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メタ解析
脳卒中/TIA既往を有する心房細動患者における新規抗凝固薬
Nonvitamin-K-Antagonist Oral Anticoagulants in Patients with Atrial Fibrillation and Previous Stroke or Transient Ischemic Attack: a Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials
結論 脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)既往を有する心房細動患者における脳卒中/全身性塞栓症再発予防について,新規抗凝固薬はwarfarinに対し,有効かつ安全であると考えられた。
コメント 新規経口抗凝固薬(ダビガトラン,リバーロキサバン,アピキサバン)の第3相試験における脳卒中やTIAの既往を有する症例をメタ解析した結果,ワルファリンと比較して新規経口抗凝固薬は「脳卒中と全身塞栓症」,「大出血」,「出血性脳卒中」,および「頭蓋内出血」を有意に減少させることが示された。脳梗塞が頭蓋内出血の大きなリスクであることを考慮に入れると,虚血性脳卒中の二次予防における新規経口抗凝固薬のワルファリンに対する優越性は一層強調されるべきであろう。(矢坂正弘

目的 心房細動患者における脳卒中予防について,新規抗凝固薬(apixaban,dabigatran,rivaroxaban)はwarfarinに対し,非劣性もしくは優越性を示した。また,脳卒中またはTIA既往を有する患者におけるサブグループ解析では,脳卒中/TIA既往と新規抗凝固薬の効果との間に交互作用は示されず, 全体の結果と一貫していた。本メタ解析では,脳卒中/TIA既往を有する心房細動患者において,非ビタミンK拮抗薬(新規抗凝固薬)の有効性,安全性について,warfarinと比較検討を行った。
方法 PubMedにて,2012年5月31日まで,検索語(atrial fibrillation,anticoagulation,warfarin,previous stroke or TIA)を用い,脳卒中/TIA既往を有する心房細動患者において,北米/欧州にて販売中またはその予定の経口抗凝固薬をビタミンK拮抗薬と比較した第III相試験の論文を検索。検索した論文の文献リストのマニュアルサーチも行った。
対象 3試験(14,527例)が該当(ARISTOTLE,RE-LY,ROCKET AF)。
表記は順に症例数(試験薬群/warfarin群),TTR,追跡年/日数中央値,男性の割合,CHADS2スコア,ビタミンK拮抗薬服用未経験の割合。
ARISTOTLE:3,436例(1,694例/1,742例),65.0%,1.8年,62.6%,2:8%,≧3:92%,39.4%。
RE-LY:3,623例(2,428例/1,195例),63%,2.0年,62.9%,2:10.4%,≧3:89.6%,44.5%。
ROCKET AF:7,468例(3,754例/3,714例),57.1%,676日,60.8%,CHADS2スコアは記載なし,40.7%。
主な結果 ・有効性主要評価項目
非VKAはwarfarinに比し,脳卒中/全身性塞栓症を抑制した(OR 0.85,95%CI 0.74-0.99,p=0.03,不均一性p=0.59,I2=0%,相対リスク減少14%,絶対リスク減少0.7%,NNT 134)。
脳卒中:OR 0.87,95%CI 0.75-1.01,p=0.06,不均一性p=0.35,I2=9%。
脳梗塞または原因不明の脳卒中:OR 1.03,95%CI 0.87-1.21,p=0.74,不均一性p=0.56,I2=0%。
出血性脳卒中:OR 0.44,95%CI 0.32-0.62,p<0.00001,不均一性p=0.07,I2=58%,相対リスク減少57.9%,絶対リスク減少0.7%,NNT 139。
障害の残るまたは致死的脳卒中:OR 0.85,95%CI 0.71-1.03,p=0.11,不均一性p=0.83,I2=0%。
全死亡:OR 0.90,95%CI 0.81-1.01,p=0.09,不均一性p=0.30,I2=18%。
心血管死:OR 0.92,95%CI 0.80-1.06,p=0.27,不均一性p=0.21,I2=34%。
心筋梗塞:OR 1.08,95%CI 0.84-1.40,p=0.54,不均一性p=0.17,I2=40%。

・安全性主要評価項目
非VKAは大出血を抑制した(OR 0.86,95%CI 0.75-0.99,p=0.03,不均一性p=0.10,I2=52%,相対リスク減少13%,絶対リスク減少0.8%,NNT 125)。
これはおもに頭蓋内出血の抑制によるものであった(OR 0.47,95%CI 0.36-0.62,p<0.00001,不均一性p=0.06,I2=60%,相対リスク減少53.9%,絶対リスク減少1.0%,NNT 98)。
文献: Ntaios G, et al. Nonvitamin-k-antagonist oral anticoagulants in patients with atrial fibrillation and previous stroke or transient ischemic attack: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Stroke 2012; 43: 3298-304. pubmed
関連トライアル ARISTOTLE previous stroke/TIA, ARISTOTLE risk score, ATRIA on and off anticoagulants, AVERROES bleeding, AVERROES previous stroke/TIA, PROTECT AF, RE-LY exposure of VKA, RE-LY previous TIA or stroke, ROCKET AF, ROCKET AF previous stroke/TIA, SPORTIF elderly patients, SPORTIF II , SPORTIF III, SPORTIF pooled analysis, SPORTIF risk of bleeding, SPORTIF V, warfarinによるNVAF患者の脳卒中予防, warfarin投与中のAF患者における脳卒中/全身性塞栓症リスク, 急性VTE治療における新規経口抗凝固薬とビタミンK拮抗薬の比較, 心房細動患者における新規抗凝固薬の有効性および安全性, 心房細動患者の脳卒中予防におけるwarfarinの心筋梗塞保護効果, 新規経口抗凝固薬4剤のwarfarinに対する有効性・安全性, 新規経口抗凝固薬による頭蓋内出血リスクの抑制, 非弁膜症性心房細動患者における抗血栓療法
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