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RESTORE Reperfusion Therapy in Unclear-Onset Stroke Based on MRI Evaluation
結論 発症時間不明の脳梗塞患者に対する,MRIにもとづいた再灌流療法は,実行可能で安全であった。このような患者に対する再灌流療法のベネフィットを確認するためには,ランダム化比較試験が必要である。
コメント 起床時に発見された脳梗塞や目撃者のいない日中発症の脳梗塞では,未発症最終確認時刻から算出した時間を発症後の時間とみなす取り決めのために,tPA血栓溶解療法を行えないことが多く,問題となってきた。本研究から発症時刻を特定できない症例におけるMRI所見に基づいた再寒流療法の可能性が示されたことは大変意義深く,今後の研究の発展が期待される。(矢坂正弘

目的 発症時間不明の脳梗塞患者(異常が確認されてから6時間以内)について,MRIにもとづく再灌流療法の安全性,実行可能性を検討するため,tPA静注/動注/併用の転帰を比較した。安全性の評価項目:症候性頭蓋内出血( NINDS基準 ECASS II基準)。有効性の評価項目:3カ月後の転帰良好[modified Rankin Score(mRS) 0~2]。
デザイン コホート研究。
セッティング 多施設(治療群6施設+対照群8施設),韓国。
期間 登録期間は2006年9月~2009年6月。
対象患者 治療群83例。18~85歳,最後に正常が確認された時間と最初に異常が確認された時間が一致せず,異常が確認されてから6時間以内に緊急治療室に搬送された患者で,中/前/後大脳動脈に>20%のperfusion-diffusion mismatchが認められる症例。フレアー法変化がみられないか,わずかである症例も対象とした。
対照群156例。最初に異常が確認されてから6時間以内に緊急治療室に搬送された,緊急MRIが不備のため血栓溶解療法を考慮されなかった症例。
【除外基準】軽症脳卒中[National Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア<4,失語症もしくは片側視野欠損は除く],NIHSS 4点以上の急速な回復,脳卒中発症前のmRS>1,くも膜下出血を示唆する臨床症状,感染性心内膜炎もしくは敗血症性塞栓症,頭蓋内出血/くも膜下出血の既往または動静脈奇形,重篤な頭部外傷から6週以内,前回の脳梗塞から6週以内(小梗塞を除く),抗凝固療法中およびPT-INR>1.7など。
【患者背景】年齢中央値は治療群67(61~75)歳,対照群70(61~77)歳。各群の男性66.3%,56.4%。ベースライン時のNIHSS 14(10~18),12(6.25~17)。リスク因子:高血圧65.1%,60.3%,糖尿病27.7%,36.5%,高コレステロール血症28.9%,25.6%,現喫煙36.1%,34.6%,脳卒中既往22.9%,19.9%。脳卒中の病型:大血管アテローム血栓性55.4%,49.4%,心原性37.3%,36.5%。最後に正常が確認されてから病院到着まで8.6時間,7.8時間,最初に異常が確認されてから病院到着まで1.7時間,2.0時間。
治療法 異常が確認されてから病院到着までの経過時間および動脈の状態にもとづき,以下の1つを選択した。
(1)異常が確認されてから3時間以内に搬送された,動脈閉塞もカテーテルが使用可能な閉塞もない患者9例(10.8%)に対しては,tPA 0.9mg/kg静注(10%をボーラス静注後,残りを60分以上かけて静注)。
(2)異常が確認されてから3時間以内に搬送された,カテーテルが使用可能な動脈閉塞の患者17例(20.5%)に対しては,tPA 0.6mg/kg静注(10%をボーラス静注後,残りを30分以上かけて静注)+動脈内療法を併用。
(3)異常が確認されてから3~6時間以内に搬送された,カテーテルが使用可能な動脈閉塞の患者57例(68.7%)に対しては,動脈内療法。
最初に異常が確認されてから3~6時間以内に搬送された,カテーテルが使用可能な動脈閉塞のない患者に対しては,再灌流療法は行わなかった。
動脈内療法はurokinase(1万~2万単位/分,最大100万単位)動注,機械的血栓破砕術,血管形成術/ステント,またはこれらの併用を行った。抗血栓療法は手技から24時間後までは禁止とした。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
発症時間不明の脳梗塞患者430例のうち,83例(19.3%)が再灌流療法を受けた。内訳は,目覚めに症状を呈していた脳梗塞が63例,目撃者のいない日中の脳梗塞が20例。
症候性頭蓋内出血はNINDS定義5例(6.0%),ECASS定義3 例(3.6%)に認められた。
転帰良好(mRS 0~2)は37例(44.6%),転帰優良(mRS 0~1)は24例(28.9%)であった。
転帰不良(mRS 3~6)の独立予測因子は以下の通り。
女性:OR 6.79,95%CI 1.59-29.0,p=0.01。
ベースライン時のNIHSS:OR 1.14,95%CI 1.01-1.29,p=0.03。
迅速な再灌流なし:OR 8.80,95%CI 2.30-33.7,p=0.002。
白血球数上昇(8,250/μL):OR 6.62,95%CI 1.73-25.3,p=0.006。
発症時間不明の脳梗塞患者に対する血栓溶解療法は,非治療に比し,転帰良好を増加させた(OR 2.25,95%CI 1.14-4.49,p=0.019)。

●有害事象

文献: Kang DW, et al. Reperfusion Therapy in Unclear-Onset Stroke Based on MRI Evaluation (RESTORE): A Prospective Multicenter Study. Stroke 2012; 43: 3278-83. pubmed
関連トライアル Bichat Clinical Registry, DEFUSE 1 & 2 post hoc analysis, EPITHET, Madrid Stroke Network, Manawadu D et al, Mikulik R et al 2009, MR RESCUE, NINDS two-hour improvement, SAINT postthrombolysis ICH, SAMURAI, SAMURAI CT versus DWI, Saqqur M et al, Schellinger PD et al, Singer OC et al, SITS-ISTR importance of recanalization, SITS-ISTR young patients, SITS-ISTR/VISTA, SITS-MOST multivariable analysis, Strbian D et al Ultra-Early Thrombolysis, STRokE DOC, SUMO, TASCC, VISTA contraindications, VISTA impact of atrial fibrillation, 前方循環閉塞に対する血栓溶解療法
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