抗血栓トライアルデータベース
home
テキストサイズ
メタ解析
新規経口抗凝固薬の冠動脈疾患,死亡リスクに対する有効性
Coronary and Mortality Risk of Novel Oral Antithrombotic Agents: a Meta-Analysis of Large Randomised Trials
結論 新規抗凝固薬投与患者における冠動脈疾患リスクはdabigatranで上昇がみられたが,rivaroxabanでは低下した。全死亡リスクはすべての新規抗凝固薬で低下した。
コメント 各種疾患におけるランダム化比較試験のメタ解析ではあるが,対象の不均一性が大きいので,メタ解析ゆえに信頼性が高いとはいえない。(後藤信哉

目的 新規抗凝固薬は,静脈血栓塞栓症(VTE)の予防および治療,心房細動の塞栓症予防に対する有効性については示されている。最近の研究より,dabigatranにより心筋梗塞リスクが上昇する懸念が示されたが,他の薬剤による冠動脈疾患リスクについては明確になっていない。本解析では,4つの新規抗凝固薬(ximelagatran,dabigatran,rivaroxaban,apixaban)の冠動脈疾患リスクについて検討した。
方法 2012年2月18日,PubMedにてximelagatran,dabigatran,rivaroxaban,apixabanについての臨床試験を検索。2011年の主要学術集会(ACC,ISTH,AHA)のアブストラクトも検索を行った。
除外:症例数1,000例未満。
対象 28試験(138,948例)。
試験の内訳:股/膝関節手術後のVTE予防13試験(EXULT A, EXULT B,RE-NOVATERE-MODEL,RE-MOBILIZE, RE-NOVATE II,RECORD 1RECORD 2RECORD 3RECORD 4ADVANCE 1ADVANCE 2ADVANCE 3)。
VTE治療5試験(THRIVERE-COVER,RE-SONATE, REMEDY, EINSTEIN)。
心房細動患者における塞栓症予防6試験(SPORTIF IIISPORTIF VRE-LYROCKET AFAVERROESARISTOTLE)。
急性冠症候群治療4試験(RE-DEEM,ATLAS ACS 2-TIMI 51APPRAISE APPRAISE 2)。
主な結果 ・心筋梗塞/急性冠症候群
心筋梗塞/急性冠症候群リスクはdabigatranでは上昇したが,rivaroxabanでは低下した。その他については有意差は認められなかった。
dabigatran:OR 1.30,95%CI 1.04-1.63,p=0.021,I 2=0.000,不均一性p=0.606。
rivaroxaban:OR 0.78,95%CI 0.69-0.89,p<0.001,I 2=0.000,不均一性p=0.626。
ximelagatran:OR 1.65,95%CI 0.56-4.87,p=0.368,I 2=79.69,不均一性p=0.007。
apixaban:OR 0.94,95%CI 0.82-1.07,p=0.333,I 2=0.000,不均一性p=0.952。

・大出血
大出血リスクはrivaroxabanでは上昇したが,その他については有意差は認められなかった。
dabigatran:OR 0.90,95%CI 0.80-1.001,p=0.052,I 2=63.29,不均一性p=0.005。
(ACSの試験を除外:OR 0.89,95%CI 0.88-0.999,p=0.049,I 2=67.29,不均一性p=0.003)
rivaroxaban:OR 1.15,95%CI 1.003-1.31,p=0.046,I 2=81.55,不均一性p<0.001。
(ACSの試験を除外:OR 1.03,95%CI 0.90-1.19,p=0.638,I 2=3.32,不均一性p=0.395)
ximelagatran:OR 0.97,95%CI 0.76-1.25,p=0.827,I 2=57.97,不均一性p=0.049。
apixaban:OR 0.94,95%CI 0.82-1.07,p=0.333,I 2=77.14,不均一性p<0.001。
(ACSの試験を除外:OR 0.69,95%CI 0.61-0.79,p<0.001,I 2=1.84。)ACSの試験のみ:OR 2.61,95%CI 1.52-4.72,p<0.001,I 2<0.001)

・全死亡
全死亡リスクはdabigatran,rivaroxaban,apixabanで低下した。
dabigatran:OR 0.89,95%CI 0.80-0.99,p=0.039,I 2=0.000,不均一性p=0.439。
rivaroxaban:OR 0.82,95%CI 0.74-0.90,p<0.001,I 2=0.000,不均一性p=0.439。
ximelagatran:OR 0.92,95%CI 0.76-1.10,p=0.356,I 2=0.000,不均一性p<0.605。
apixaban:OR 0.91,95%CI 0.82-0.99,p=0.038,I 2=0.000,不均一性p=0.569。

・出版バイアス
出版バイアスは認められなかった。
文献: Mak KH Coronary and mortality risk of novel oral antithrombotic agents: a meta-analysis of large randomised trials. BMJ Open 2012 Oct 6; 2(5). pubmed
関連トライアル APPRAISE, ATLAS ACS-TIMI 46 , dabigatranの急性冠イベントリスク, SPORTIF III, THRIVE, VTE治療における新規経口抗凝固薬, 非ST上昇型急性冠症候群に対する初期侵襲的治療および保存的治療の性差
関連記事