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Olesen JB et al Stroke and Bleeding in Atrial Fibrillation with Chronic Kidney Disease
結論 心房細動患者において,慢性腎臓病(CKD)は脳卒中/全身性塞栓症および出血リスクを上昇させた。warfarinはCKD患者の脳卒中/全身性塞栓症リスクを低下させたが,warfarin+aspirin併用は出血リスクを上昇させた。
コメント RE-LY試験 ROCKET AF試験の腎機能別サブ解析でも,腎機能が悪い症例では,新規経口抗凝固薬のみならず,ワルファリンでも大出血が増加することが示されている。ワルファリンの代謝排泄に腎機能は影響がほとんどないこと,またPT-INRは至適コントロールがされていることから,中等度~高度腎機能障害をもつ患者では,抗血栓療法使用時に出血を生じやすい素因があると考えるべきである。今回の結果はこのことをサポートするものであり,興味深い。(是恒之宏

目的 心房細動およびCKDはいずれも脳卒中/全身性塞栓症リスクを上昇させるが,両者を合併している患者に対する抗血栓療法に関するデータは乏しい。本試験は,CKDをともなう心房細動患者における脳卒中,全身性塞栓症,出血のリスクを評価し,さらにwarfarinおよびaspirinの有効性がCKDの有無により異なるか検討した。主要評価項目:脳卒中/全身性塞栓症(末梢動脈塞栓症,脳梗塞,一過性脳虚血発作)による入院または死亡,出血,心筋梗塞,全死亡。
デザイン コホート研究。
セッティング 多施設,デンマーク。
期間 試験期間は1997年~2008年。
対象患者 132,372例。非弁膜症性心房細動の診断を受け退院し,7日間経過した患者。
【除外基準】退院後の7日間に死亡したか,血栓塞栓イベントまたは大出血が発生した患者,aspirin以外の抗血小板薬(clopidogrel,dipyridamole)使用例。
【患者背景】 平均年齢は非腎臓病例73.2±12.9歳,非末期CKD例76.5±11.0歳,腎代替療法必要例66.8±11.7歳。抗血栓療法:warfarin単独28.6%,17.0%,19.8%,aspirin単独18.7%,24.5%,17.0%,warfarin+aspirin併用8.4%,8.1%,5.0%。CHA2DS2-VAScスコア0点9.2%,2.0%,4.7%,1点13.2%,7.0%,18.3%,≧2点77.6%,91.1%,77.0%。HAS-BLED出血リスクスコア0~1点40.1%,24.6%,43.3%,2点36.1%,37.2%,34.6%,≧3点23.8%,38.1%,22.1%。(すべてp<0.001)
治療法
追跡完了率
結果

●評価項目
組入れ時点において,腎代替療法(透析,腎移植)を必要としない非末期CKD患者は3,587 例(2.7%),腎代替療法を必要とする患者は901 例(0.7%)であった。試験期間中に,非腎臓病例のうち3.5%が非末期CKD,0.4%が腎代替療法必要例に移行した。解析は最新の腎機能の状態により行った。
[脳卒中/全身性塞栓症リスク]
CKD患者は非CKD患者に比し,脳卒中/全身性塞栓症リスクが上昇した。warfarin使用例では抗血栓薬非使用例に比し,低下または低下傾向がみられたが,aspirin使用例では低下しなかった(上昇もしくは有意差なし)。
非末期CKD例:HR 1.49,95%CI 1.38-1.59,p<0.001。
腎代替療法必要例:HR 1.83,95%CI 1.57-2.14,p<0.001。
(warfarin)
非末期CKD例:HR 0.84,95%CI 0.69-1.01,p=0.07。
腎代替療法必要例:HR 0.44,95%CI 0.26-0.74,p=0.002。
(aspirin)
非末期CKD例:HR 1.25,95%CI 1.07-1.47,p=0.01。
腎代替療法必要例:HR 0.88,95%CI 0.59-1.32,p=0.54。
(warfarin+aspirin)
非末期CKD例:HR 0.76,95%CI 0.56-1.03,p=0.08。
腎代替療法必要例:HR 0.82,95%CI 0.37-1.80,p=0.62。

[出血リスク]
CKD患者は非腎疾患患者に比し,出血リスクが上昇した。抗血栓薬使用による出血リスク(抗血栓薬非使用例との比較)は以下の通りであった。
非末期CKD例:HR 2.24,95%CI 2.10-2.38,p<0.001。
腎代替療法必要例:HR 2.70,95%CI 2.38-3.07,p<0.001。
(warfarin)
非末期CKD例:HR 1.36,95%CI 1.17-1.59,p<0.001。
腎代替療法必要例:HR 1.27,95%CI 0.91-1.77,p=0.15。
(aspirin)
非末期CKD例:HR 1.12,95%CI 0.96-1.30,p=0.14。
腎代替療法必要例:HR 1.63,95%CI 1.18-2.26,p=0.003。
(warfarin+aspirin)
非末期CKD例:HR 1.63,95%CI 1.32-2.02,p<0.001。
腎代替療法必要例:HR 1.71,95%CI 0.98-2.99,p=0.06。

●有害事象

文献: Olesen JB, et al. Stroke and bleeding in atrial fibrillation with chronic kidney disease. N Engl J Med 2012; 367: 625-35. pubmed
関連トライアル ACTIVE A, AFASAK 2 1999, ARISTOTLE, ARISTOTLE concomitant aspirin use, ARISTOTLE renal function, AVERROES, AVERROES bleeding, BAATAF, Copenhagen AFASAK, Garcia-Rodriguez LA et al, Hansen ML et al, Hylek EM et al, Lamberts M et al, PROTECT AF, ROCKET AF, SPAF, SPAF II 1994, SPAF II 1996, SPAF III 1996, SPAF III 1998, SPAF III 1998, SPORTIF risk of bleeding, SPORTIF V, Swedish Atrial Fibrillation cohort study, warfarinによるNVAF患者の脳卒中予防
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