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血栓溶解療法後の頭蓋内出血
Symptomatic Intracranial Hemorrhage Following Intravenous Thrombolysis for Acute Ischemic Stroke: a Critical Review of Case Definitions
結論 血栓溶解療法後の頭蓋内出血発症率は試験により異なり,その差は頭蓋内出血の定義の差に関連していると考えられた。
コメント 症候性頭蓋内出血の定義はNINDS定義ではいかなる神経症候の悪化もカウントするのに対し,ECASS IISITS-MOST定義では,National Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコアで4点以上の増悪と定め,観察期間も異なっている。頭蓋内出血の頻度を比較・評価する際は,これらの定義の違いを十分に把握して評価する必要がある。(岡田靖

目的 虚血性脳卒中患者において,症候性頭蓋内出血は血栓溶解療法の深刻な合併症であり,死亡率を上昇させるが,頭蓋内出血の定義は試験により異なる。ここでは,ランダム化比較試験(RCT),登録研究,コホート研究における血栓溶解療法後の頭蓋内出血発症率についてレビューを行い,90日後までの死亡転帰との一致について検討した。
方法 PubMed,EMBASEにて,1994年1月~2011年7月,MeSHターム(thrombolysis,recombinant tissue plasminogen activator,rtPA,hemorrhagic stroke,cerebral hemorrhage,hematoma,ischemic stroke)を相互参照し,英文論文の検索を行った。関連文献の検索も追加して行った。
対象:大規模RCT,>200例を対象とした登録研究,コホート研究。
除外:血管内療法施行,事前選択の基準を適用(動脈閉塞が確認でき,治療前のMRIを利用可能等)など。
対象 RCT 7件,登録研究 7件,コホート研究10件(多施設4件+単施設6件)。
症例数,平均年齢,男性の割合,ベースライン時のNIHSSスコア中央値,治療までの平均経過時間は以下の通り。
RCT:2,124例,68歳,57%,12,285分。
登録研究:15,054例,70歳,56%,12,145分。
コホート研究:4,455例,68歳,56%,13,146分。
全体:21,633例。68.8±2.9(範囲63~75)歳,56.3±4.5(範囲45~63)%,12.5±1.4(範囲9~15),175±62(範囲120~328)分。
主な結果 ・頭蓋内出血発生率
全体では5.6±2.3%で,試験デザイン別に有意差が認められた(RCT:7.5%,登録研究:3.5%,コホート研究5.9%。p=0.003)。

・死亡率
全体では14.7±4.8%で,試験デザイン別の有意差は認められなかった(RCT:15.7%,登録研究:13.9%,コホート研究:14.7%,p=0.799)。

・定義別の頭蓋内出血発症率
SITS-MOST定義(9試験):3.25±2.27%。
ECASS II定義(9試験):5.67±1.15%。
NINDS定義(7試験):7.61±0.94%。
SITS-MOST定義を用いた試験では頭蓋内出血発症率が低かったが,試験間の変動が大きかった。NINDS定義を用いた試験では変動は小さかった。

・頭蓋内出血と死亡の関連
中等度の相関がみられた(r=0.401,p=0.050)。
相関の強さは試験間で異なり,頭蓋内出血を血栓溶解療法後36時間以内にNIHSSの4点以上の悪化をともなう実質性出血と定義した試験が,頭蓋内出血と死亡の相関が最も高かった(r= 0.631)。
文献: Seet RC, et al. Symptomatic Intracranial Hemorrhage following Intravenous Thrombolysis for Acute Ischemic Stroke: A Critical Review of Case Definitions. Cerebrovasc Dis 2012; 34: 106-14. pubmed
関連トライアル Bravo Y et al, Chernyshev OY et al, ECASS, Guillan M et al, GWTG-Stroke Registry risk of sICH, GWTG-Stroke time to treatment, ICARO-2, IST-3, J-ACT, Kellert L et al, Madrid Stroke Network, Manawadu D et al, Murthy SB et al, Pervez MA et al, Power A et al, Ruecker M et al, SAINT postthrombolysis ICH, SAMURAI rt-PA Registry early neurological deterioration, Sarikaya H et al, Singer OC et al, SITS-ISTR, SITS-ISTR antiplatelet therapy, SITS-ISTR elderly, SITS-ISTR sex differences, SITS-ISTR within-day and weekly variations, SITS-ISTR young patients, SITS-ISTR/VISTA, SITS-MOST multivariable analysis, SYNTHESIS Expansion, TASCC, Toni D et al, Tsivgoulis G et al, Tutuncu S et al, ultrasound-enhanced thrombolysisの安全性および有効性, 前方循環閉塞に対する血栓溶解療法, 内頸動脈閉塞に続発する脳梗塞に対するtPA静注および動脈内血管内療法
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