抗血栓トライアルデータベース
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メタ解析
内科疾患患者に対するVTE予防薬延長投与
Extended Thromboprophylaxis for Medically Ill Patients with Decreased Mobility-Does it Improve Outcomes?
結論 内科疾患患者の静脈血栓塞栓症(VTE)予防について,退院後のルーチン予防投与のベネフィットは示されなかった。

目的 内科疾患患者は退院後もVTEリスクにさらされており,先行研究では,30日後の発症率は5~6%と報告されている。しかし,退院後の血栓予防薬投与の至適期間については議論が分かれている。本メタ解析では,現在入手可能なデータを用い,その評価を行った。有効性の主要評価項目:無症候性/症候性深部静脈血栓症(DVT),肺塞栓症(PE),血栓塞栓症関連死。安全性の主要評価項目:30日以上の追跡期間終了時の出血イベント。
方法 1966年~2011年12月,PubMed,EMBASE,Cochrane Central Register Controlled Trialより,可動性を制限された18歳以上の内科疾患患者においてVTE予防薬の退院以降の延長投与を対照薬と比較したランダム化比較試験を検索。検索語はextended thromboprophylaxis,deep vein thrombosis prophylaxis,low molecular weight heparin,apixaban,rivaroxaban,oral anticoagulation。データベースの検索に加えて,対象論文の文献リスト,2008~2011年に開催された学術集会(AHA,ACC,ESC)抄録のマニュアルサーチも行った。
除外:周術期のストラテジーとしてVTE予防薬延長投与を行った試験,対照群と薬剤投与期間が同じ試験,臨床転帰が示されていない試験。
対象 3試験(20,362例)。
ADOPT(NCT00457002)
内科疾患患者において,apixaban延長投与(2.5mg 1日2回,30日間)はenoxaparin短期投与[40mg 1日1回皮下注,入院中(最低6日間)]に比し優越性を示さず,大出血が増加した。
EXCLAIM(NCT00077753)
急性内科疾患患者において,enoxaparin 40mg/日,28±4日間皮下注はプラセボに比し,75歳を超える高齢患者では優越性を示した。女性およびレベル1の可動性制限患者では,VTE発症は減少したが,大出血が増加した。
MAGELLAN(NCT00571649)
急性内科疾患患者において,rivaroxaban延長投与(10mg 1日1回,35日間)はenoxaparin短期投与(40mg/日皮下注,4日間)に比し,VTE発症は減少したが,大出血が増加した。
主な結果 ・主要評価項目
血栓症予防薬投与期間の延長は主要評価項目発生を減少させたが,個々の項目については有意差は認められなかった。治療必要数(NNT)は320。出版バイアスは認められなかった(p=0.17)。
主要評価項目:RR 0.75,95%CI 0.64-0.88,p=0.0004,不均一性p=0.29。
無症候性DVT:RR 0.85,95%CI 0.68-1.05。
症候性DVT:RR 0.44,95%CI 0.19-1.00。
非致死的PE:RR 0.80,95%CI 0.43-1.48。
VTE 関連死:RR 0.64,95%CI 0.38-1.10,p=0.11,不均一性p=0.92。

・出血イベント
出血イベントは予防療法期間延長により増加した(RR 2.68,95%CI 1.78- 4.05,p<0.00001,不均一性p=0.95)。有害必要数(NNH)は194。
文献: Sharma A, et al. Extended thromboprophylaxis for medically ill patients with decreased mobility: does it improve outcomes? J Thromb Haemost 2012; 10: 2053-60. pubmed
関連トライアル ADOPT, APROPOS, Hestia Study, PREVENT 2004, RECORD1, RECORD2, RECORD3, SAVE-KNEE, SAVE-HIP1, SAVE-HIP2, 急性出血性脳卒中患者におけるVTE予防のための抗凝固療法, 固形癌患者に対する初発血栓塞栓症予防, 予防療法を受けた関節置換術施行患者における症候性VTE発症率
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