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Saposnik G et al Atrial Fibrillation in Ischemic Stroke: Predicting Response to Thrombolysis and Clinical Outcomes
結論 心房細動を合併している脳梗塞患者は非合併患者にくらべ,死亡率,頭蓋内出血リスクが高かったが,血栓溶解療法に対する反応は同程度であった。
コメント 心房細動にともなう脳梗塞患者におけるtPA血栓溶解療法は,非心房細動合併例と比較して,死亡率が高く,頭蓋内出血のリスクが高いことが示された。この結果は,心原性脳塞栓症の特徴である大梗塞,易再発性,出血性梗塞,脳浮腫などを反映するものと推測されるとともに,心房細動における脳梗塞の一次予防として抗凝固療法の重要性を強調するものであろう。(矢坂正弘

目的 心房細動は脳卒中リスクを上昇させ,転帰不良と関連しているが,心房細動合併脳梗塞患者における,血栓溶解療法後の臨床転帰を予測するツールは限られている。本研究では,Registry of Canadian Stroke Network(RCSN) に登録された脳梗塞患者において,(1)iScoreを用い心房細動合併の有無により転帰を評価,(2)iScoreが血栓溶解療法後の臨床反応および出血合併症を予測しうるか,検討を行った。主要評価項目:退院時の転帰良好(mRS 0~2)。
デザイン コホート研究。
セッティング 多施設(12施設),カナダ。
期間 対象となった入院期間は2003年7月1日~2008年6月30日。
対象患者 12,686例(心房細動合併患者2,185例+非心房細動合併患者10,501例)。当該期間に入院した脳卒中患者。
【除外基準】ベースラインデータが得られなかった症例。
【患者背景】平均年齢は心房細動合併群79.2歳,非心房細動合併群70.5歳。各群の女性56.1%,45.7%。脳卒中の重症度:軽症53.1%,67.7%,中等度22.0%,19.2%,重度20.4%,10.6%,昏睡4.5%,2.4%。脳卒中の病型:ラクナ梗塞4.9%,19.4%,非ラクナ梗塞73.9%,42.0%,不明21.1%,38.6%。(すべてp<0.001)
治療法
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
脳梗塞患者12,686例のうち,2,185例(17.2%)が心房細動を有していた。
全体として,心房細動合併群(心房細動群)は非心房細動合併群(非合併群)にくらべ,死亡,後遺障害が多かった。
30日後の死亡:心房細動群22.3% vs. 非合併群10.2%,RR 2.19,95%CI 1.98-2.41,p<0.0001。
1年後の死亡:37.1% vs. 19.5%,RR 1.90,95%CI 1.78-2.03,p<0.0001。
退院時の後遺障害または30日後の死亡:69.7% vs. 54.7%,RR 1.27,95%CI 1.23-1.31,p<0.0001。

血栓溶解療法は1,689例(13.3%)に行われた。非合併群では転帰良好と関連していたが(RR 1.18,95%CI 1.10-1.27),心房細動群ではベネフィットは認められなかった(RR 0.91,95%CI 0.71-1.17)。
心房細動群では非合併群に比べ,血栓溶解療法後の頭蓋内出血リスク(全タイプ)が上昇した(16.5% vs. 11.6%,RR 1.42,95%CI 1.05-1.91,p=0.018)。
ロジスティック回帰分析では,転帰良好についてtPAとiScoreとの間に交互作用が認められた(p<0.001)。心房細動合併の有無別の解析では,非合併群では交互作用が認められたが(p<0.0012),心房細動群では認められなかった(p=0.17)。

iScoreは血栓溶解療法後の転帰良好を予測しうると考えられたが,心房細動群(iScore 125)では,非合併群(iScore 165)にくらべ,tPAによるベネフィットはiScoreがより低い段階で急速に減少すると考えられた。

●有害事象

文献: Saposnik G, et al.; on behalf of the Investigators of the Registry of the Canadian Stroke Network (RCSN) and the Stroke Outcomes Research Canada (SORCan) Working Group. Atrial Fibrillation in Ischemic Stroke: Predicting Response to Thrombolysis and Clinical Outcomes. Stroke 2013; 44: 99-104. pubmed
関連トライアル ACTIVE W paroxysmal vs sustained, Béjot Y et al, Bichat Clinical Registry, CASES elderly patients, ECASS III, Helsinki Stroke Thrombolysis Registry, IST 2001, Madrid Stroke Network, Manawadu D et al, Sarikaya H et al (obese), Sarikaya H et al (posterior circulation stroke), SITS-ISTR blood pressure, SITS-ISTR young patients, SITS-MOST multivariable analysis, Toni D et al, TTT-AIS, VISTA impact of atrial fibrillation, 前方循環閉塞に対する血栓溶解療法
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