抗血栓トライアルデータベース
home
テキストサイズ
Guillan M et al Stroke Mimics Treated with Thrombolysis: Further Evidence on Safety and Distinctive Clinical Features
結論 stroke mimics(SM)に対する血栓溶解療法は安全で,予後は良好であった。SMのおもな原因は身体表現性障害,脳脊髄液リンパ球増加症をともなう頭痛と神経学的欠損で,症状は大部分が片側不全まひのない全失語症であった。
コメント 脳梗塞超急性期のtPA血栓溶解療法は,発症後より早期に行うことが良好な転帰と相関することが知られている。時間の制約があるため,投与前に行う診断制度を向上させる診察や検査は限られているが,現行の手順で問題がないことを示唆する研究であり,意義深い。また,stroke mimicsとして身体表現性障害が最も多く,症状として片麻痺を伴わない全失語である点を銘記すべきであろう。(矢坂正弘

目的 血栓溶解療法を受けた患者におけるSMの割合は1.4~14%と報告されているが,これらの患者の転帰は一般に良好で,合併症もまれである。本解析では,tPA静注を受けたSM患者の頻度,臨床症状,予後について検討を行った。
デザイン コホート研究,後ろ向き解析。
セッティング 単施設,スペイン。
期間 試験期間は2004年1月~2011年10月。
対象患者 621例。期間中にtPA静注を受けた脳梗塞患者全例。
【除外基準】表記なし。
【患者背景】平均年齢は脳梗塞群72±14歳,SM群53.7±16歳(p<0.05)。各群の女性51.8%,66.6%。病歴:脳梗塞既往12.5%,0%,一過性脳虚血発作6.2%,0%,高血圧63.8%,26.6%,高コレステロール血症29.5%,13.3%,糖尿病23.1%,6.6%(p<0.05),現喫煙16.5%,13.3%,心房細動24.4%,0%,うっ血性心不全10.2%,0%。臨床症状:全前方循環脳卒中28.8%,26.6%,部分的前方循環脳卒中64.3%,66.6%,後方循環脳卒中5.4%,6.6%。左半球症状52.4%,80%(p<0.05)。症状からtPA静注までの経過時間150(115~180)分,134(105~218)分。National Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア:ベースライン時13(9~18),8(5~10)(p<0.05),2時間後10(5~17),3(0~5.5)(p<0.05),24時間後7(2~16),0(0~1.5)。
治療法 発症から4.5時間以内にtPA 0.9mg/kg静注。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
血栓溶解療法を受けた621例のうち脳梗塞は606例(97.5%),臨床または前臨床(放射線学的など)により脳卒中の代替診断が確定したSMは15例(2.4%)であった。
SM群 は若く,ベースライン時の症状が軽症で,血管リスク因子が少なく, 左半球症状が主であった(患者背景の項参照)。
SM群の原因は身体表現性障害5例,脳脊髄液リンパ球増加症をともなう頭痛および神経学的欠損3例, 疱疹脳炎2例,グリア腫瘍2例などであった。
片側不全まひのない全失語症はSM群8例(54%)で,脳梗塞群44例(7%)より多かった(p<0.05)。
multimodal CTはSM 3例に行われ,うち2例に灌流欠損が認められた。
SM群におけるSITS基準頭蓋内出血,全身性出血,障害[3ヵ月後のmodified Rankin Score(mRS)>2],3カ月後の死亡は認められなかった。

●有害事象

文献: Guillan M, et al. Stroke mimics treated with thrombolysis: further evidence on safety and distinctive clinical features. Cerebrovasc Dis 2012; 34: 115-20. pubmed
関連トライアル Chernyshev OY et al, ECASS, ICARO-2, IST-3, Madrid Stroke Network, Mikulik R et al 2009, MR RESCUE, Pervez MA et al, Power A et al, Rost NS et al, SAINT postthrombolysis ICH, SAMURAI rt-PA Registry early neurological deterioration, Sarikaya H et al, Seet RC et al, Singer OC et al, SITS-ISTR, SITS-ISTR elderly, SITS-ISTR sex differences, SITS-ISTR young patients, SITS-ISTR/VISTA, SITS-MOST multivariable analysis, STRokE DOC, TASCC, Zinkstok SM et al, 虚血性脳卒中患者に対するrt-PA療法, 血栓溶解療法後の頭蓋内出血, 前方循環閉塞に対する血栓溶解療法
関連記事