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メタ解析
虚血性脳卒中患者に対するIV/IA併用療法
Bridging Therapy in Acute Ischemic Stroke: a Systematic Review and Meta-Analysis
結論 虚血性脳卒中患者に対する血栓溶解療法静注/動注(IV/IA)併用療法の安全性および有効性は許容範囲であった。静注までの時間の短縮は,再開通率と転帰良好を改善させるために重要である。
コメント 本研究の分析結果は,わが国でのこれからの血管内治療併用療法に関する臨床研究デザインの構築に有用な情報を与えている。(岡田靖

目的 急性虚血性脳卒中患者におけるIV/IA併用療法の臨床効果はalteplase静注のノンレスポンダーにおいて認められたのみである。現在,IV/IA併用療法とalteplase静注を比較するランダム化比較試験(IMS III,NCT00359424)が進行中であり,IV/IA併用療法は治験中の治療法と考えられている。本解析では,急性虚血性脳卒中患者に対するIV/IA併用療法に関するすべての試験のシステマティックレビュー/メタ解析を実施し,その有効性および安全性を検討した。
方法 PubMedを以下の検索語を用いて検索:thrombolysis,thrombolytic,fibrinolysis,tissue plasminogen activator,endovascular,intra-arterial,intravenous in combination with stroke。
検索された文献の参照文献,発表済みの総説も検索した。検索はヒトを対象とした,英語で発表された文献のみとした。
対象:IV/IA併用下の急性虚血性脳卒中患者において,再開通あるいは臨床転帰の報告(発生数または発生率)をしたすべての観察研究および介入研究(1996年1月~2011年3月),18歳以上,対象患者が10例以上の後向き研究または前向き研究。
対象 15試験,559例。
IV/IA併用の内訳:救急(IV不成功の場合にIAを施行)7試験,直接(IV後の状態にかかわらずIAを施行)8試験。
主な結果 IVまでの平均経過時間は110~165分であった。
病変部に関するデータが得られた13試験において,もっとも多かった標的血管は中大脳動脈(63%)であった。

・メタ解析
再開通,転帰良好(90日後のmRS 0~2),および死亡について,不均一性が認められた。
部分/完全再開通率(15試験,559例):69.6%(95%CI 63.9-75.0),不均一性p=0.011,I2=51.3%。
完全再開通率(13試験,442例):35.1%(95%CI 23.0-48.2),不均一性p<0.001,I2=87.6%。
転帰良好率(15試験,559例):48.9%(95%CI 42.9-54.9),不均一性p=0.014,I2=50.2%。
死亡率(15試験,585例):17.9%(95%CI 12.7-23.7),不均一性p<0.001,I2=66.6%。
症候性頭蓋内出血発生率(15試験,627例):8.6%(95%CI 6.8-10.6),不均一性p=0.65,I2=0。

・感度分析
IV奏効例を対照とした試験を除外した感度分析においても,同様の結果がみられた。転帰良好については不均一性は認められなかった。
転帰良好率(10試験,399例):44.3%(95%CI 39.9-48.8),不均一性p=0.54,I2=0%。
死亡率(12試験,474例):18.6%(95%CI 12.3-25.8),不均一性p<0.001,I2=72.2%。
症候性頭蓋内出血発生率(11試験,501例):9.7%(95%CI 7.3-12.4),不均一性p=0.96,I2=0。

・メタ回帰分析
IVまでの時間は再開通率および死亡率と有意な関連を示した。IVまでの平均時間が短いと再開通率が上昇し(14試験,10分短縮ごと:OR 1.24,95%CI 1.02-1.51,p=0.035),死亡率が低下した(14試験,10分短縮ごと:OR 0.75,95%CI 0.60-0.94,p=0.016)。

alteplase静注を対照とした8試験の解析では,IV/IA併用療法は転帰良好と関連したが(OR 2.26;95%CI 1.16-4.40),不均一性が認められた(I2=74.1%,不均一性p<0.001)。死亡率,症候性頭蓋内出血との関連はみられなかった。
文献: Mazighi M, et al. Bridging therapy in acute ischemic stroke: a systematic review and meta-analysis. Stroke 2012; 43: 1302-8. pubmed
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