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Skeith L et al Conservative Perioperative Anticoagulation Management in Patients with Chronic Venous Thromboembolic Disease: a Cohort Study
結論 warfarinの長期(>3ヵ月)投与を受けている静脈血栓塞栓症(VTE)患者において,保守的な周術期管理は有望であると考えられた。

目的 2012年のACCPガイドライン(第9版)では,長期warfarin投与を受けているVTE患者における周術期管理について,血栓塞栓リスクが低い患者ではビタミンK拮抗薬中断の間橋渡し療法を行わないことを推奨している。また,中等度リスク患者ではリスクプロフィールに応じて判断し,適応がある場合は低用量のheparin製剤を投与することが提案されているが,これらを支持するデータは不足している。ここでは,現在著者らの施設で行っている保守的な周術期管理(治療法の項参照)の有効性を検討した。一次エンドポイント:手技から30日後までにおける新規の症候性VTE。
デザイン 後向きコホート研究。
セッティング 単施設,カナダ。
期間 登録期間は1997~2011年。
対象患者 416例(634件)。ビタミンK拮抗薬の長期(>3ヵ月)投与を受けており,手技のためwarfarinの中断を必要とするVTE患者。
【除外基準】他にwarfarinの適応病態を有する,急性VTE(発症から90日以内),まれな部位のVTEなど。1例につき複数回の手技を行った症例は対象としたが,2回目の手技が1回目の施行後90日以内に行われた場合は2回目を除外した。
【患者背景】年齢は64.9±15.8歳。男性47.4%。体重88.7±22.6kg。適応:下肢57.2%,上肢3.6%,肺塞栓症(深部静脈血栓症合併の有無を問わない)39.2%。VTEの病因:特発性79.1%,悪性腫瘍関連12.7%,現在あるリスク因子によるもの5.8%。再発性VTE 33.9%。VTE発症時期:3~12ヵ月15.9%,>12ヵ月84.1%。手技の回数:1回66.3%,2回20.7%,3回7.2%,4回以上5.8%。
治療法 手技前の5日間warfarinを中断し,手術後は経口投与が可能になり次第再開した。入院患者のみ,担当医の裁量により,手技の翌朝から退院またはPT-INRが>1.9になるまで予防用量の低分子量heparin(LMWH)を投与した。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
外来で行われた手技は478件(75.4%)であった(大腸内視鏡133件,歯科118件,皮膚切除/生検45件)。入院して行われた手技は156件(24.6%)であった(膝関節置換術26件,股関節置換術18件)。
LMWHによる橋渡し療法は,手技前15件(2.4%),手技後152件(24.0%)に行われた。
症候性VTEは30日後2件(0.32%;95%CI 0.087-1.14),90日後4件(0.63%;95%CI 0.25-1.61)で,いずれも非致死的DVTであった。30日後までに発症した2例は,いずれも入院患者ではあったが橋渡し療法は行われておらず,warfarinも再開されていなかった。
大出血は30日後8件(1.26%;95%CI 0.64-2.47),90日後10件(1.58%;95%CI 0.86-2.88),全出血は30日後19件(3.00%;95%CI 1.93-4.63),90日後22件(3.47%;95%CI 2.30-5.20)であった。
全死亡は30日後2例(0.32%;95%CI 0.087-1.14),90日後4例(0.63%;95%CI 0.25-1.61)で,30日後までの死亡はいずれも動脈血栓イベントによるものであった(心筋梗塞,脳梗塞)。

●有害事象

文献: Skeith L, et al. Conservative perioperative anticoagulation management in patients with chronic venous thromboembolic disease: a cohort study. J Thromb Haemost 2012; 10: 2298-304. pubmed
関連トライアル FCSA, Garcia DA et al, Jaffer AK et al, PROSPECT , 長期VKA療法患者における周術期橋渡し療法
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