抗血栓トライアルデータベース
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Kaseno K et al
結論 高周波カテーテルアブレーションを受ける血栓塞栓リスクの低い心房細動患者において,dabigatran(110mg 1日2回)は安全に投与可能であり,warfarinの代替薬となる可能性が示された。

目的 高周波カテーテルアブレーションを受ける心房細動患者について,周術期にwarfarinを継続しても,大出血を増加させずに血栓塞栓イベントを予防しうることが先行研究より示されている。しかし,dabigatranについてはまだ報告がない。本研究は,dabigatranによる周術期管理の有効性および安全性を検討した。評価項目:アブレーションの最低2ヵ月後までの死亡,血栓塞栓症(脳卒中,一過性脳虚血発作,全身性塞栓症),重篤な出血(頭蓋内出血,ヘモグロビン値の>2g/dL低下,輸血),小出血,試験薬投与中止(不忍容,複数回の測定でPT-INR>4.5)。
デザイン コホート研究。
セッティング 単施設,日本。
期間 登録期間は2011年4月~2012年1月。
対象患者 211例。2011年4月~2012年1月に高周波カテーテルアブレーションを施行した薬剤抵抗性の発作性/持続性心房細動患者。
【除外基準】>75歳,進行性の器質性心疾患(中等度から重度の心臓弁狭窄/機能不全を含む),先天性心疾患,LVEF<45%,左心房径>55mm,心房細動またはCABGから3ヵ月以内,クレアチニンクリアランス(CCr)<50mL/分,β遮断薬投与を受けている慢性閉塞性肺疾患,重度の呼吸不全,出血性素因またはheparin/経口抗凝固薬に対する不忍容,アブレーション試行歴,左心房血栓,重度の合併症。
【患者背景】平均年齢はdabigatran群59±10歳,warfarin群62±8歳(p<0.05)。各群の女性25%,21%。BMI 23.7±3.2,23.7±4.0。持続性心房細動17%,45%(p<0.0001)。高血圧39%,39%。糖尿病5%,13%。心不全の既往4%,10%。脳卒中/TIAの既往4%,5%。CHADS2スコア0点61%,45%,1点31%,41%,≧2点8%,14%。HAS-BLED出血リスクスコア0.5±0.7,0.6±0.6。左心房径39±6mm,43±7mm(p<0.01)。CCr 97±20mL/分,98±18mL/分。PT-INR 1.30±0.25,2.38±0.35(p<0.0001)。
治療法 dabigatran群:110例。長期使用を拒否した患者に対し,110mg 1日2回投与を手技の1日以上前から,手技後は最低1カ月間行った。dabigatranは手術日の朝のみ中止し,翌朝同じ用量で再開した。
warfarin群:101例。手技の1カ月以上前から用量調節投与(PT-INR 2.0~3.0)を開始し,手技前後も継続した。手技前の最低1カ月間はPT-INRが2.0を超えるようにした。
全例において,手技前の24時間以内に経食道心エコーを施行。手技中はACTが300~350秒となるようheparinを静注した。手技後の24時間,heparin 10,000単位を投与した。
手技の翌日,一部の患者に脳MRIを行った。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
dabigatran群の投与期間は26±43日。warfarin群の手技前日のPT-INRは2.4±0.4。
全例において手技の成功が得られた。周術期の死亡,症候性血栓塞栓合併症は発生しなかった。
手技後の脳MRIは60例(dabigatran群31例,warfarin群29例)に施行した。MRIにより各群1例に無症候性脳梗塞が認められた。
dabigatran群5例,warfarin群11例に小出血がみられた(p=0.12)。
心タンポナーデはdabigatran群0例,warfarin群2例(p=0.23)。
すべての出血合併症はdabigatran群4.5%で,warfarin群12.9%に比し少なかった(p<0.05)。

●有害事象

文献: Kaseno K, et al. Efficacy and safety of periprocedural dabigatran in patients undergoing catheter ablation of atrial fibrillation. Circ J 2012; 76: 2337-42. pubmed
関連トライアル dabigatranの急性冠イベントリスク, Lakkireddy D et al, Lakkireddy D et al, Majeed A et al, Pengo V et al, RE-ALIGN, RE-LY cardioversion, RE-LY intracranial hemorrhage, RE-LY Japanese population, RE-LY periprocedural bleeding, RE-LY risk of bleeding, RE-MEDY & RE-SONATE, RELY-ABLE, Yokoshiki H et al, カテーテルアブレーション施行患者におけるdabigatranの安全性および有効性
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