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Lamberts M et al Bleeding after Initiation of Multiple Antithrombotic Drugs, Including Triple Therapy, in Atrial Fibrillation Patients Following Myocardial Infarction and Coronary Intervention: a Nationwide Cohort Study
結論 心房細動患者において,心筋梗塞またはPCIから90日以内の抗血栓薬3剤併用療法による出血リスクは,ビタミンK拮抗薬+抗血小板薬併用より高かった。抗血栓薬3剤併用療法には持続的なリスク上昇がともなっており,安全な治療ウィンドウはない。出血リスクを厳密に評価した後のみ行うべきである。
コメント AF患者において,PCI後のワルファリン+アスピリン+クロピドグレル3剤併用は,長期にわたり出血リスクが高く,心血管死+心筋梗塞+虚血性脳卒中のイベントはワルファリン+抗血小板薬単剤と変わらないことから,できる限り3剤併用を短くすること,可能な限りbare metal stentを使用したほうがよいと考えられることを示唆する貴重な文献といえる。ただ,この試験はあくまでも観察研究であり,その点は結果を解釈する上で考慮しなければならない。(是恒之宏

目的 心房細動患者において,心筋梗塞またはPCI後の抗血栓薬3剤併用療法による出血リスクおよびタイムフレームについて検討を行った。主要評価項目:入院を要する非致死的出血または致死的出血。
デザイン コホート研究(全国規模)。
セッティング 多施設,デンマーク。
期間 登録(入院)期間は2001年1月1日~2009年12月31日。追跡期間は登録から360日。
対象患者 11,480例。期間中に初めての心筋梗塞またはPCIのため入院した,30歳以上,抗血栓療法中の心房細動患者で,退院後の7日間に出血/心筋梗塞/脳梗塞の発症がなかった症例。
【除外基準】―
【患者背景】[全例]平均年齢は75.6±10.3歳。男性60.9%。CHADS2スコア 0~1/≧2:36.9%/63.1%。HAS-BLEDスコア0~1/2/≧3:24.6%/47.1%/28.2%。
[処方別]CHADS2スコア0~1/≧2:aspirin(A)単独群32.7%/67.3%,clopidogrel(C)単独群43.2%/56.8%,ビタミンK拮抗薬(VKA)単独群33.3%/66.7%,A+C群43.5%/56.5%,A+VKA群27.6%/72.4%,C+VKA群38.3%/61.7%,A+C+VKA群39.2%/60.8%。HAS-BLEDスコア0~1/2/≧3:A単独群23.4%/44.9%/31.7%,C単独群29.6%/43.4%/27.1%,VKA単独群23.0%/46.1%/30.9%,A+C群28.2%/46.3%/25.5%,A+VKA群19.4%/51.5%/29.2%,C+VKA群22.6%/50.1%/27.3%,A+C+VKA群23.8%/51.6%/24.7%。
治療法 処方によりA単独群(3,388例),C単独群(768例),VKA単独群(848例,warfarinまたはphenprocoumon),A+C群(3,144例),A+VKA群(1,310例),C+VKA群(527例),A+C+VKA群(1,495例)に分け,抗血小板薬2剤併用(DAPT)群,VKA+抗血小板薬併用群,VKA+抗血小板薬2剤併用(TT)群について検討した。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
1年後までの出血イベントは728例(6.3%)発生し,うち79例(0.7%)は致死的出血であった。
30日後までの出血イベントは,TT群22.6%/年,VKA+抗血小板薬併用群20.3%/年,DAPT群14.3%/年。
初期(89日後まで)について,TT群はVKA+抗血小板薬併用群に比べ出血リスクが上昇した(HR 1.47,95%CI 1.04-2.08)。晩期(90~360日)はHR 1.36,95%CI 0.95-1.95)であった。
血栓塞栓リスク(心血管死,心筋梗塞,脳梗塞)について,TT群とVKA+抗血小板薬併用群との間に有意差は認められなかった(HR 1.15,95%CI 0.95-1.40)。

●有害事象

文献: Lamberts M, et al. Bleeding after initiation of multiple antithrombotic drugs, including triple therapy, in atrial fibrillation patients following myocardial infarction and coronary intervention: a nationwide cohort study. Circulation 2012; 126: 1185-93. pubmed
関連トライアル Abraham NS et al, ACS後の患者における新規経口抗凝固薬の追加効果, ACTIVE A, AFASAK 2 1999, APEX-AMI atrial fibrillation, AVERROES bleeding, CHARISMA bleeding complications, CHARISMA post hoc analysis, CREDO, CURRENT-OASIS 7, Denas G et al, DES LATE, Hansen ML et al, KAMIR, KAMIR triple vs. dual antiplatelet therapy, Lamberts M et al, Lamberts M et al, ORBIT-AF, PRODIGY in-stent restenosis, REAL-LATE / ZEST-LATE, Sarafoff N et al, Sørensen R et al, TRITON-TIMI 38, TRITON-TIMI 38 bleeding, TRITON-TIMI 38 early and late benefits, TRIUMPH nuisance bleeding, WOEST, 急性脳梗塞/TIA患者への抗血小板療法:2剤併用療法と単剤療法の比較
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