抗血栓トライアルデータベース
home
テキストサイズ
メタ解析
dabigatran,rivaroxaban,apixabanによる関節置換術後の血栓予防
Dabigatran, Rivaroxaban, or Apixaban Versus Enoxaparin for Thromboprophylaxis after Total Hip or Knee Replacement: Systematic Review, Meta-Analysis, and Indirect Treatment Comparisons
結論 関節置換術後の血栓予防について,新規抗凝固薬(dabigatran,rivaroxaban,apixaban)は標準治療薬enoxaparinに比し,全般的に有効性は高かったが,出血リスクの上昇傾向が認められた。新規抗凝固薬3剤の有効性,安全性には有意差はみられなかった。
コメント 新規抗凝固薬間の比較はあくまで間接比較であり,それぞれの試験でのプロトコールの違いなどを十分に考慮したうえで,解釈には注意が必要である。(山田典一

目的 新規抗凝固薬による完全股/膝関節置換術施行後の静脈血栓塞栓症(VTE)予防については,主要な臨床試験が標準治療では通常行われない下肢静脈造影により評価されたこと,出血の定義が試験により異なること,新規抗凝固薬の直接比較が行われていないことなどにより,相対的有効性は明確になっていない。本解析では,新規抗凝固薬とenoxaparinとの直接比較および新規抗凝固薬の間接比較を行う。有効性の主要評価項目:症候性VTE(症候性深部静脈血栓症,症候性肺塞栓症)。安全性の主要評価項目:臨床的に問題となる出血(大出血,大出血ではないが臨床的に問題となる出血)。
方法 Medline,CENTRAL(2011年4月まで),clinical trial registry,関連学会の記録,管理当局のウェブサイトより,完全股/膝関節置換術施行において新規抗凝固薬(dabigatran 220mgまたは150mg,rivaroxaban 10mg,apixaban 5mg)をenoxaparin(欧州:40mg 1日1回皮下注を手術の12時間前に開始,米国:30mg 1日2回皮下注を手術の12~24時間後に開始)と比較したランダム化比較試験を検索。
対象 16試験(dabigatran 4試験: RE-MODEL RE-NOVATE ,RE-MOBILIZE,RE-NOVATE II,rivaroxaban 8試験:RECORD 1RECORD 2RECORD 3RECORD 4,用量設定試験,ODIXa KNEE ODIXa HIP ODIXa-OD-HIP ,apixaban 4試験:ADVANCE-1 ADVANCE-2ADVANCE-3APROPOS )。
患者数:38,747例(新規抗凝固薬群19,481例,対照群16,668例)。
手術の種類:股関節8試験,膝関節8試験。
主な結果 ・症候性VTEリスク(enoxaparinとの比較)
rivaroxabanは少なく,dabigatran,apixabanは同程度であった。dabigatranのみ不均一性が認められた。
rivaroxaban:RR 0.48,95%CI 0.31-0.75,p=0.001,不均一性p=0.39。
dabigatran:RR 0.71,95%CI 0.23-2.12,p=0.54,不均一性p=0.01。
(220mg:RR 0.70,95%CI 0.18-2.76,p=0.61, 150mg:RR 0.86,95%CI 0.31-2.35,p=0.63)
apixaban:RR 0.82,95%CI 0.41-1.64,p=0.57,不均一性p=0.17。

・臨床的に問題となる出血(enoxaparinとの比較)
rivaroxabanは多く,dabigatranは同程度,apixabanは少なかった。いずれも不均一性は認められなかった。
rivaroxaban:RR 1.25,95%CI 1.05-1.49,p=0.01,不均一性p=0.39。
dabigatran:RR 1.12,95%CI 0.94-1.35,p=0.21,不均一性p=0.51。
(220mg:RR 1.12,95%CI 0.92-1.38,p=0.26,150mg:RR 1.12,95%CI 0.89-1.40,p=0.34)
apixaban:RR 0.82,95%CI 0.69-0.98,p=0.03,不均一性p=0.38。

・正味の臨床ベネフィット(症候性VTE,大出血,死亡)(enoxaparinとの比較)
いずれもenoxaparinと同程度であった。不均一性は認められなかった。
rivaroxaban:RR 0.88,95%CI 0.70-1.12,p=0.29,不均一性p=0.36。
dabigatran:RR 0.93,95%CI 0.63-1.37,p=0.72,不均一性p=0.13。
apixaban:RR 0.92,95%CI 0.68-1.23,p=0.56,不均一性p=0.96。

・出版バイアス
出版バイアスは認められなかった。
文献: Gómez-Outes A, et al. Dabigatran, rivaroxaban, or apixaban versus enoxaparin for thromboprophylaxis after total hip or knee replacement: systematic review, meta-analysis, and indirect treatment comparisons. BMJ 2012; 344: e3675. pubmed
関連トライアル ADOPT, ADVANCE, ADVANCE-2, ADVANCE-3 , AMPLIFY, APROPOS, BISTRO II , dabigatran,rivaroxaban,apixabanの間接比較, MAGELLAN, ODIXa-KNEE, ODIXa-OD-HIP, RE-NOVATE, RECORD1, RECORD2, RECORD3, RECORD4, SAVE-KNEE, SAVE-HIP1, SAVE-HIP2, VTE治療における新規経口抗凝固薬, VTE二次予防の抗血栓療法の有効性および安全性, 急性VTE治療における新規経口抗凝固薬とビタミンK拮抗薬の比較, 人工股関節,膝関節全置換術施行患者のVTE予防におけるdabigatranの有効性および安全性
関連記事