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メタ解析
前方循環閉塞に対する血栓溶解療法
Systematic Review of Outcome after Ischemic Stroke Due to Anterior Circulation Occlusion Treated with Intravenous, Intra-Arterial, or Combined Intravenous+Intra-Arterial Thrombolysis
結論 本解析では,脳梗塞患者に対する至適再灌流アプローチは明らかにならなかった。tPA静注は依然として標準療法である。
コメント 内頸動脈閉塞例では,tPA血栓溶解療法に伴う再開通が起こり難い。本レビューで動脈内血管内治療の成績がtPA血栓溶解療法のそれを上回る解析結果が示されたことは,内頸動脈閉塞例に対して,tPA血栓溶解療法よりも動脈内血管内治療を優先させることに関する研究に弾みを与えるものと考えられる。(矢坂正弘

目的 脳梗塞患者に対する至適再灌流アプローチは明確になっていない。本解析では,治療法により6つのグループ(対象の項参照)に分け,比較検討を行った。
方法 Medline,EMBASE,the Cochrane Central Register of Controlled Trialsにて,前方循環動脈[内頸動脈,中大脳動脈(MCA),前大脳動脈]閉塞患者に対する血栓溶解療法に関する報告を検索。検索は1990年~2010年2月に出版された英文論文に限定した。
対象:10例以上を対象とし,死亡/症候性頭蓋内出血/後遺障害について報告した症例シリーズ,観察研究,ランダム化比較試験。tPA静注試験について,血管画像は必須としなかった。hyperdense MCAはMCA閉塞と診断した。
除外:発症から治療までの経過時間が6時間超など。
対象 54研究,5,019例。
第1群:発症から4.5時間以内にalteplase 0.9mg/kg静注(14研究,2,450例),第2群:動脈内薬物血栓溶解療法(alteplase,urokinase,reteplase;15研究,1,143例),第3群:動脈内機械的血栓溶解療法(1研究,90例),第4群:動脈内薬物療法(alteplase,urokinase,reteplase)および機械的併用血栓溶解療法併用(19研究,819例),第5群:alteplase 0.6 mg/kg静注後に動脈内薬物/機械的血栓溶解療法施行(8研究,293例),第6群:alteplase 0.9 mg/kg静注後に動脈内薬物/機械的血栓溶解療法施行(8研究,224例)。
主な結果 ・ベースライン時のNational Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア
第3群は他のすべての群に比し高かった(p<0.05)。
第1群16.9(95%CI 16.2-17.5),第2群15.9(13.7-18.2),第3群20.1(18.7-27.4),第4群17.9(16.5-19.3),第5群16.0(14.3-17.6),第6群17.1(15.4-18.8)。

・治療までの時間
群間差がみられた(第3群>他のすべての群:p<0.05,第2群>第1群:p<0.01,第4群>第1群,第6群:p<0.01)。
第1群143(95%CI 131-155)分,第2群217(174-260)分,第3群258(237-279)分,第4群248(222-273)分,第5群133(122-145)分,第6群144(122-166)分。

・平均年齢
群間差がみられた(第2群<第1群,第2群:p<0.01)。
第1群65.9(95%CI 64.0-67.9)歳,第2群59.7(56.6-62.9)歳,第3群67.0(63.8-70.2)歳,第4群66.8(64.0-69.5)歳,第5群67.1(65.5-68.8)歳,第6群64.8(61.5-68.1)歳。

modified Rankin Score(mRS)
群間差がみられた(第5群<第1,2,3,4群:p<0.05)。
第1群3.2(95%CI 3.0-3.4),第2群2.8(2.7-3.0),第3群4.0(3.8-4.2),第4群3.1(2.8-3.3),第5群2.4(1.8-3.1),第6群3.0(2.2-3.5)。
しかし重要な共変量で補正後,第5群の優越性は消失した。

・死亡率
第3群は第1群に比し高かった(p=0.0024)。
第1群17.5(95%CI 15.5-19.5)%,第2群19.3(17.6-21.0)%,第3群40.0(38.9-41.1)%,第4群25.2(17.6-32.9)%,第5群18.0(14.5-21.5)%,第6群17.1(11.6-22.5)%。

・症候性頭蓋内出血
群間差がみられた(p=0.0305)。
第1群7.0(95%CI 5.2-8.7)%,第2群9.3(8.0-10.5)%,第3群7.8(7.2-8.4)%,第4群9.3(4.5-5.1)%,第5群9.0(7.0-11.0)%,第6群8.1(5.7-10.4)%。
文献: Mullen MT, et al. Systematic review of outcome after ischemic stroke due to anterior circulation occlusion treated with intravenous, intra-arterial, or combined intravenous+intra-arterial thrombolysis. Stroke 2012; 43: 2350-5. pubmed
関連トライアル CLOTBUST , ECASS, Guillan M et al, ICARO, ICARO-2, IMS III, Mattle HP et al, Mikulik R et al 2009, RESTORE, SAINT postthrombolysis ICH, Singer OC et al, SITS-ISTR importance of recanalization, SITS-ISTR elderly, SITS-ISTR sex differences, SITS-ISTR young patients, SITS-MOST multivariable analysis, SPOTRIAS, SYNTHESIS Expansion, TASCC, Tutuncu S et al, ultrasound-enhanced thrombolysisの安全性および有効性, 虚血性脳卒中患者に対するIV/IA併用療法, 血栓溶解療法後の頭蓋内出血, 内頸動脈閉塞に続発する脳梗塞に対するtPA静注および動脈内血管内療法
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