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Manawadu D et al An Observational Study of Thrombolysis Outcomes in Wake-Up Ischemic Stroke Patients
結論 明確な臨床および画像基準を満たしている,起床時に発見された虚血性脳卒中患者に対する血栓溶解療法は,実行可能であり,転帰良好をもたらす可能性が示された。
コメント 起床時に発見される虚血性脳卒中は少なくない。一定の基準を設けてrt-PA血栓溶解療法が実施可能かを検討した研究であり,最終健常確認12時間以内で虚血性変化が限定されている場合には有効である可能性がある。preliminaryなsingle center studyで,より大規模な検討が必要であろう。(岡田靖

目的 虚血性脳卒中患者のうち起床時に発見された患者は8~27%を占めるが,発症時間が不明のため血栓溶解療法は行われず,発症時間がわかっている患者にくらべ転帰は不良である。ここでは,臨床および画像の基準を満たしている患者に対する血栓溶解療法は転帰良好と関連するという仮説を検討した。主要評価項目:90日後の転帰優良[modified Rankin Score(mRS) 0~1],転帰良好(mRS 0~2)。
デザイン 観察研究。
セッティング 単施設,英国。
期間 登録期間は2009年1月~2010年12月。
対象患者 122例。中等度~重度の神経学的欠損症状をともなう起床時に発見された虚血性脳卒中で,血栓溶解療法実施または非実施の患者。臨床的,画像的基準[(1)最後に正常な姿が確認されてから12時間以内または発症から4.5時間以上,(2)病院へ救急搬送,(3) National Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア≧5,(4)覚醒している姿を最後に目撃されたときは神経学的欠損がなかったが,起床時には持続的欠損がみられた,(5)CT上で中大脳動脈領域に虚血性変化がみられない,または1/3未満,(6)血栓溶解療法に対する禁忌がない]に合致する症例。
【除外基準】広範囲に及ぶ(中大脳動脈領域の1/3超または複数の領域を含む)または確立された梗塞。
【患者背景】平均年齢は血栓溶解療法施行群73.9歳,非施行群70.6歳。各群の男性34%,52%。高血圧66%,59%。糖尿病21%,24%。脂質異常症32%,46%。心房細動31%,17%。脳卒中の原因:アテローム動脈硬化性21%,11%,心原性48%,39%,ラクナ梗塞6%,22%。
治療法 標準用量のrtPAを投与。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
起床時に発見された虚血性脳卒中は,全脳卒中の10.5%(193/1,836例)であった。基準を満たした122例(63%)のうち,68例(56%)に血栓溶解療法を行った。
血栓溶解療法施行例および非施行例は,ベースライン時の患者特性は同程度であったが(患者背景の項参照),NIHSS中央値は施行患者のほうが高かった(11.5 vs. 9,p=0.034)。
転帰,死亡,脳内出血は同程度であった。
mRS 0~1 :11例(16.2%)vs. 5例(9.3%), p=0.494。
mRS 0~2 :25例(36.8%)vs. 14例(25.9%), p=0.346。
死亡:10例(14.7%)vs. 14例(25.9%),p=0.122。
症候性頭蓋内出血(ECASS定義):2例(2.9%)vs. 0例,p=0.204。
年齢,性別等を補正後,血栓溶解療法は90日後の転帰,死亡と関連していた。
mRS 0~2:OR 5.2,95%CI1.3-20.3,p=0.017。
死亡:OR 0.09,95%CI 0.02-0.44, p=0.003。

●有害事象

文献: Manawadu D, et al. An observational study of thrombolysis outcomes in wake-up ischemic stroke patients. Stroke 2013; 44: 427-31. pubmed
関連トライアル Bichat Clinical Registry, Cappellari M et al, CASES elderly patients, ECASS III, Helsinki Stroke Thrombolysis Registry, ICARO, J-MARS, Madrid Stroke Network, Mattle HP et al, RESTORE, Ruecker M et al, SAINT postthrombolysis ICH, SAMURAI, SAMURAI CT versus DWI, SAMURAI rt-PA Registry early neurological deterioration, Saposnik G et al, Schellinger PD et al, SITS-ISTR antiplatelet therapy, SITS-ISTR elderly, SITS-ISTR sex differences, SITS-ISTR within-day and weekly variations, SITS-ISTR young patients, SITS-ISTR/VISTA, SITS-MOST multivariable analysis, Strbian D et al Ultra-Early Thrombolysis, Toni D et al, TTT-AIS, VISTA baseline severity, VISTA contraindications, VISTA impact of atrial fibrillation, VISTA influence of age, 血栓溶解療法後の頭蓋内出血, 前方循環閉塞に対する血栓溶解療法
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