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J-ROCKET AF renal impairment
結論 腎機能障害を有する心房細動患者では,脳卒中や全身性塞栓症のリスクのみならず,出血リスクも高いことから,これらの患者に対する抗血栓療法においては,そのリスク/ベネフィットバランスが重要となる。心房細動患者において,rivaroxabanの用量調節warfarinに対する安全性および有効性は,中等度腎機能障害患者および腎機能正常患者で一貫しており,中等度腎機能障害患者に対するrivaroxabanの減量投与の妥当性が認められた。
コメント J-ROCKET AF試験における腎機能別サブ解析。腎機能の程度にかかわらず,試験薬間の安全性,有効性の結果に交互作用は認められなかった。なお,中等度腎機能障害患者はCrClが30~49mL/分であり,承認されているCrCl 15mL/分以上ではないことに留意すべきである。CrCl 15~30mL/分での承認は,あくまでもPK/PDプロファイルより得られたもので,トライアルには実際の患者は含まれていない。一方,正常腎機能患者における10mgの有効性は確立されていないことから,安易な減量はすべきでない。(是恒之宏

目的 J-ROCKET AFでは,中等度腎機能障害患者に対しrivaroxabanの減量投与が行われた(治療法の項参照)。本サブ解析では,中等度腎機能障害患者に対する減量投与のリスク/ベネフィットを評価し,用量設定の妥当性を検討した。安全性の主要評価項目:重大な出血および重大ではないが臨床的に問題となる出血。有効性の主要評価項目:脳卒中(虚血性/出血性)または全身性塞栓症。
デザイン J -ROCKET AFは無作為化,二重盲検,ダブルダミー,非劣性試験。
セッティング 多施設(167施設),日本。
期間
対象患者 1,278例。20歳以上,30日以内の心電図で確認できる非弁膜症性心房細動患者で,脳梗塞/一過性脳虚血発作(TIA)/全身性塞栓症の既往を有するか,以下の血栓塞栓症リスク因子を2つ以上有する症例(うっ血性心不全かつ/またはLVEF≦35%,高血圧,75歳以上,糖尿病)。脳梗塞/TIA/全身性塞栓症の既往がなく,その他のリスク因子が2つしかない症例は全体の10%までに制限した。
【除外基準】クレアチニンクリアランス(CrCl)<30mL/分など。
【患者背景】[中等度腎機能障害患者]年齢中央値はrivaroxaban群78歳,warfarin群78歳。各群の女性25.5%,33.6%。体重中央値56.0kg,56.1kg。SBP中央値129mmHg,126mmHg。発作性心房細動29.8%,34.5%。aspirin前使用43.3%,39.9%。ビタミンK拮抗薬前使用89.4%,88.1%。CHADS2スコア平均値3.56,3.52。脳卒中/TIA/全身性塞栓症既往56.7%,57.3%。うっ血性心不全52.5%,51.0%。高血圧82.3%,82.5%。糖尿病36.2%,25.9%。心筋梗塞既往9.9%,11.9%。
[正常腎機能患者]年齢中央値はrivaroxaban群70歳,warfarin群70歳。各群の女性14.7%,18.3%。体重中央値65.5kg,66.0kg。SBP中央値130mmHg,130mmHg。発作性心房細動患者28.5%,28.7%。aspirin前使用36.5%,33.3%。ビタミンK拮抗薬前使用90.1%,90.1%。CHADS2スコア平均値3.18,3.13。脳卒中/TIA/全身性塞栓症既往65.9%,65.1%。うっ血性心不全38.2%,37.1%。高血圧78.7%,78.6%。糖尿病39.8%,40.3%。心筋梗塞既往6.2%,7.3%。
治療法 J -ROCKET AFは以下の2群に無作為割付。
Rivaroxaban群:639例(中等度腎機能障害141例+正常腎機能498例)。15mg 1日1回投与(無作為割付時のCrClが30~49mL/分の患者では10mg 1日1回投与)。
Warfarin群:639例(143例+496例)。70歳未満ではPT-INRが2.0~3.0,70歳以上では1.6~2.6になるよう用量調整投与。
追跡完了率
結果

●評価項目
中等度腎機能障害は全体の22.2%に認められた。
中等度腎機能障害患者では腎機能正常患者に比較し,治験薬にかかわらず出血,脳卒中イベント発生率とも高かった。腎機能の程度にかかわらず,試験薬間の安全性,有効性の結果に交互作用は認められなかった。
[安全性の主要評価項目](交互作用p=0.628)
中等度腎機能障害患者:rivaroxaban群27.76%/年 vs. warfarin群22.85%/年,HR 1.22,95%CI 0.78-1.91。
腎機能正常患者:15.64%/年 vs. 14.79%/年,HR 1.07,95%CI 0.80-1.43。
[重大な出血](交互作用p=0.858)
中等度腎機能障害患者:5.09%/年 vs. 5.63%/年,HR 0.89,95%CI 0.36-2.18。
腎機能正常患者:2.47%/年 vs. 3.04%/年,HR 0.82,95%CI 0.43-1.56。
頭蓋内出血は,中等度腎機能障害患者:1.42% vs. 2.80%,腎機能正常患者:0.60% vs. 1.21%。
[有効性の主要評価項目](交互作用p=0.279)
中等度腎機能障害患者:2.77%/年 vs. 3.34%/年,HR 0.82,95%CI 0.25-2.69。
腎機能正常患者:0.87%/年 vs. 2.41%/年,HR 0.36,95%CI 0.14-0.93。

●有害事象
もっとも多かった有害事象は鼻咽頭炎であった(中等度腎機能障害患者:23.4% vs. 37.8%,腎機能正常患者:34.7% vs. 35.9%)。

文献: Hori M, et al.; J-ROCKET AF study investigators. Safety and efficacy of adjusted dose of rivaroxaban in Japanese patients with non-valvular atrial fibrillation. Circ J 2013; 77: 632-8. pubmed
関連トライアル AMADEUS, AMADEUS post hoc analysis, ARISTOTLE, ARISTOTLE renal function, ARISTOTLE risk score, ARISTOTLE-J, ATLAS ACS 2-TIMI 51, ATLAS ACS-TIMI 46 , dabigatran,rivaroxaban,apixabanの間接比較, EINSTEIN-DVT and EINSTEIN-Extension, EINSTEIN-PE, ENGAGE AF-TIMI 48, J-ROCKET AF, JNAF-ESP, MAGELLAN, ODIXa-OD-HIP, PROTECT AF, RE-LY, RE-LY Japanese population, RE-LY quality of INR control, RECORD1, RECORD3, RECORD4, ROCKET AF, ROCKET AF cardioversion/ablation, ROCKET AF East Asian patients, ROCKET AF elderly patients, ROCKET AF major bleeding, ROCKET AF post hoc analysis, ROCKET AF previous stroke/TIA, ROCKET AF renal dysfunction, ROCKET AF temporary interruption, ROCKET-AF persistent vs. paroxysmal, SPORTIF II , SPORTIF III, SPORTIF V
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