時のNIHSSスコア(1点上昇ごと):OR 1.03;1.00-1.05。
[90日後の転帰不良]
年齢(1歳上昇ごと):OR 1.09;1.00-1.19。
ベースライン時のNIHSSスコア(1点上昇ごと):OR 1.33;1.12-1.58。

●有害事象

文献: Paciaroni M, et al. Intravenous Thrombolysis for Acute Ischemic Stroke Associated to Extracranial Internal Carotid Artery Occlusion: The ICARO-2 Study. Cerebrovasc Dis 2012; 34: 430-35. pubmed
関連トライアル Bichat Clinical Registry, Bray BD et al, ECASS III, Guillan M et al, GWTG-Stroke time to treatment, ICARO, IST-3, IST-3 18-month follow-up, J-MARS, Madrid Stroke Network, Mendonça N et al, MERCI and Multi MERCI, Mikulik R et al 2009, Murthy SB et al, Power A et al, PRACTISE gender difference, rtPA静注後の頭蓋内出血に関するリスク因子, SAINT postthrombolysis ICH, SAMURAI rt-PA Registry early neurological deterioration, Saqqur M et al, SITS-ISTR, SITS-ISTR importance of recanalization, SITS-ISTR 2010, SITS-ISTR antiplatelet therapy, SITS-ISTR blood pressure, SITS-ISTR sex differences, SITS-ISTR within-day and weekly variations, SITS-ISTR young patients, SITS-ISTR/VISTA, SITS-MOST multivariable analysis, Strbian D et al Ultra-Early Thrombolysis, SYNTHESIS Expansion, Toni D et al, Tutuncu S et al, Zinkstok SM et al, 血栓溶解療法後の頭蓋内出血, 前方循環閉塞に対する血栓溶解療法, 内頸動脈閉塞に続発する脳梗塞に対するtPA静注および動脈内血管内療法
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