抗血栓トライアルデータベース
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TRA 2P-TIMI 50 previous myocardial infarction
結論 心筋梗塞既往患者において,vorapaxarの標準治療への追加により,心血管死,虚血性イベントリスクが低下したが,中等度~重度の出血リスクが上昇した。
コメント アテローム血栓症を対象として施行されたPAR-1受容体阻害薬vorapaxarの第III相試験のうち,もっとも明確な差異が出た心筋梗塞後の症例を対象にしたサブ解析である。試験全体では明確な仮説の検証ができなかったが,特定集団では明確な差異のある大規模データをどのように扱うか?さまざまな議論を起こす論文である。(後藤信哉

目的 TRA 2P-TIMI 50では,安定アテローム性動脈硬化症患者において,標準治療へのvorapaxarの追加は心血管死または虚血イベントの再発を抑制したが,出血リスクが増大した。本論文は同試験のサブグループ解析として,心筋梗塞既往患者に対するvorapaxarの二次予防効果について検討を行った。有効性の一次エンドポイント:心血管死,心筋梗塞,脳卒中。安全性の一次エンドポイント:GUSTO出血基準の中等度~重度の出血。
デザイン TRA 2P-TIMI 50は無作為割付,プラセボ対照,二重盲検。intention-to-treat解析。NCT00526474。
セッティング
期間 登録期間は2007年9月~2009年11月。追跡期間中央値は2.5(IQR 2.0~2.9)年。
対象患者 [試験全体全体]26,449例。アテローム性動脈硬化症既往患者。
[本サブグループ解析]17,779例(全体の67%)。過去2週間~12ヵ月間に心筋梗塞が発症した患者。
【除外基準】血行再建術施行予定,出血素因歴,亜急性の活動性異常出血,warfarin投与中,活動性肝胆汁性疾患。
【患者背景】年齢中央値はvorapaxar群59歳,プラセボ群59歳。各群の女性21%,20%。当該心筋梗塞からの期間:<3ヵ月44%,45%,3~6ヵ月29%,29%,>6ヵ月27%,26%。糖尿病22%,22%。高血圧62%,63%。脂質異常症85%,85%。現喫煙20%,20%。冠動脈血行再建術歴86%,86%。脳血管イベント既往5%,5%。併用薬:aspirin 98%,98%,thienopyridine 78%,78%。
治療法 以下の2群に無作為割付。
vorapaxar群:13,225例(うちMI既往8,898例)。2.5mg/日投与。
プラセボ群:13,244例(8,881例)。
強力なCYP3A4阻害薬またはwarfarinとチエノピリジン系薬の併用療法を要する患者では試験を中止。抗血小板薬を含むその他の併用薬は,各地域の標準にしたがい主治医が管理した。
追跡期間中央値2年時,データ安全性モニタリング委員会がvorapaxar群の脳卒中既往例での頭蓋内出血増加を報告し,試験期間中の新規脳卒中発症例も含む脳卒中患者への投与の中止を勧告した。それ以外の患者への投与は継続した。
追跡完了率
結果

●評価項目
有効性の一次エンドポイントはvorapaxar 群610例で,プラセボ群750例に比し少なかった(3年Kaplan-Meier推定値8.1% vs. 9.7%,HR 0.80,95%CI 0.72-0.89,p<0.0001)。
安全性の一次エンドポイントはvorapaxar 群のほうが多かった[241例(3年Kaplan-Meier推定値3.4%)vs. 151例(2.1%),HR 1.61,95%CI 1.31-1.97,p<0.0001]。
頭蓋内出血は同程度であった;vorapaxar 群43例(3年Kaplan-Meier推定値0.6%),プラセボ群28例(0.4%)(HR 1.54,95%CI 0.96-2.48,p=0.076)。
その他の重篤な出血事象は両群で同程度であった。

●有害事象

文献: Scirica BM, et al.; TRA 2°P-TIMI 50 Steering Committee Investigators. Vorapaxar for secondary prevention of thrombotic events for patients with previous myocardial infarction: a prespecified subgroup analysis of the TRA 2°P-TIMI 50 trial. Lancet 2012; 380: 1317-24. pubmed
関連トライアル AAASPS 1998, AAASPS 2003, APPRAISE-2, ASPECT, aspirinの一次および二次予防効果(ATT), ATLAS ACS 2-TIMI 51, ATLAS ACS 2-TIMI 51 STEMI patients, ATLAS ACS-TIMI 46 , AVERROES previous stroke/TIA, CAD患者に対するPAR-1拮抗薬の安全性および有効性, CAPRIE 1996, CARS, CASISP, CHARISMA, CHARISMA bleeding complications, CHARISMA stroke severity, CHARISMA subgroup analysis, COMMIT, CREDO, CSPS 2, EAFT 1993, ESPRIT , J-LANCELOT, MATCH, PCI-CURE, Physicians' Health Study 1991, POISE-2, REACH 4-year outcomes, REAL-LATE / ZEST-LATE, RESTORE, RUBY-1, TRA 2P-TIMI 50, TRA 2P-TIMI 50 prior ischemic stroke, TRACER, TRITON-TIMI 38, TRITON-TIMI 38 diabetes, TRITON-TIMI 38 PCI, WHS
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