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PITCH Prognosis of Intracerebral Hemorrhage
結論 ビタミンK拮抗薬は脳内出血の原因としてみなすべきではなく,一般的に,初発の脳内出血は単一のものと考えるべきではない。また,ビタミンK拮抗薬の脳内出血量に対する影響が出血の部位により異なっていたことから,ビタミンK拮抗薬に対する血管障害の感受性は一様ではないことが示唆された。
コメント ワルファリン療法中の脳内出血の分布が抗血栓療法非施行例のそれと差異がないことから,ワルファリンは脳内出血の原因と考えるべきでないと論じているが,ワルファリン療法中には,小脳,皮質下,および視床の脳出血が増加するとの報告が既にあることや,少なくともワルファリン療法中には脳内出血の頻度が増加すること,大出血になりやすいこと,血腫が増大し転帰が不良になりやすいことは周知の事実なので,ワルファリン療法は脳内出血に関連すること,その療法中は高血圧を始めとする脳内出血関連因子の徹底的な管理が重要であること,ワルファリン療法中に脳内出血を発症した場合は十分な降圧と第IX因子複合体とビタミンKなどによるPT-INRの急速是正が必要であることを強調したい。(矢坂正弘

目的 ビタミンK拮抗薬が脳内出血を引き起こすか,またはリスク因子であるかは明確になっていない。ここでは,ビタミンK拮抗薬関連脳内出血の特性について検討した。
デザイン 観察研究。
セッティング 単施設,フランス。
期間 登録期間は2004年11月~2009年4月。
対象患者 545例。入院時の初回CTにて実質性出血が認められた脳卒中患者。
【除外基準】純粋な脳室内出血,入院時に頭蓋内血管先天異常,頭部外傷,腫瘍,梗塞内の出血性変化のエビデンス,他院からの搬送例。
【患者背景】年齢中央値はビタミンK拮抗薬群77歳,非ビタミンK拮抗薬群70歳,(p<0.0001)。各群の男性49%,53%。入院時のNational Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア中央値20(IQR 7-26),16(IQR 9-38)(p=0.026)。リスク因子:高血圧79%,62%(p=0.002),糖尿病23%,14%(p=0.031),脂質異常症48%,28%(p<0.0001),喫煙7%,22%(p=0.003)。病歴:脳梗塞22%,8%(p<0.0001),TIA 7%,6%,出血性脳卒中0%,6%(p=0.021),心房細動63%,6%(p<0.0001),虚血性心疾患24%,12%(p=0.002)。
ビタミンK拮抗薬群におけるビタミンK拮抗薬の適応病態:心房細動66%,機械弁11%,静脈血栓塞栓症10%。入院時のPT-INR中央値3.0(IQR 2.2-3.8)。
治療法 入院時にビタミンK拮抗薬を使用中であったのは83例(15%,95%CI 12-18)であった。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
ビタミンK拮抗薬の使用は脳内出血の解剖学的分布に影響を及ぼしていなかった。
ビタミンK拮抗薬の影響は脳内出血の部位により異なり,脳葉型出血(皮質下出血)患者(176例)では脳内出血量(中央値)は同程度であったが(ビタミンK拮抗薬群26mL vs. 非ビタミンK拮抗薬群30mL,p=0.507),非脳葉型出血患者(323例)ではビタミンK拮抗薬の使用は脳内出血量を増加させた(25 mL vs 12 mL,p=0.002)。
また,脳葉型出血患者ではPT-INR値は出血量に影響をおよぼしていなかったが(傾向p=0.640),非脳葉型出血患者では,PT-INR値が上昇するほど出血量が増加した(傾向p=0.004)。

●有害事象

文献: Dequatre-Ponchelle N, et al. Vitamin k antagonists-associated cerebral hemorrhages: what are their characteristics? Stroke 2013; 44: 350-5. pubmed
関連トライアル MUCH-Italy, Robinson MT et al, TIMI II Pilot and Randomized Clinical Trial
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