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ARISTOTLE renal function
結論 心房細動患者において,腎機能障害と心血管および出血イベント上昇の間に関連がみられた。apixabanはwarfarinに比し,腎機能の程度にかかわらず脳卒中,死亡,大出血を減少させた。腎機能障害患者はapixabanによる大出血抑制効果が大きいと考えられた。
コメント 他の新規経口抗凝固薬の試験にも共通して言えること,また認識すべきことは,ワルファリン投与において,腎機能低下例で大出血が増加する点である。新規経口抗凝固薬は,薬剤により腎排泄率が異なり,ダビガトラン,リバーロキサバンに比し,アピキサバンは腎排泄率が最も低い。このことより,他剤に比し腎機能不全の影響を受けにくい可能性があり,今回のサブ解析はまさにこれを示したものと言える。ただ,いずれの試験においても,クレアチニンクリアランス<30mL/分の症例は含まれていないか,ほとんどないため,今回の結果を拡大解釈しないよう留意すべきである。(是恒之宏

目的 ARISTOTLE の事前に定められたサブ解析として,apixabanの有効性,安全性を腎機能の程度別に評価した。
有効性の一次エンドポイント:脳卒中(虚血性/出血性)または全身性塞栓症。安全性の一次エンドポイント:ISTH出血基準大出血。
デザイン ARISTOTLEは無作為割付,二重盲検,ダブルダミー。
セッティング ARISTOTLEは多施設,複数国。
期間
対象患者 18,201例。ARISTOTLEの対象患者は,登録時に心房細動/粗動,または心電図により確認された心房細動/粗動発作が過去12ヵ月間に2週間以上の間隔で2回以上あり,脳卒中リスク因子[≧75歳,脳卒中/一過性脳虚血発作(TIA)/全身性塞栓症既往,3ヵ月以内の症候性心不全またはLVEF<40%,糖尿病,薬物治療を要する高血圧]を1つ以上有する患者。
【主要除外基準】可逆性の原因による心房細動,中等度~重度の僧帽弁狭窄,人工心臓弁など心房細動以外に抗凝固薬を必要とする,脳卒中発症から7日以内,aspirin>165mg/日あるいはaspirin+clopidogrel併用を必要とする;重症腎機能障害(血清クレアチニン>2.5mg/dLまたは推定クレアチニンクリアランス<25mL/分)。
【患者背景(Cockcroft-Gault式による分類)】平均年齢はeGFR>80mL/分群62.9±8.6歳,50超80 mL/分以下群71.8±7.5歳,≦50mL/分群77.6±7.1歳*。各群の女性25.8%,37.4%,53.3%*。低用量apixaban使用0%,1.3%,24.3%*。心房細動の病型*:発作性16.4%,15.1%,13.1%,持続性/永続性83.6%,84.9%,86.9%。CHA2DS2VAScスコア2.8±1.3,3.7±1.4,4.4±1.4*。HAS-BLEDスコア1.6±1.0,2.0±1.0,2.2±1.0**p<0.0001。
治療法 以下の2群に無作為割付。
apixaban群(9,120例):5mg,1日2回投与(以下の項目のうち2つ以上に該当する場合は2.5mg,1日2回投与とした:≧80歳,体重<60kg,血清クレアチニン≧1.5mg/dL)。
warfarin群(9,081例):INR 2.0~3.0となるよう用量調整投与。
追跡完了率
結果

●評価項目
腎機能の程度はCockcroft-Gault式,Chronic Kidney Disease Epidemiology Collaboration(CKD-EPI),シスタチンCを用い算出した。
Cockcroft-Gault式による腎機能の程度は,eGFR>80mL/分:7,518例(42%),50超80 mL/分以下:7,587例(42%),≦50mL/分:3,017例(15%)であった。
心血管および出血イベントは腎機能障害患者(≦80mL/分)のほうが高かった。
apixabanは腎機能の程度にかかわらず,warfarinに比し,脳卒中/全身性塞栓症予防および死亡抑制に有効であった。この結果はGFR計算式にかかわらず一貫していた。
(Cockcroft-Gault式による分類,交互作用p=0.705)
eGFR>80mL/分:apixaban群0.99%/年 vs. warfarin群1.12%/年,HR 0.88,95%CI 0.64-1.22。
50超80 mL/分以下:1.24%/年 vs. 1.69%/年,HR 0.74;0.56-0.97。
≦50mL/分:2.11%/年 vs. 2.67%/年,HR 0.79;0.55-1.14。
出血イベントと腎機能の間には関連が認められた。apixabanによる大出血の相対リスク減少は,eGFR ≦50 mL/分の場合が最も大きかった。
(Cockcroft-Gault式による分類,交互作用p=0.005)
eGFR>80mL/分:apixaban群1.46%/年 vs. warfarin群1.84%/年,HR 0.80,95%CI 0.61-1.04。
50超80 mL/分以下:2.45%/年 vs. 3.21%/年,HR 0.77;0.62-0.94。
≦50mL/分:3.21%/年 vs. 6.44%/年,HR 0.50;0.38-0.66。
CKD-EPIによる分類でも同様にeGFR ≦50 mL/分の場合が最も大きかった;HR 0.48,95%CI 0.37-0.64,交互作用p=0.003)。

●有害事象

文献: Hohnloser SH, et al. Efficacy of apixaban when compared with warfarin in relation to renal function in patients with atrial fibrillation: insights from the ARISTOTLE trial. Eur Heart J 2012; 33: 2821-30. pubmed
関連トライアル ADOPT, AFASAK 2 1999, AMADEUS post hoc analysis, APPRAISE-2, APROPOS, ARISTOTLE, ARISTOTLE cardioversion, ARISTOTLE concomitant aspirin use, ARISTOTLE previous stroke/TIA, ARISTOTLE risk score, ARISTOTLE time in therapeutic range, ARISTOTLE type and duration of AF, ARISTOTLE-J, AVERROES, AVERROES bleeding, AVERROES previous stroke/TIA, Hylek EM et al, J-ROCKET AF renal impairment, NASPEAF stratified analysis, Olesen JB et al, PROTECT AF, RE-LY risk of bleeding, ROCKET AF, ROCKET AF post hoc analysis, ROCKET AF renal dysfunction, SPAF II 1996, SPORTIF III, SPORTIF pooled analysis, SPORTIF risk of bleeding, SPORTIF V, warfarinによるNVAF患者の脳卒中予防
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