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メタ解析
虚血性脳卒中患者に対するrt-PA療法
Recombinant tissue plasminogen activator for acute ischaemic stroke: an updated systematic review and meta-analysis
結論 虚血性脳卒中患者に対するrt-PA療法は,転帰良好および自立の患者を増加させた。本結果は,発症後6時間までならベネフィットが得られる可能性があるものの,発症後可及的すみやかにrt-PA静注を行うという先行研究のエビデンスを強化した。
コメント これまでのメタ解析と同様に,80歳超でもrtPA静注のベネフィットが得られることが示された。わが国の2報告は開発が中止されたdulteplase臨床試験の登録例である。(岡田靖

目的 発症からの経過時間が6時間以内の虚血性脳卒中患者に対するrt-PA療法について, IST-3試験で新しいデータが得られたことから,新たに解析を行った。
方法 2012年3月30日までに,発症から6時間以内の虚血性脳卒中患者に対するrt-PA静注を対照と比較したRCTを検索。
除外:臨床転帰の記載がない,最終追跡が治療後1ヵ月未満。
対象 RCT 12試験,7,012例。
Mori E et al Haley EC et al ECASS NINDS ECASS III EPITHET IST-3など。
用量:0.6mg/kg(34mg):1試験,0.6mg/kg(34mg)または0.9mg/kg(51mg):1試験,0.85mg/kg:1試験,0.9mg/kg(最大90mg):8試験,1.1mg(最大100mg):1試験。
発症後経過時間:<3時間:1試験,3時間:1試験,3~4.5時間:1試験,3~6時間:1試験,大部分が5時間以内:1試験,<6時間:2試験,6時間:5試験。
最終追跡:4週間:2試験,3ヵ月:9試験,6ヵ月:1試験
主な結果 ・機能転帰(10試験)
rt-PAは最終追跡時の生存および自立[modified Rankin Score(mRS) 0~2]を有意に増加させた:1,611/3,483例(46.3%)vs. 1,434/3,404例(42.1%),OR 1.17,95%CI 1.06-1.29,p=0.001。絶対増加は42(95%CI 19-66)/1,000人であった。
転帰優良(mRS 0~1)は1,211/3,483例(34.8%)vs. 998/3,404例(29.3%),OR 1.29,95%CI 1.16-1.43,p<0.0001で,絶対増加は 55(95%CI 33-77)/1,000人であった。
rt-PAの効果は発症から3時間以内に治療を受けた患者で大きかった。
[発症後3時間以内に治療を受けた症例におけるmRS 0~2]
365/896例(40.7%)vs. 280/883例(31.7%),OR 1.53,95%CI 1.26-1.86, p<0.0001,絶対ベネフィットは90(95%CI 46-135)/1,000人であった。
[発症後3~6時間以内に治療を受けた症例におけるmRS 0~2]
1,182/2,491例(47.5%)vs. 1,133/2,480例(45.7%),OR 1.07,95%CI 0.96-1.20, p=0.24,絶対ベネフィットは18/1,000人であった。
[発症後3時間以内に治療を受けた症例におけるmRS 0~1]
283/896例(31.6%)vs. 202/883例(22.9%),OR 1.61,95%CI 1.30-1.90, p<0.0001,絶対ベネフィットは87(95%CI 46-128)/1,000人。

・死亡(7日間:8試験,最終追跡:12試験)
7日以内の死亡は増加したが[250/2,807例(8.9%)vs. 174/2,728例(6.4%),OR 1.44,95%CI 1.18-1.76,p=0.0003],最終追跡時では有意差は認められなかった[679/3,548例(19.1%)vs. 640/3,464例(18.5%),OR 1.06,95%CI 0.94-1.20,p=0.33)]。

・7日以内の症候性頭蓋内出血(12試験)
症候性頭蓋内出血は早期における過度の死亡発生の要因であった[272/3,548例(7.7%)vs. 63/3,463例(1.8%),OR 3.72,95%CI 2.98-4.64,p<0.0001]。

・年齢(80歳超の患者を対象に含めたのは3試験)
80歳超の患者では,特に早期に治療を受けた場合,80歳以下の患者と同程度のベネフィットが得られた。
[発症後6時間以内に治療を受けた症例におけるmRS 0~2]
80歳超:27.2% vs. 23.4%(p=0.07)。
80歳以下:52.5% vs. 48.3%(p=0.009)。
[発症後3時間以内に治療を受けた症例におけるmRS 0~2]
80歳超:28.9% vs. 19.3%(p=0.003)。
80歳以下:49.6% vs. 40.1%(p=0.001)。
文献: Wardlaw JM, et al. Recombinant tissue plasminogen activator for acute ischaemic stroke: an updated systematic review and meta-analysis. Lancet 2012; 379: 2364-72. pubmed
関連トライアル Austrian Stroke Unit Registry, Bhatia R et al, ECASS, ECASS III additional outcomes, EPITHET, Guillan M et al, ICARO, IST-3, IST-3 18-month follow-up, NINDS rt-PA Stroke Study 1995, SAINT postthrombolysis ICH, SAMURAI rt-PA Registry early neurological deterioration, SITS-ISTR, SITS-ISTR 2010, SITS-MOST, STRokE DOC, Toni D et al, 前方循環閉塞に対する血栓溶解療法, 脳梗塞急性期におけるheparin投与
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